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魔王(偽)戦闘開始

「まさか、私達が負けるとはな……」

「【覚醒】でも、流石にこの人数は捌き切れませんでしたね……」

 そうは言っているが、この2人で千人は余裕で超えるレベルで勇者軍の人を倒している。何とか人数で押し切って【覚醒】を使わせて、多くの犠牲を払いながらもやっと【覚醒】の時間が切れ、その間に追い詰める事が出来たという状況だが


「これで最後だ!」

「ええ、これで最後。一人でも多く道連れにする!」

 爆弾を取り出し、自爆の構えをするロザリーさんとアイリス。そしてそれを見て残っていた魔王軍の人達も爆弾を取り出す……ここまで来ると統率力というより、洗脳されてるんじゃないかと思うレベルでちょっと怖い


「ジェイドさん危ない!」

 後ろに控えていた人がジェイドさんを後ろに飛ばして自己犠牲の精神で代わりに受けるみたいだ。まぁそんな事するより、普通にバリアを張った方が良いと思うけど……


「くっ!【プロテクトドーム】!」

 後ろに飛ばされながら自分達を守るドームを張るジェイドさん。ふーん?飛ばされながら発動するとドームを発動しながら後ろに下がってそのまま味方をドームの中に入れる事が出来ると……あれは発動した位置に設置するというより、発動した人を中心に展開って感じか。爆発にも耐えられるみたいだからあれは要注意かな?


「いや、でもアレを上手く使えば面白い事が出来そうだな?」

 ロザリーさん達は自爆によって既に退場してこっちに帰ってきている。他の幽体の人が現状の説明とかしている最中だ。ロザリーさん達の最後の悪足掻きのお陰で敵の数もかなり減ったので、これ以上ないお膳立てをしてもらった。ここまで来たら皆の為にも最後まで魔王をやってやろうじゃないか




「ここまで長かったが、いよいよか……この扉の先に魔王が居るんだな?鍵は?」

「ここにある。皆、準備は良いか?」

「「「「「応!」」」」」

 ロザリーとアイリスという多分魔王軍プレイヤーの中でも一番強いと思われる2人を倒し、目標である魔王まで後少しという状態。失った仲間は多いが、それでもまだ魔王の喉元に剣を突き立てる為のメンバーはこの場に残っていると思う。魂の傷のせいで城の中に入れない状態になってしまった味方も結構な量が居る。その味方達の為にも、ここで勝利してイベントを終了させる事が皆が幸せになれる事だろう。戦争が7日で決着と言えば短いかもしれないが、ここまで苦労する事も、楽しい事も色々あった。でも結末は俺達が勝つか、向こうが勝つかの2択。だったら全力を出してこちらの勝利で終わらせたい。色んな感情を胸に、鍵を受け取り解除の為に進む。あの時、先に城の最上階に行ってなければここまで来て一度戻らなくてはならない状況になってしまう所だったかもしれないと考えると恐ろしいな?


「皆行くぞ!」

 暗い通路の先にあった鎖で封印された場所の鍵を解除する。するとその扉は自然に開き、その先には玉座に対して行儀悪く横向きに座って王冠を指でクルクルと回す白ローブがそこに居た


「あ、やっと来ましたか。あまりにも遅いから来ないのかと待ちくたびれてしまいましたよ?」

 絶対にぶっ倒すと心に決めた瞬間だった




 監視水晶で見ながらどのくらいで敵の集団がここに到達するかをザッと計算して、そろそろ来るだろうなと思った辺りで玉座に態度悪く座って待機していたけど……監視水晶で見るのと、実際に見るのじゃ結構違うなぁ?勇者が完全に前よりオーラが強くなってるし、周りもそれに影響を受けている様な感じに見える。とりあえずまずは歓迎(人減らし)しようか


「流石に全員はここに入ってこれませんね?」

 敵がドンドン玉座の間に入ってこようとしているが、前が詰まって中々後ろの人達が入ってこれない状況だ。まあその為にゲヘちゃんに玉座の間の入り口を延長する形で両手で通路を作ってもらってるんだけど……


「では討伐人数はここで締め切りとしましょう」

「ギョイ」

 パンッと一度拍手して合図を出す。するとゲヘちゃんが通路の為に少しだけ開けていた両手を僕の拍手に合わせて閉じた


「えっ」

「ん?」

「ちょ……」

 残念ながらゲヘちゃんの手の間を歩いていた勇者軍の人達は簡単にプレスされ、ゲヘちゃんがもう一度手を開いた時には通路を歩いていた人は赤ポリゴンと化していた


「さて、それでは始めましょうか?私の退屈が解消されれば良いのですが」

 どうせキリエさんとか他の人も幽体で見てるんだろうけど、絶対キリエさんお腹を抱えて笑ってるよなぁ?僕が勇者諸君とか言った時にもヤバかったのに、こんな「退屈が解消されれば良いのですが」なんてツボに入らない訳が無い


「「「「「……」」」」」

「どうしました?戦う場所を作っただけですが」

 玉座から降りて、歩いて前に進む。とりあえずジェイドさんに向かって歩いて行こう。勇者は多分これ状態異常無効か何かついてて恐怖とかあんまり感じて無さそうだし、ジェイドさんに向かって行くのがイベント的にも良いだろう


「私を倒したいのなら一々あの程度の事で驚かない事をオススメしますよ?ジェイドさん?」

「化け物め……」

「そうですか。じゃあ化け物討伐を頑張ってくださいよ。人間?」

 まぁこういう扱いはされるだろうと思ってたけど、実際に面と向かって敵意丸出しで化け物って言われるの結構クるなぁ……


「よし!皆!魔王を倒すぞ!」

 この勇者、あんまり空気読めないタイプだな?でも緊張した空気感を壊すにはこういうのが良いのか


「んっ、く~。どこからでも来なよ?」

 背伸びをしながら気だるげな感じで戦闘を開始する。実際は一撃貰ったらほぼ致命傷レベルの攻撃が飛んで来るだろうからそんな気だるげな状態で戦える訳が無い。でもこれくらいの余裕な態度を見せつけないと魔王っぽくない。あくまで負けても大丈夫ってだけで負けるつもりは無いし、ここにいる全員を全滅させるくらいなら今の僕が持っている手札なら出来るはずだ



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― 新着の感想 ―
[一言] 〉ここまで来ると統率力というより、洗脳されてるんじゃないかと思うレベルでちょっと怖い さすが魔王軍と言うべきなんだが。 ……NPCじゃなくPLなのよねぇ。これ。
[一言] 最終決戦目の前で退場とは精神ダメージがキツそうだね。
[一言] ざわ・・ざわ・・・
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