復調
「ふぅ、森のトラップはとりあえず設置出来たし、昼食作るか」
トラップ用に持ってきた分の爆弾は全部設置してきた。一応バルミュラ様用のフルコースを作る為に城を出る前に少しだけ仕込みとかしておいたけど……どうかな?
「おぉ~、これなら美味しく作れそうだ」
ちょっと想定よりも時間が掛かったので、若干濃いめの味付けになってしまうかもしれないけど、まぁその辺は許して欲しい。不味くはならないハズだ
「よし、出来た!」
コース料理だから食べている間に作るべきだろうけど、インベントリに仕舞えばある程度時間は関係ない。ほとんど作りたて状態だ
色んな食材を見て決めたフルコース。イカれたメニューを紹介するぜ!
「サケリンクスのカルパッチョ、美味しいって言ってくれたオニオンスープ、何処で獲れたのか分からないけど鰻っぽいウナギラのポアレ、イチゴとブルーベリーが混じった様な味がするパープルベリーのソルベ、多分牛の肉だと思うメイビーローストビーフ、生クリームがちょっと作る事が出来なかったから完璧じゃないけどパフェ……不完全だからインパフェかな?」
後半になるほど曖昧になっていくフルコース。味見はしたけど全部美味しいからバルミュラ様に出しても問題はないと思う
「ただいま帰還しましたー!例の物は何処ですかぁ!」
「あぁ、チェルシーさんお帰りなさい。パフェ出来てますよ」
「イィィヤッホウ!」
テンション上がり過ぎでは?
「おっと失礼、食料問題がどうしても辛かったので……」
「まぁ甘い物でも食べてどうぞ」
「おぉ!本当にパフェが出来てる!うへへへへ~」
パフェを見せたらにやけ顔になるチェルシーさん。そういう顔は出来るだけ人に見せない方が良いと思う
「じゃあ僕はバルミュラ様に昼食を持っていくのでこれで」
「因みにどんな物を?」
「カルパッチョ、オニオンスープ、ウナギのポアレ、パープルベリーのソルベ、ローストビーフ、パフェですね。フルコースを約束していたので……これを人数分作るのは流石に無理ですね。バルミュラ様用なので……パフェだってチェルシーさん以外の人には出してませんから内緒ですよ?」
まぁメッセージで思いっきり言っちゃったけど
「ハチさんってフランス料理も作れるんですか?」
「前にちょっと食べた事があって、再現出来ないか試してみた事がありまして……完璧とは言えませんがそれっぽいのなら一応って感じです」
本当に美味しい物が食べたいのならお店でお金を払って食べるべきだけど、自分で食べるくらいなら多少はオリジナルな要素が入っていたり、手を抜いた簡易的な物でも充分だと思う。ましては今は一応戦時中。そんな中作るフルコースなんだから多少の事は目を瞑って欲しい
「普通の人はレトルトとかで済ませるんですから、作れるだけでも凄いんですよ?それにこの場で作ってるんですから……ホフマンさんとか芋のスープくらいしか作れなくて嘆いていたのにこっちはフルコースを作っているんですよ?」
あぁ、ホフマンさんが芋のスープくらいしか作れないのは可哀想だな。色々ホフマンさんの料理を食べたけど、素材があれば絶対こっちより美味しい物を作れたとしても何ら不思議じゃない
「仲間に恵まれてるお陰でこっちは快適に戦闘以外も出来てますからねぇ……本当に感謝ですよ。チェルシーさんも休憩はしてくださいね?」
「あなたがそれを言いますか?とは思いますが、そうですね。休ませてもらいます。パフェを食べてからなぁ!」
一応スプーンは刺しておいたから直ぐに食べる事は出来る。パフェにそこまで食い付く理由が分からないけど、まぁチェルシーさんはパフェが好きなんだろう
「失礼します。バルミュラ様、料理をお持ちしました」
「おぉ、もうそんな時間か、では頂くとしよう」
まずは前菜のカルパッチョを出す
「これは……生の魚か?」
「一度凍らせていますし、私も食べているので安全です。それでも受けいれられないと言うのでしたら、前菜は飛ばしてスープからでも……」
「せっかく用意してくれたのだ。頂こう。生の魚を食べるのは初めてだが……おぉ、意外と美味い」
カルパッチョを気に入ってくれているのか、食べるのも中々のハイペースだ
「先程も喜んでいただいたオニオンスープです。ウナギラのポアレもどうぞ」
本来なら食べたら次の物を出すというのが普通だけど、意外とバルミュラ様の食べるペースが速い。まぁ、僕とバルミュラ様しか居ないのでテーブルマナーがああだこうだ言うつもりは無いのでどう食べても良い。食べるのが早いのはそれだけ元気になったからだろう
「スープといい、このポアレもふっくらしていて美味い。ハチは料理を作るのも上手いな?」
「お褒めいただき光栄です。口直しのソルベをどうぞ」
口直しとかの必要が?と思うほどのペースで食べる。メインディッシュ一直線だ
「うむ、さっぱりしていて食べやすいな?」
「次は肉料理なので一度口の中をリセットさせる意味合いがあります……ローストビーフです」
喋っている間に食べ終わるって凄いな?もうメインディッシュ来ちゃったよ
「素晴らしい!程よい赤身だ。これは美味いと見ただけで分かる!」
皿に盛りつけた肉が消えていくよ……?