小さな取引
「運営からのメッセージって……内容は何だ?」
このタイミングで運営からメッセージって結構重要な物なのでは?
「とりあえず確認だけしておこう」
何があったか分からないけどまずは確認だ
『旅人ハチ様へ、運営のPV担当の者です。このメッセージはハチ様だけにこっそり送っているので他の人には内密でお願いします。今回のイベントにおきまして、ハチ様の活躍は著しく、勇者軍PVと魔王軍PVの他にハチ様にフォーカスしたPVを作成したいと思い、メッセージを送りました。それと、これはとても個人的な事で、どうしてもハチ様にしかお願い出来ない事なのですが……今回のイベント中にハチ様が行っている事のネタバラシを勇者軍にしないで頂けないでしょうか?もちろん強制は致しません。邪魔もしません。出来ればで良いので、どうか検討してみてください』
内容としては2つ。僕に限定したPVを作りたいという事と、ネタバラシをするのは勘弁してくださいって内容か……まぁやってる最中にネタバラシして心理的ダメージデカすぎてそのままゲーム辞めちゃう可能性とか考えたら少しでも軽減する為にイベント終了後のPVでネタバラシの方が良いか。となると……あっちの計画だとデスして復活、ネタバラシでショックを与えて第二ラウンドって考えてたけどその計画を考え直そう。とりあえずこのメッセージに返事をしておけば良いのかな?
『ネタバラシの件についてですが、バラさないようにします。そこで相談なのですが、何か演出がしやすくなるイベント限定スキルを入手出来る機会とか頂けないでしょうか?』
直接スキル下さいって言うのはちょっと憚られるからイベント限定スキルを入手する機会を運営に作ってもらえるか聞いてみる
『ありがとうございます!分かりました。それでは先程の天使が突き刺した剣の所にイベントを発生させます』
おぉ、言ってみて正解だった。まぁプレイヤーの行動に干渉してくるんだからそのくらいの対応をしてくれるんだろう。天使が弔い終わったら岩の所に行ってみよう
『とりあえずこれ以上は僕に干渉しないようにお願いします。これ以上やってしまうと確実にお互いに良くないと思うので』
運営と繋がってるとなると、確実にズルだなんだと言われてしまう。ここはイベントが発生して誰でも取得出来る状態ならズルにならないだろう。まぁそういうスキルが取得出来ると知っていればだけど……
『分かりました。では残り時間は少ないですが、最後までイベントをお楽しみください。ここまでのメッセージログは10秒後に消滅します』
『え?』
そんなミッションがインポッシブルみたいな事……いや、ログを消すだけならすぐ出来るのかな?
「あ、ホントにメッセージログが消えた……とりあえずそろそろ天使さんも弔いが終わったかな?」
メッセージログが消え、運営との会話記録が無くなったのを確認し、天使さんの様子を見に行く
「終わりましたか?」
「あぁ、もう気が済んだ」
そのまま天使が歩いて城を出て行こうとしたので一応声を掛ける
「行く当ては?」
「ない」
「でしょうね」
武器も置いていくとなればもう完全に放浪する気満々だろう。かと言って引き留めるのも違う気がするなぁ……
「そうですねぇ……この戦争が終わるまでの間はこの場から離れておく事をオススメします。ですが、戦争が終わった後でまた会う事があれば真実をお伝えしましょう」
「真実……?」
こういうちょっと気になる事を言っておけば相手の注意を引けるだろう
「今はまだ話せませんがね?」
まぁ問題があるとするなら、イベントが終わった後にこの天使と会えるかどうかが不確定な点だが……
「いったい何が……」
「まぁ、びっくりする内容だとは思いますねぇ?私が生き残っていればお伝えする事が出来るでしょうね」
秘密があるとしても教える僕が生き残るのかが不確定だから秘密がちゃんと教えてもらえるかが分からない状態にする
「何故今だと伝えられない?」
「今、教えてしまうと貴方……多分死にますよ?」
目の前に居るのが軍人もシスターも兼任してる奴って知ったらパニックとか恥ずかしさとかで死にたくなるかもしれない
「なっ!?いったいどういう秘密なんだ……」
「秘密が知りたければ戦争中は戦闘に参加しないように気を付けた方が良いでしょうね。後は私が勝つように祈っていれば良いんじゃないでしょうか?ふふっ」
もう勇者軍じゃないとはいえ、元敵の親玉(だと思ってる)が自分の勝利を祈っていろと言われたらどうするべきかと混乱するだろう
「それでは、また戦争が終わった後で会えたら会いましょう」
「お前は……私に戦えとは言わないのか?」
「元敵側に居た貴方を信用出来ません。たった今武器を手放した貴方を戦力として数えられません。そもそも貴方は負けたのでしょう?断る理由は沢山あれど、貴方をこちらの戦列に加える理由の方が少ないですよ」
「返す言葉も無い…」
よしよし、良い感じだ
「では簡単には死なないように加護を掛けよう。それで生き残って秘密を教えろ」
「まぁ良いでしょう。ありがたく使わせてもらいましょう」
『【片翼天使の加護】 を付与されました』
『【片翼天使の加護】 避けられない絶命の攻撃が来た時に片翼のオーラがその身を守る(1回のみ)』
何か加護もらっちゃったぞ?