表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
416/2000

陽動要請

「ふぅ、とりあえず人はもう居ないみたいだな?」

 地割れの中、下にマグマがある状態だけどシロクマコスチュームのお陰で熱くないし、傷口が塞がるまで壁を這って移動して、地上に出られそうな場所を探す。念の為【察気術】で地上を確認してみるけど、もう上には人が居ないみたいだ。倒せたと思ってもう行ってくれたかな?


「ある程度登ってしまえば熱も我慢出来るからとりあえず登ろうか」

 クマの恰好でいつまでも敵陣の危険な場所に居る必要は無い。採掘労働者の服でも着て動けば多少は敵陣でも動きやすいかな?それとも味方に頼んで少し陽動をしてもらうか


『偵8から全体へ、現在C7にて軍人キャラを敗北させました。ですがまだ日中なので帰還するのが若干難しい状態です。出来れば軽くで良いので陽動して頂けると嬉しいです』

 こういう時は助けを求めるのが良いだろう。夜間だとかなり動きやすいけど、日中だとやっぱり機動力と隠密性がガクンと落ちる。行きは注目を集めるのに適当に歩くだけで良かったけど、帰りはそうもいかない。今回の作戦の帰りの事をすっかり忘れていた


『了解。注意を引くだけで良いんだな?』


『ええ、脱出する為の時間稼ぎだけしていただければいいんで、戦闘はしなくて良いです』

 この場から出る為だけだから戦闘なんてしなくて良い。それで死なれたら僕の作戦ミスだ


『良いぜ、俺がバイクで注意を引こう。出来ればもう一人居ると指揮官の左右から注意を引いてより安全に救出が出来る』


『じゃあ俺が!』


『私が!』


『俺が!』


『じゃあ俺が!』


『ここは私が!』


『いつまで続けんねん!譲れよ!』


『ここは悪いがどうぞどうぞとは譲れねぇな?』


『指揮官を救うのは俺だ!』


『救わねば……』


『アンタ達施設の防衛してるでしょうが。何人囮に出る気よ?』

 ごもっともだ。ここまでの人数が来る必要性は無い


『とりあえず生存能力を考えて、機動力のある方が注意を引いてもらえれば敵に捕まる事も無いと思うので、助けてくれると言っていただいてる方の中から機動力の高い方を話し合いで決めていただけますか?それまで待ってますから』

 機動力の無い人が厚意で僕の為に囮に立候補したとしても正直な事を言ってしまえば無駄死にしてしまう可能性が高い。それなら機動力という条件で足切りして、勇者軍から逃げられる人が囮役をやってもらえるのが一番だ


『じゃあ【狼ダッシュ】で逃げられる俺かな?』


『お前遂に狼に乗れるようになったのか……』


『可愛がってたら狼が大きくなって俺が背に乗っても大丈夫な状態になったからそれで注意を引くよ。それなら多分敵に追いつかれる事は無いと思うし』

 そういうのもあるのか。狼に乗るっていうのも良いなぁ?


『じゃあ、その2人で囮お願いします。敵は攻撃施設を既に修復を済ませているらしく、攻撃バフが入っているので気を付けてください』

 一応敵が攻撃バフを既に得ている事を伝えておく。捕まったら大ダメージか死ぬ可能性が高いからこの情報だけは伝えておくべきだろう


『へぇ?もう攻撃の大型施設は修復されたのね。それじゃあ距離を取った方が良さそうね?』


『STRだから銃とかは効果が無いだろうし、まだ遠距離戦をした方が大ダメージは回避出来そう?』


『近接戦よりは確実に大ダメージは回避出来るだろうけど、相手の人数次第じゃね?弓って確かSTRを積めば大弓が使えるし、DEXを積めば命中率は上昇するからSTRとDEX振った大弓使いとかも居るだろうし……』

 大弓かぁ、僕が使うのは難しそうだけど確かにでっかい弓は弦を引くのにもかなりパワーが必要だろう。それに弓自体を運ぶのが大変そうだ


『まぁAGIの施設が修復されて無いから走って追いつかれる事はまず無いのが救いかも。本当に指揮官がAGIの施設守っとけって言ってなかったらこういう時にもっと辛かったかも。先見の明あるわぁ……』


『まさかここまで読んで考えてたんだ。すげぇな指揮官』


『そうでしょうそうでしょう?』

 深読みし過ぎだと思うけど、まぁ合わせておこう


『どうせそこまでは考えてなかったでしょ?』

 キリエさんから鋭いツッコミが来た


『い、いやぁ?ソンナコトナイヨ?』


『まぁ、そこまで考えてなかったとしてもあの施設は大事だと嗅覚で嗅ぎ取ってたとするなら充分凄いよ』


『棒読みなんてわざとらしい事しちゃってー?』


『とか言いつつ、実は綿密に考えてたんでしょ?』

 ちょっと待って?なんか妙に評価が高いせいで期待され過ぎている


『この指揮官はそこまで考えてはいないわよ?多分これが良いって思い付きで行動してその結果が勝手について来ちゃうだけなのよ』


『あぁ、ラッキーボーイ的な?』


『運を引き寄せてる感は確かにあるな』

 キリエさんからのフォロー?によって上がり過ぎた期待が少し下がった感じがする。正直期待が高過ぎて僕に出来ない事でもやれるハズだと思われて助けてもらえないかもしれない。少しくらい頼りない方が助けてやるかぁと手を貸してくれるだろう。出来ない事は出来ないし、助けてもらう事は恥ずべき事じゃない。キリエさんの命令一回くらいは聞いても良いかな?


『私にとってのおもちゃがこれだけ楽しませてくれるんだから文句は無いわね?』

 いやぁ、これ命令一回聞くのも危険そうだなぁ……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり彼女はアカン人や・・・。
[一言] 狼に乗れると聞いて、 もののけ姫っぽい想像が。 第3勢力みたいな感じで、 自然の代弁者プレイとかもできそう。 (魔王と勇者の戦い、流れ弾で被害を受けた自然からの怒り~~~的な)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ