パンドーラ召喚
『指揮官、米の物を食べたいと言う人が結構います。カレー、うどん、オムライス、カツ丼、カルボナーラとリクエストが来ていますが……作れそうな物はありますか?』
『こっちも米くいてーって人が結構居ますー』
『指揮えもーん、お米出してー』
「お米かぁ……まだ見つかってないよな?だとしたらあのお方に頼んでみよう」
お米に関してはスペシャリストが居るから聞いてみるとしよう
「あー、もしもしウカタマ?」
「おっ?ハチか。どうした」
パンドーラでウカタマに通話を掛けてみた
「ちょっと今お米を食べたいっていう人が沢山居て、ウカタマをこっちに呼んで米を作るか増やすか出来ないかなぁと思ってるんだけど……出来そう?」
「ならば稲を持って行って増やすか。何人程度を喰わせるんだ?」
「ざっと300人くらいです」
概算で言ったらそのくらいだろう
「いつの間にそんな子沢山に……いったい何人女を囲んだんだ?うりうり~」
「出来ないなら今度御稲の国に行った時にウカタマの毛を全部抜く。ダッシュで向かって全部抜く。まずは頭皮から……」
「出来ます!だから毛を抜くのは許して……ハゲはいやだぁ!」
「その頭皮を不毛の荒れ地にしたくなければ余計な事は言わない方が身の為だよ?」
「ねぇねぇ?脅迫してる相手は一応神だよ?分かってる?」
「一応今僕は魔王(仮)ですよ?」
「何があったか詳しく聞きたいし、今から稲持って行くわ。はよ呼んでくれー」
黒武と白武は軍人スタイルの時に声は掛けたけど呼ばなかったし、可哀想だから一緒に呼ぶか
「はいはい、出でよ。黒武、白武、ウカタマ」
ほぼ全部のMP使って3人を呼ぶ
「「……」」
「やぁやぁ、呼ばれて飛び出てじゃんじゃらじゃん。って!ちっちゃ!?ん?あぁ、2人も一緒に呼んでたんじゃ流石に魔力が足りないのも仕方ないか」
大体1人当たり呼び出すのに使ったMPは500程度。実質MP1000で呼び出したから黒武と白武は戦闘要員として、ウカタマは補給要員としてちゃんと動けるとは思う。まぁでも最初は皆補給要員として料理の手伝いをしてもらおう
「ウカタマは米を、2人は一旦手伝いしてもらえるかな?ごめんね、戦闘じゃなくて……」
「「……」」
首を左右に振る黒武と白武。うん、気にするなと言わんばかりだ
「とりあえず300人程度が喰う米を用意すれば良いんじゃな?フォッフォッフォ。まかせんしゃい」
「じゃあ皆に米が食べられるって連絡しておくね?」
ウカタマが米を用意出来るというなら連絡しよう
『少々時間が掛かりますが、お米の用意出来そうです。えっと、カレーにうどん、オムライス、カツ丼、カルボナーラ、米くいてーって人おにぎりでも大丈夫でしょうか?それなら一応全部作れるかと思います。異界の戦士君はしょうがないなぁ?ちょっとだけだよ~?』
とりあえず連絡はしておいた。これで米が出来たら要望された料理を作ろう。一応料理の本とかも家族旅行に行っていた間にちょこっと見たけど、頼まれた物は何とか作れそうだ
「おうおう、この辺の土地全部米にしてやるからなぁ?」
「頼んだよ。僕はその間に色々仕込みをやっておくから。黒武と白武は稲の刈り取りと運搬をお願いしても良いかな?」
「「……」」
城の外にウカタマを連れて行き、土地の選定をしてから咥えていた稲を地面に植えると凄まじい勢いで稲が地面を広がり増殖していく。雑草なんか比じゃないレベルの繁殖力だ……これなら皆が米を食べる事が出来るだろうし、米はウカタマ達に任せて下準備とかさっさと済ませよう。さっきから何も言わないけどずっとニコニコしながらこっちを見て外まで付いて来ているドクターが「説明して欲しいなぁ?」って表情でこっちを見ている。下準備もそうだけど説明もしないといけないな……
「……僕の召喚獣的な存在です」
「うん、さっき箱?みたいな物で会話してたみたいだけど、神って言ってたね?」
眼鏡をクイッとしながら話すけど、笑みが消えない。純粋な好奇心だと思いたい……
「まぁ、神を自称してるだけですから……」
「召喚獣にしては随分流暢に話していたね?人の言葉を話せる召喚獣は凄くレアって聞いたよ?」
「……眷属だって話せるじゃないですか?」
「今指輪付けてないんですよねぇ?」
ダメだ、言い訳出来ない。完全にその存在は何か説明しなさいと圧を掛けられている
「えっと……なんて説明して欲しいです?」
「そう言われると困りますね……とりあえず本当に神なのかとかどうなのか興味がありますね」
うーん、どういう存在かは言っても良いかな?ある程度他はぼかすけど
「じゃあ他言無用でお願いします。あの狐のお陰でアルターにお米が流通するようになりました。一応神らしいです」
「噂でとあるプレイヤーが米の流通ルートを確保してくれたという噂は聞いていたけど、そのご本人様が目の前に居るとなるとこれは凄い情報だ。お米は自由自在に作れるのかい?」
お金儲けでも考えているのかな?まぁ、ドクターって色々実験するのに器材がーとかありそうだし……
「あぁ、勘違いしないでください。これはただの知的好奇心で聞いているだけです。お米というある意味とんでもない商材を持っているのにどうしてそれで一財産作らないのかと」
「単純にそんな事をしたら信用されなくなりますし、そんなつまらない事で友達を失うのは嫌なだけですよ」
「ほうほう?友達という関係性なんですね?残りの2体とは?」
「なんか主従の関係になっちゃってます」
「なんか……ふふっ、これはとても興味深い。何だかもっと観察したくなってきました」
「観察よりもまずは回復薬じゃないですか?」
「おっと!忘れる所でした。皆さんに迷惑を掛けないように製作に戻ります」
ふぅ……回復薬の話のお陰でなんとか面倒にならずに済んだ。おっと、僕も料理の下準備を忘れる所だった