精神攻撃
「あー、あー、聞こえているかな勇者軍の皆さん?城へようこそ。どうぞ楽しんで逝ってください」
城内放送みたいな物と監視カメラっぽい城内の様子を確認出来る水晶が使える権利を使用して勇者軍に挨拶だ。ついでにもう精神攻撃もやっちゃうか?
「おやおや?この前私の料理を食べに来た人達が居ますねぇ?流石に今回押しかけて来た人達の分はありませんよ?」
「おい?どういう事だ?」
「敵に飯を貰ったのか?」
「この前……あの囮の時か!」
おっ、喰い付いたぞ?
「またお腹が空いたから恵んでもらいに来たのですか?ダメじゃないですか。もっと少ない人数で来ないと……他の人に黙って食べに来てるんですからね?」
「ち、違う!そんなつもりで行ってはいない!」
「でも喰ったんだろ?俺達に黙って……」
あーあー、ギスってるぞぉ?この前来た50人全員の顔を覚えてはいないけど、言い寄られている人がちょこちょこ居る。言い訳は出来ないぞ?だって本当に食べちゃったんだからね?
「そうですねぇ?白米やステーキくらいなら用意出来ますが、人数が人数なので最低でも4分の1程度まで減ってくれないと振舞う事は出来ませんねぇ?人の減らし方……分かりますよね?」
我ながらゲスいなぁ?
「白米……」
「飯?」
「ま、待ってくれ!俺達は白米なんて喰ってない!アイツが言っている事は出鱈目だ!」
良い感じに疑心暗鬼になってる。で、出鱈目だと言われたら本当にある事を証明しないといけないよね?
「ま、簡単な物ですがこれで信じていただけますかね?」
城内に限るが、これまたバルミュラ様から渡された権利のアイテム転送。それでバナーの前に茶碗に盛られた白米を出す
「あ、あれは!?」
「マジで米じゃねぇか!」
「おいおいおい!嘘だろ!?」
「信じてくれ!俺達はあんな白米なんて喰ってない!」
よし、米の存在を認知したな?じゃあアイテム転送で僕の所に戻そう
「まぁ、貴方達が……どうしても食べたいのなら……やる事は……分かりますよね?うん、美味しい」
くちゃくちゃと音はならないように気を付けて、でも食べている音が伝わるようにして城内放送で流す。食料事情が良くなったとしても、米は流石に無いだろう。その米がある事を認識させてから目の前で取り上げて食べる。これをされたらまぁ僕もムカつくね?
「くっそ……騙されるな!味方同士で戦っても相手が飯を出すなんて事は無い!」
「でも、お前らは喰ったんだろ……」
「それは……確かにそうだが、それはあの時敵に余裕があったからだ!でも今は俺達が攻め込んでいるから飯を出す余裕なんて無い!」
まぁ何とか味方が裏切らないように頑張っているな?
「まぁ遊ぶのもこのくらいにしておきましょう。確かにあの時彼らは料理は食べましたが、それは食べなければ殺すと言ったからです。食料事情に余裕もあったからやりましたが、今の貴方達は力をつけて強くなっています。そんな相手に施しをして勝てるとは思っていません。もはやあなた達は侮れない存在なのですよ」
あんまり追い込み過ぎるのは良くない。少し冷静さを失う程度で留めておかないとトラップに上手く引っかかってくれないだろう。今回は煽られた怒りで冷静さを失うか、ちょっと褒められた事で浮かれて冷静さを失う位になってくれればいい
「私の元に辿り着くにはまだ早いですが、いつか辿り着くでしょう。その時まで私はゆっくりと待たせてもらいます。まずはこの城の最上階でも目指してみると良いでしょうね?」
城内放送を切って、城の最上階でドクターと一緒に待ち構える事にする
「いやぁ、素晴らしい演技ですね?」
「そうですか?一応頑張ってみましたけど、ちゃんと魔王っぽく出来てました?」
「ええ、良い魔王っぷりでしたよ。精神攻撃で冷静さを失わせてトラップに掛かりやすくしたんですよね?」
「おっ、そこまで分かっちゃいます?」
「あんな煽りは指揮官らしくないと思いましたが、あの煽りに何か意味があるとしたら冷静さを失わせたり、敵の連携の妨害をする為にやっているんだろうと」
ドクターも中々鋭い。これはドクターと一緒に敵がトラップに引っかかるか見るしかないな?
「畜生!なんだコレ!?」
「あっぶな!?ぐはっ!?」
「先行けよ……」
「お前が先に……」
「「ふぐっ!?」」
「こんなもの……ごあっ!?」
粘着床に捕まった一人、ペンデュラムアックスを避けた所で横からスピアトラップで貫かれる一人。先に行けと譲っている間に他の人が起動したボウガントラップの矢に刺されて、矢に塗ってある毒で苦しむ2人。設置したトラップを避けようとジャンプで飛び越えたら今度は高い位置に張ってあった糸を切って別のトラップを起動してしまい、丸太で潰される
「少し見ればわかるトラップと見ても分かり難いトラップの2重トラップが中々にえぐいですね?確かにあれなら私も引っかかってしまいますね……」
これのえぐい所はセットしている人が一人では無いので、「ここにトラップを置けば引っかかるかな?」を色んな人がやっているので近い物に意識を集中していたら少し遠くからボウガントラップとかで撃ち抜かれたりする廊下が極めて殺意の高いキリングフィールドになっていた