死に駆け軍人
『とりあえず今から敵が進軍してこないように軍人キャラで歩き回って注目を集めようと思います。一人で居る所を見れば敵が来ないとも限らないですし、そうだなぁ……あっ!せっかくならより注意を引きやすい様に弱っている演技でもしながら練り歩きますかね?』
『四天王が傷付いて放浪していたら討伐するチャンスか仲間に引き込むチャンスよな?』
『無傷なのに注目を引く為に弱ってる演技とかめっちゃ質悪いw』
『とりあえずトマトジュースで血塗れとかが良いですかね?』
こう、ポタポタ腕から滴るようにやってみるかな?
『完全にアニメとかの世界観w』
『めっちゃ面白そうだし、やってみて欲しいw』
『これはPVが楽しみですねぇ!』
『迫真の演技を頼むわよ?そしてやる場所を教えなさい?遠くから見ておくから』
『見て何する気なんですかね?』
キリエさんは僕が酷い目に遭うのが見たいのか?
『死にかけの演技なんて絶対面白いじゃない?後でPVで見るのも良いけど、自分の目で見ておいた方が良いじゃない』
完全に面白がってるだけだこれ
『とりあえず発見してもらえるように出来るだけ前線の方に行こうと思ってますが……何処か高い所とか無いですかね?もしくは落ちる事が出来る場所とか知ってたらベストなんですけど』
『あっ、それならC7辺りで地割れが起きて落ちる事は出来ると思うけど……そんな所に落ちたら指揮官でも生きていられるかは分からないよ?』
地割れ……中々のベストプレイスでは?
『それって下は溶岩とかそういう感じですか?』
『そうそう、かなり下に溶岩があるから落ちたら終わりな所。まさか本気でそこに行くつもりですか?』
完璧な所だ。絶対に行くべきだろう
『丁度良い所ですね。じゃあそこで死んできます』
崖の上から、滝の上から、そういう所が本当は良かったけど、地割れで下はマグマ。それも本当に落下したか確認出来ない場所なのだからこれ以上の場所は無いだろう。発見した人グッジョブ!
『死んできますは草』
『指揮官の軍人姿もこれで見納めかぁ……PVで沢山見せてくれよ運営!』
『四天王はこれで3人目がやられた事になるのかな?』
『黒の乙女、変態とクロクマ、そんでもって軍人が消えるのか……残るのは何?』
『最後はシスターですね。とりあえず今日軍人を敗北させて、ロールプレイを減らしておかないととてもじゃないですがしんどくて……』
1人で何役も出来る声優さんとか凄いよなぁ……僕には無理だ
『とりあえず行ってきます。皆さんはゆっくりしてください』
どうせ死ぬ演技をするだけだ。他の皆を巻き込まないようにC7に行ってみよう
「くっ……全く」
敵が【察気術】の察知範囲に入ったからボロボロモードを開始する。ちょっと早いかもしれないけど今からやっておけば急に近寄られても問題無いだろう
「おい、あれ……」
「ん?なんだあの恰好、敵か?」
「アイツはアレだよ!四天王の一人!」
良いぞ良いぞ。喰い付いた
「なんだ、貴様ら……」
「おい、良く見ろ。怪我してるぞ!」
「あの状態なら俺達でもいけるんじゃないか?」
「あの出血の感じなら倒せなく無いんじゃね!?」
疑似出血で傷だらけ状態を演出してみたら結構簡単に引っかかってくれた
「アイツを倒せば俺達だって!」
認めてもらいたいとかそういう事かな?まぁ簡単にはやられないけど
「よっしゃ!そういう事なら俺がやってやんぜ!」
「攻撃バフが入った今、四天王だろうと俺達は止められねぇぞ!」
ほうほう、攻撃バフは既に修復出来たと、やっぱりそこに最初は注力するよねぇ
「クソッ、まだやらねばならん事があるのに……病には勝てんか……」
とりあえず弱ってますアピールと、架空のストーリーを作ってこの人達がどう動くのかチェックだ
「病……まさか実は死に掛けだって言うのか?」
「病気なのにわざわざ前線出てくるとかコイツ案外バカじゃね?」
「行ける!行けるぞこれは!」
オッケー、完全に排除ルートね?これで後腐れなく死ぬ演技が出来る。まずは回避しながら、さっき情報を貰った地割れの地点の方に逃げよう
「くっ!こんなウジ虫共を相手に……一度撤退せねば」
「逃がすかよぉ!」
僕の背後に回り込んだ奴が斬り込んでくる。勿論【察気術】で動いていたのは掴めているし、攻撃は回避して敵陣側に逃げる様に動く。これで確実にここにいる奴らは引っ張る事が出来るだろう
「筋は良い、だが不意打ちをするなら声は出すな。ごほっ」
せっかく後ろを取れているのに大声を出してしまってはバレるから不意打ちの効果が減ってしまう。一応今までやってきた教練風にやってみて反撃に移行しようとしているタイミングで口に少量含んだトマトジュースを吐き出して、吐血したように見せかける。そしてカウンターをワザとミスする
「おい!これなら勝てるぞ!」
「今までこっちが悔しい思いをしてきたんだ!ここでひっくりかえしてやる!」
「コインも撃ってこないし、今がチャンスだ!追え追え!」
カウンターミスを(わざと)したので反撃されないように逃走を選択する。さぁ、沢山連れて来て僕が死ぬシーンを皆さんに見てもらおうじゃないか