クイズトラップ
「問題!」
「なんだ?なんだ?」
「28×7は?」
「28×7?えーっと……」
ジェイド達が逃げこんだ部屋に用意されているトラップ。それは部屋に入ってきた人に問題を出してくるタイプの設置型トラップ
「10、9、8、7、6……」
「えっと……56と14で196だ!」
「正解!では次の問題!」
「なんなんだいったい!?」
いきなり問題を出されて困惑しているが、解かなければ何も進まないだろうし、やるしかない
「35代アメリカ大統領は?」
「35?35って誰だっけ……」
「35ならケネディでしょ?ちょっと前に習ったわ」
「正解!では次の問題!」
「ジャンルは統一されて無いのか……」
計算問題かと思えば歴史の問題。次はいったい何がくる?
「私が今想像している指を1本だけ上げてください。間違えるとトラップが発動します。回答権は3回までです」
「急にテイストが変わったぞ?気を付けた方が良い……」
「シンキングタイムがすぐに言われないあたりこれは結構考えないとマズいかもしれませんね……」
「ヒントが無いじゃない!あてずっぽうでしか当てれないわよ?」
「それに想像している指だから替える事も可能じゃねぇか!インチキだろ!」
3回のチャンスで5分の1を当てる。だけど想像している1本だからこっちの出方次第で変更する事も可能だと思うのが自然だろう
「答えは絶対に変えないとお約束します。それに、この問題を正解出来れば問題を出すのも最後にしましょう」
「やってみるしかない。勘で当てよう」
ここは勘でやってみるしかない
「じゃあまずは私がやってみても良いでしょうか?」
「誰がやっても変わらない。タナカムが思う1本をやってみてくれ」
「私は親指ですかね」
親指を立てて、サムズアップのような状態で少し待つ。はたして正解か不正解か……
「不正解!残り2回です」
「ダメでした。申し訳ありません……」
「いや、でも確実にあと4本の内のどれかだから進んではいるさ」
たとえ不正解だとしても残っている本数は限られている。答えには近付いているんだ
「じゃあ次は俺にやらせてくれ!」
「何か分かったのか?」
「こういう時は端は中々出てこないだろうし、わざわざどれか1本だけ立てろって言ってるんだ。やってみたら分かると思うが、薬指だけを立てるってちょっと難しいんだ。だからこいつだ!」
そう言って薬指以外の指を逆の手で抑えて、何とか薬指1本を立てている。人体の構造的に1本だけ立てるのが難しいからこの1本だと想定して答えたガチ宮。その答えは……
「不正解!残り1回です!」
「えーっ!?違うのかよ!?」
残念ながらハズレだった
「ヒント。端の指ではありません」
ここで大ヒントが飛んで来た。端の指では無い。つまり2択になった訳だ
「ここはもう運に任せてコインの表と裏で決めよう。トラップが発動してしまったらそれはもう事故だとして諦めよう」
そしてコインを弾き、手の甲でキャッチしてその面を隠す。あとは味方の賛同が得られるかだ
「確かに。ここでこれ以上立ち止まるよりは先に進む為に運任せでも良いからやるべきかもしれません」
「乗ったぜ!」
「仕方ないわねぇ!さっさとその手を退けなさい。皆でその指立ててやろうじゃないの!」
「困った時は神頼みだ!」
一緒に城を登ってきた皆ももうここまで来て失敗したらそれは事故という事でコイントスで出た結果の物を皆で指を立てる事にした
「……なるほど。俺達の答えは、こいつだ!」
コインを隠した手を退けて、皆でそのコインの結果の通りの指を1本だけ立てる。中指の1本を
「正解!お見事!」
「「「「「よっしゃ!」」」」」
正解出来た事で喜ぶ一同だが、もちろんこれは魔王軍の部屋に設置されたトラップ。このまま帰す訳が無い
「正解ですが、その態度……魔王様を愚弄している!直ちにお仕置きを実行します!」
「「「「「なっ!?」」」」」
中指を突き立てるのだからそれは完全に侮辱のポーズだ。勿論、ひっかけクイズというか不正解なら罠起動。正解したらお仕置きモードと言うようにどっちにしても罠が作動する。別に正解したからと言ってもお仕置きが無いとは言ってない
「因みにですが、親指を立てる行為は中東や南米、南アフリカでは「馬鹿」や「くたばれ」という意味を持ち、小指を立てる行為は中国やインドネシア、シンガポールなどでは「無能」や「出来損ない」「役立たず」として受け取られる可能性があるので不用意に使用しない事をオススメします」
日本だとあまり関係無いかもしれないが、ハンドサイン1つで喧嘩になる国もある。ガッツポーズやオッケーサイン、裏向きのピースサイン等もお国柄によっては危険な物になってしまう。出来るだけ知らない人や土地でハンドサインは使用しない方が身の為だ
「へー、そうなんだ……」
「ではお仕置きを実行します」
「やっべっ!そうだった!」
壁の一部がパカッと開き、中から銃口が現れて1人1人に狙いを付けて発砲する
「皆こっちに!」
ドーム状のバリアを展開して射撃トラップを防ぐ。防御出来る人が居なければ全員ハチの巣だった……
『ドクター、どうですか?出来ましたか?』
『ええ、指揮官が部屋の中央に集めて動けないようにしてくれたお陰で敵主力メンバーのスキャンが完了しました。これでいつでも【パフォムエフェクター】であのメンバーを出現させる事が出来ます』
部屋での足止めでスキャンが出来た事で勇者軍の主力メンバーのコピーを出す事が出来るようになった。これで敵を更に混乱させる事が出来る……指揮官の思いつきは城の中に入った敵にどれだけ牙を剥くんだろうか?