オーブさんに相談しよう
「ふむふむ、相手の言い分を聞かずに逃げ出してしまったと?」
「はい……それでちょっと戻り辛くて……」
用意された椅子に座ると机と、対面に白いマネキンが置かれ、オーブさんに上から照らされる。尋問でもされてるみたいだ……
「はぁ……ハチ様?その方達はハチ様の事を嫌っているのですか?」
「嫌っては居ない……と思う」
村で色々良くしてもらってるし、嫌われている訳では無いはずだ
「じゃあ気にせず戻るべきです。ハチ様はビビり過ぎですよ」
おう……辛辣ぅ
「というかいつ言おうか迷ってましたけど何ですかそれ!人間が紋章を装備するなんてありえないですよ!」
「あぁこれは村の皆の協力で新しく作った紋章……らしいです。オーブさんの言った通り探せば僕でも装備出来る武器が見つかりましたよ」
袖を捲ったりして良く見せる。これ服を脱げばもっとわかりやすいかな?
「作ったって……えぇ……?」
困惑しながらも鏡を出してくれるオーブさん
「結構全身にこの模様が出てるんだ」
装備を全部解除すると体中に模様が出ているのを確認出来た
「はぇ……こんな感じの模様が出てたんだ」
顔の左目付近に梵字の様なマークが出ていた。正直このマークにどんな意味があるかも分からないけどカッコイイからオッケーだ
「あの方達に出来て私に出来ない訳がない……」
僕が鏡で自分の左目付近を見ていたら後ろの方でオーブさんがぶつぶつ独り言を言っていた。何をしているんだろうね?おっ、背中にも出てるなぁ?
「確認も出来たし服を着よう……あれ?オーブさん?服返してくれません?」
オーブさんが僕の服を宙に浮かせたままこっちの呼びかけに答えてくれない。え?ここで装備没収?
「あの、没収するならせめてお守りだけは返してくれませんか?大事な物なので……」
オーブさんから貰ったローブやズボンを没収するにしても姫様から貰ったお守りは返して欲しい
「んー、なるほど!これならば!」
空中に浮いたままの服に光線を浴びせる。あの……オーブさん?こっちの話聞いてる?
光線を浴びせられるローブと浴びせるオーブさん。全然こっちを見ない……
「あの、もしもーし……」
「この組み合わせを変えれば……成功です!あっ、ハチ様。無視してすみませんでした」
「あぁいや、とりあえず服返してくれる?」
「ええ、どうぞ」
オーブさんから装備を受け取る
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オーブ・ローブ
レアリティ ユニーク
全ステータス +30
耐久値 破壊不可
特殊効果 成長防具 自身のレベルに合わせてこの装備の性能が上昇する
とある存在が負けず嫌いの精神で作り直したローブ。壊れないだけではなく、装備者に合わせて強くなる性能が追加された
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初期のズボン
レアリティ コモン
耐久値 100%
旅人が最初に履いているズボン。特筆する能力は無い
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初期の靴
レアリティ コモン
耐久値 100%
旅人が最初に履いている靴。特筆する能力は無い
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小鬼姫のお守り
レアリティ エピック
DEF +50
MIND +50
耐久度 150%
特殊能力 即死回避 一撃で死ぬ可能性がある攻撃を受けた場合にHP1で生き残る
小鬼姫が自身の認めた者の為に丹精込めて作ったお守り。死んでほしくないという思いが本当に死を退ける力を少しだけ宿している
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あれ?なんかローブが変わってるぞ?
「あの、これは?」
「まぁ私の負けられない想いと信用出来るハチ様へのプレゼントという事で……一応他の装備の耐久値も回復させておきましたので……というか防具が最初に旅立った時と変わっていませんが……ハチ様は防具を縛ってプレイでもしているのですか?」
「縛っている訳じゃ無くて単に買う所も無ければ入手も出来てないだけなんだよね……」
アクセサリーとかも入手はしたけどアトラさんに預けちゃってるし……ヴァイア様の所で見つけたのは武器だったしねぇ……
「なるほど……現在はイベント製作中でハチ様のプレイを見る事が出来ませんが、何か発見がある事を楽しみにしていますよ」
オーブさんがイベントを製作中って……運営の内部事情的な事言っちゃっても良いのかな?まぁ伝える相手も居ないけど……
「あの、オーブさん?そういう情報って漏らしても大丈夫なんですか?」
「……聞かなかった事にしてください」
「分かりました。誰にも言いません。というかプレイヤーにまだ出会ってません」
「は?いやいやそんな……えぇ……?」
空中にズラァっと文字が浮かび、下から上に凄い勢いでスクロールされていく。早すぎて僕には読めない
「本当にプレイヤーと接触していない……ちゃんとアルターの世界を楽しんでいますか?」
「プレイヤーとはまだ会ってないけど楽しいですよ?色んな出会いもあるし……これから別れもある」
話していてオーブさんに相談した事を思い出した。そう、皆の所にもう一度顔を出すのがちょっと怖い
「その事ならきっと大丈夫ですよ。もし、どうしてもダメだったなら……その時はまた新しい出会いと共に何度でもやり直しましょう。ハチ様は忘れてしまったんですか?全く動けなかった体も何度もリハビリする事で動ける様になったじゃありませんか」
オーブさんなりの励ましを貰い、また皆の所に行く勇気が出てきた
「そうだね。完全に忘れてたよ……物事絶対……何とかなる!どんな時でも前を向いていれば必ず上手くいく!」
「では、行ってらっしゃいませ」
僕の返事も聞かずにオーブさんは僕の周りを高速で回転し、僕をアルテアに飛ばす
「ハチ様ならば上手くいくはずです……さて、イベントのルール等を決めなくては」
ハチを送り出した後、alter・world発売記念のイベントの製作を急ぐオーブであった