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紋章を装備

 やだやだと駄々をこねる姫様を宥めるのに時間がかなりかかった。そう、アトラさんがやってくるまで時間が掛かってしまった


「やだやだ!そんな危ない物使わないで!」

「まぁまぁ、やってみないと分からないでしょ?」

「おうおう?どうしたんだ?言い争いなんかして?」

 アトラさんがスッと会話に入ってくる


「ハチが魔の紋章を自分に使ってみるって言うんだ!何が起こるか分からないからやめてって言ってるのに!」

「何?紋章だと?誰からそれの事を聞いた?」

 アトラさんがちょっと真剣な雰囲気で訊ねてくる。真剣なアトラさんって見た事あったかな?


「私だ。アトラ?お前ハチに何適当な事を教えてるんだ。ハチが洞窟の事を勘違いしてただろうが!」

「だってあの洞窟の魔石は中々純度が高くて美味いのに喰って行ったら攻撃してくるじゃないか?」

「勝手に喰って行くんだから怒るに決まってるだろうが!」

 おっと……アトラさんとヴァイア様が喧嘩し始めた。困ったな……さっさと話を進めたいのに


「はい、アトラさん」

「なんだ?」

「アトラさんはヴァイア様の居た洞窟に行って魔石が美味しいから勝手に食べていた。そのせいでヴァイア様が怒って攻撃されて……あの洞窟で物を持って帰ろうとすると敵が出てくるって言ってたんですよね?」

「まぁ……そうだな?」

 アトラさんの話を纏めるとこういう事だよね?


「ヴァイア様はそんなアトラさんの態度に怒っていただけでちゃんと欲しいなら欲しいって頼めば分けてくれるんですか?」

「……まぁ頼んでくるなら分けても良いぞ?」

「じゃあアトラさん?どうしたらいいか分かりますよね?」

「儂に謝れと言うのか?」

 明らかに威圧しているという声音で僕に向けて顔を近付けるアトラさん。周りの皆は委縮というか怖がっている感じがする。僕はと言えばまぁ怖いと言えば怖いかもしれないけどやってる事は食い逃げだし悪いのはアトラさんの方だ


「そうだよ?もしかして恥ずかしくて自分が間違っていても謝れないですか?」

「む、むうぅ……」

 明らかに狼狽えるアトラさん。僕が怖がらなかったからかな?


「僕は相手を脅してお互い納得出来ない解決をするより、自分が悪いと認めてお互い納得出来る解決をした方が良いと思うんです」

 アトラさんに向かってこっちから近寄るとアトラさんが後退る


「わ、分かった……ヴァイア。今まで勝手に魔石を喰ってて悪かった……この通り、許してくれ」

 ヴァイア様の方を向き、地面に伏せる様にするアトラさん。その姿を見て驚愕した表情を見せるヴァイア様


「あのアトラが謝った……!」

 そんなにビックリする事なのか……


「分かった。これまでの事は水に流そう。これからも欲しかったらせめて一言言ってからにしてくれ」

「あぁ、ありがとう」

「これで仲直りって事で良いですか?」

「「ああ」」

 良かった。お節介かな?とも思ったけどこれは直した方がお互いの為に良いと思ったからね


「じゃあ仲直りした所で紋章の件お願いしても良いですかね?」

「ハ、ハチ!その話はダメだと言っただろう!」

 姫様が恐る恐る僕に言ってくる。顔に冷や汗が出ているからさっきのアトラさんに相当怖がっていたのだろう


「ゴブリンプリンセスよ。ハチを見てみろ?さっきの威圧をあれだけ至近距離で受けたのにまるで意に介さん。これ程の胆力があれば紋章くらい何てこと無いかもしれんぞ?」

「それは……確かに」

 姫様もやっと納得してくれたかな?


「じゃあ紋章を装備してみたいんですけど……僕どうしたら良いですかね?」

 紋章を装備するって言っても手に持つとかは出来ないだろうし、ひょっとしてタトゥー的な体に描き込むとか?


「そうだな、紋章にも色々あるが……ハチならばここに居る皆の魔力を込めた新しい紋章を作ってみても良いかもしれんな?」

「なるほど、ハチならば或いは……という事か?」

「おいおい、紋章を新しく作るって?大丈夫なのか?」

「ぽよ?ぽよぽよよ?」

「ハチならどんな紋章でも装備しちゃいそうだけどな?」

「ハチの為に私が関わる事が出来るなら……!」

「「「ハチ様がんばれー」」」

「ん?兄さん人間なのに紋章を付けるんでっか!?はぇーそれは凄い事しますなぁ?もちろん協力しまっせ!」

「ハチが頑張るなら僕も頑張るー!」

「私も微力ながらお手伝いします!」

 ここに居る皆が僕の為に手伝ってくれる……ちょっと目頭が熱くなってきた


「ハチ、紋章が大きくなっても良いか?」

「構いませんよ。どうせ服で隠れると思いますから」

「分かった。では早速始めよう皆の者、ハチを囲め」

 皆が僕の周囲を丸く囲む。すると地面に魔法陣が現れた


「皆の者!ハチに魔力を!」

 僕に両手を向けて色んな色の魔力が僕に向かってくる


「お、おぉ?うおぉぉぉぉ!お?」

 体中を熱が駆け巡る感覚と暴れたくなる衝動が起きるけどその衝動はすぐに収まる……なんかもやっとするなぁ




「新紋章定着確認……成功だ!」

 体の違和感が消えたと思ったらアトラさんの声が聞こえた。どうやら成功したみたいだ


『武器 アストレイ・オブ・アームズ を入手』


 ---------------


 アストレイ・オブ・アームズ


 レアリティ ユニーク


 全ステータス +20%


 耐久度 破壊不可


 特殊能力 成長武装 自身のレベルに合わせて武器の性能が上昇する 

 本来人間には装備出来なかった紋章を魔物達の協力によって無理矢理装備出来る様に作り出された本来の紋章とかけ離れた全く新しい紋章


 ---------------


 袖を捲ったりして確認すると黒い炎というか波の様な模様が手と足に出ていた。もしかしたら顔とかにもこういう模様が出てるのかな?


「ねぇ?僕の顔に模様とか出てる?」

「左目側になんかカッコイイのが出てるぞ?」

 顔にも何か出てるみたいです



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― 新着の感想 ―
邪神級が2体おるのに元気玉しちゃうんですか?!?!
[一言] 元気玉ならぬ絆玉?w 結果的にプレイヤーの前に出たら誰かの黒歴史を刺激する存在にwww
[気になる点] 死ぬ可能性が有るなら姫様のお守りを外さないと…… もし失敗して、仕方ない、じゃあ殺そうってなった時に無駄に生き残るわ痛いわアイテム消失するわ、碌なことが無いと思う ちゃんと外そう
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