待機時間
「いよいよここまで来たようだが、ここから先には通さないぞ。ジェイド」
「ロザリーか!?気を付けろ!【覚醒】持ちだ!」
どうやらロザリーさんが前のイベントの時に使っていた【覚醒】の事を気にしているみたいだ。確かにあれはヤバかった……だけど間違いなく使ったら最後だろう。【覚醒】を使ったとしても効果時間中に敵を全て倒せなければ、終了した後すぐに反撃を喰らってやられてしまう可能性が高い。だって【覚醒】だよ?絶対反動ある奴じゃん……
「防御の施設以来ですね。ジェイドさん」
「今度はロザリーアイリスコンビか!」
「施設のバフはもう無いぞ。それで勝てるのか?」
お?良いぞ良いぞぉ?施設バフが無いのに結構押されている理由が分かるかもしれない。勇者も強いけどそれだけじゃない気がしてならないからもし何か別の要因があるのならそれを知りたい
「バフは施設だけじゃない。まだ俺達には逆転の目が残ってるんだ!」
「何?逆転の目だと?」
「行動を起こされる前に倒します!」
「待ってアイリス。まずは観察して」
ロザリーさん多分これ僕に対しても言ってる気がする。でもこれ、もうほとんど答えを言っているみたいな物だよね?
「勇者がバフを発生させてるのか。これ」
勇者が生きている間はまわりの勇者軍にバフが掛かるとか一番あり得そうだ。逆転の目が残ってる、バフは施設だけじゃないとの事だし、勇者がバフを発生させていると考えるのが一番しっくりくる
「どっちにしても勇者を何とかしないとダメそうだな?」
勇者がバフを発生させているにしても、していなくても、こっちが主導で動くには絶対に勇者を何とかしないといけない。勇者に集中したいけど、周りの奴らがそうさせてくれるかは別だし、ロザリーさん達がどうするのかは僕が口出しするより、現場の判断に任せよう
「勇者からのバフで私達とやり合える状態になっているという事なら勇者を潰せば私達の勝利がグッと近くなるという事ですね?」
「ええ、それじゃあやるわよ?」
「合わせます」
レイピアを抜いたロザリーさんと深く腰を落とし、居合の構えをするアイリスさん。ここからどのくらい派手な戦闘になるか、それとも地味な戦闘になるか。最後まで見守っても良かったけど、流石にそろそろ僕もアップをしておかないと急に戦闘になった場合が大変なのと、魔王ロールをすぐ出せる精神状態に持っていこう。やられた場合は霊体になったアイリスさんかロザリーさんが教えてくれるだろうし
「さて、それじゃあそろそろ準備しますか。一応残っている皆さんあの部屋で本当に最後の防衛ラインをお願いします」
「「「「「あーい」」」」」
現在生きている人は、眷属部屋でバルミュラ様の居る場所への最後の防衛ラインを構築してもらおう。その間に僕はやらなきゃいけない事がある
「ゲヘちゃん」
「ナンデショウカ?」
顔だけ出てきたゲヘちゃんにごにょごにょとやりたい事が可能かどうかと耳打ちして確認する
「カノウデス」
「おっ!出来るんだ。じゃあ早速やってもらって良いかな?」
「ショウショウオマチクダサイ」
影の中から胸より上だけを出した様な状態のゲヘちゃんに指示を出し、玉座の間が一回り狭くなる
「えっと、あぁそうだ。王冠にしておくか」
仮面を首輪状態から王冠の形にしておく。これで魔王感アップしたかな?
「ゲヘちゃんヨシ!魔王感ヨシ!アップもヨシ!とにかくこれで全部ヨシ!」
やるべき事は全部やっておいた。一応アップの一環として「遺志を継ぐ権利」がどのような物かを試してみたけど、やっぱり1人に付き1%全ステータスが伸びるという物で、両方の同意があれば好きなタイミングでその権利を使用と解除が出来るというのをハスバさんを実験台として試した結果分かった。だからこれは全員の同意があって、デスしている状態であれば瞬間的に300%強化という事も可能だという事だ。これなら案外使えるぞ?あとはリスポーンについてだけど、1回目はデスした場合は即リスポーンだったけど、2回目以降はリスポーンする時に時間が終わっていれば任意のタイミングでリスポーン出来るという事。つまり、1時間経過するまでは復活出来ないけど、1時間経っていれば、そこから更に10分とか任意でリスポーンしない事も出来る。これによってリスポーン可能状態(デス中判定)を維持して「遺志を継ぐ権利」に協力するという事が可能と判明した
「ハスバさんが「協力するからあの権利について調べてみよう」って言ってくれたお陰で勇者にも対応出来そうです」
ハスバさんの協力のお陰で使えない、ちょっと使いにくいかも?と思っていた権利が切り札の1つとなった。これを感謝せずになんとするか
「俺達もとりあえずリスポーン待機していつでも指揮官の力になるからよ!」
「やっぱり魔王は一対多数でこそでしょ!たった1%でも強さになるなら喜んで死んでおきます!」
「むしろこの幽体状態の方が指揮官の戦いを生で好きな角度から見られると思うと死んでる方が良いまである」
「ステータスバフになってあげるんだから勝ちなさいよ?」
「わはー!ふわふわしてて楽しー!」
あれ?この権利ってもしかしてサボりを作る免罪符になってしまったのでは?