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453/2001

勇者一刀

『敵勇者はもちろんの事、ジェイドさんも厄介なので近接組は気を付けてください。遠距離組は他の勇者軍をお願いします。熱湯釜をあと2つ出しておくので城壁の上に居る人の誰でも良いので、ここだと思ったタイミングで投下してください』

 ジェイドさんと勇者の2人は僕と近接組で主に相手をするとして、問題はまだ残っている勇者軍だ。放置したら確実に援軍に入ってくるし、勇者が来た事で冷静さを取り戻した人も居るだろう。今この場で施設バフの入っている勇者軍の大勢を相手にするのは非常に難しい。絶対こういう状態になるのは分かっていたけど、ここでキルされないギリギリで耐える事が出来ればもうイベントは勝ったも同然だ。だからこそここが正念場だろう


「絶対に魔王様の所まではいかせません」

「絶対に勝つ!」

 どう戦力を使えばこの勇者と鉄壁の防御のジェイドさんを突破出来るか、どう立ち回れば魔王軍を突破出来るのか、という状態に見えるけど……実の所ジェイドさんにはあとちょっと攻撃するだけで行動不能に出来ると思う。ドクター、信じてるよ?


「やはり時間が経てば消えるようですね?」

 ジェイドさんが展開したドームも攻撃せずに放置していたらバックラー状のシールドが一枚ずつ消えていき、最終的に全てのシールドが消えた。これで攻撃が通るだろう


「せっかくの大技だったんだがな?」

「いえいえ、わざわざあんなあからさまな物に突っ込んで行ったところで無駄でしかないのは分かり切っている事。バリアが消えた後から攻撃をまた始めれば良いだけです」

 正直あのバリアが1つずつ分かれているのがとても気になったから攻撃を仕掛けなかったというのが正しいだろうか?もしあれがダメージを蓄積して反射とかしてくるとか、攻撃を吸収して自身の能力を向上させる物だったりする可能性を考えて攻撃をしないようにしていたけど、逆に破壊出来ずに残っていたらステ向上の可能性もあった。でもバリアが全部消えたけど体が光ったりしていないし、これは攻撃しないで正解だったかな?


「それでは行きましょうか。近接組の皆さんも行きますよ?」

「「「「「了解!」」」」」

 勇者軍の人数が少なくなっているけど、残りの人数的には遠距離部隊でも充分なんとかなると思う。入ってきたら熱湯釜で対処してもらえれば良い


「簡単に突破出来るとは思わない事ですね」

 というかこれ調整滅茶苦茶難しいよな?だって僕が死なない程度でダメージを受けて退場、味方が死なない、勇者は戦えないレベルのダメージを与えるか倒す、とりあえず勇者軍の誰かに僕が倒れた所の目撃してもらうとか結構可能性細いぞこれ?


「【ファランクス】!」

「またですか?」

 またジェイドさんが【ファランクス】を使って周囲にバリアを張る……ん?【察気術】で一応見えるけど勇者のオーラがどんどん強くなっていく。間違いなく普通じゃない……これもしかして割合攻撃の前兆か?だとしたら確実にヤバいな……【ファランクス】で時間稼ぎをされて割合攻撃をぶち込まれて残ってる勇者軍が全体に攻撃して来たら全滅は免れない


「それを突破しないといけませんね。【ディスラプトマイン】」

 魔法だからか、【ファランクス】のシールドが削られた


「なっ、その魔法は!?」

 おっと、そういえばこれ軍人の時に使ったから言い訳しないと……でもこの人の前で使った覚えは無いし、ガチ宮さんから聞いたのかな?


「先生には色々教えてもらいましたが、私にも先生に教えられる事があったので、この魔法はお礼としてお教えしました」

 この魔法の師匠は自分。肉体戦闘の師匠は軍人という事にしておこう。それならまだ崩壊とかはしていない


「便利なんですよ。こういう相手が動かない状態の時は特に」

「がはっ!?なんだ急に……」

 先程、攻撃で触れた場所に逆の手で触れた事で複合型変質毒の効果が発動する。ジェイドさんの全身から赤ポリゴンが出てきた。出血毒の効果が出たみたいだ。そして【ファランクス】も消えていた。なるほど、さっきの僕がタッチする攻撃(?)を避けられないって事はあの【ファランクス】を使うとその場から動けなくなるか、本当にゆっくりとしか動けないのかも?


「さぁ、今です」

 守りの無くなった今、居合の様に構えていた勇者に対して遠距離攻撃が降り注ぐ


「ぐ……【グランドウォール】!」

「ジェイド!すまない!」

 出血しているジェイドさんが地面に倒れながら勇者を守るように石壁を展開して遠距離攻撃が防がれた。ジェイドさんにも矢とか飛んで来るけど盾で防いでいるのがやっとという状態だ。でも中々面倒な事をやってくれるじゃないか……


「いくぞ!【ブレイブウェイブ】!」

 勇者の放った一撃。ただの居合のような動きだが、何か波動のような物が勇者を中心に広がっていく。これは城の中まで引かないと絶対当たっちゃうけど……割合ダメなら絶対死なないし、ここから何とか敗北手順を考えるか


「なんです……なっ!?」

 HPの8割が吹き飛ぶ。ひょっとしてあの技チャージ時間を長く取れば範囲が増えるとかのタイプか?だからジェイドさんは勇者を守る為にあの大技防御を使ったと考えれば筋が通る。城から離れられない近接の僕達ほぼ全体に8割ダメージを与えられるなら手札の1つや2つの切り時だろう


「これは……マズいですね」

 口ではマズいと言いつつも、これはチャンスだ。近接組全体が8割ダメージを喰らったとするならアレの使い時だな?



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― 新着の感想 ―
[一言] 体感型冒険ゲームをやってるつもりの勇者軍。 対して魔王軍は同ゲーをやりつつ、ハチ劇場の観客兼演者w ハチは今回も微妙に一人ゲームが違うw
[一言] >ん?【察気術】で一応見えるけど勇者のオーラがどんどん強くなっていく。間違いなく普通じゃない……これもしかして割合攻撃の前兆か?だとしたら確実にヤバいな……【ファランクス】で時間稼ぎをされて…
[一言] 事前情報って本当に大切 ただ、相手に(施設が破壊されるまでは)永続バフが付いてる状態で HP八割吹き飛ばされて冷静で居られるかは別だよなぁ
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