野戦軟膏
「薬草と魔水を合わせると基本的な回復薬が出来るからそこからどうアレンジするかはその人次第って事だよね」
他の人のも見て見たけど大体は飲むタイプだったからアレンジ次第でそういう形態自体の変化も出来るんだろう。僕の場合は魔水の代わりにインクリー草を使っていたから野戦生薬っていう物になったんだろう。そういえば食べられないけどスライムゼリーとかにこの薬草と砕いた魔石とか混ぜたら回復効果のある塗り薬的な物になるんじゃないかな?
「ねぇねぇ?ちょっとゼリー分けてもらえる?」
「ぷよ?ぷよよ~」
思い立ったらやってみる。眷属ルームにいたスライム君にゼリーを分けてもらえないか聞いてみたらぴゅーっと多分口だと思う所からスライムゼリーを出してもらった。さて、これで上手く行くかやってみよう
「水分は多分簡単に吸い込まれると思うからやっぱり魔水は抜きでやってみようかな?」
魔水が跳ねるのも嫌だし、素材として魔石は結構あるみたいだから、1つ使わせてもらおう
「魔石と薬草を同時にゴリゴリするのは中々難しいな……でも完成が楽しみだ」
魔石が潰しにくいから中々大変だ。とりあえず薬研で薬の素を作って、これをスライムゼリーと合わせたらどうなるかな?
「ドンドン細かくなっていくし、色も変わってきたかな?」
薬研でゴリゴリしていくと魔石が細かくなって段々薬草と馴染んでいく。なんかほんのり全体的に色が変わってきた気がする
「これで食べるタイプじゃない回復薬が出来るはず……」
この作り方なら正直すり鉢で混ぜるべきだけど、薬研でゴリゴリしながらスライムゼリーと回復薬の素と混ぜ合わせる。果たしてどんな物が出来るかなぁ?
『野戦軟膏を入手しました』
『野戦軟膏 安全を確保出来ない状況で作られた軟膏。傷口に塗ると少ししみる HP20%回復』
「軟膏か、これは使いやすいかも」
ちょっと試しにどっかで怪我しよう
「ちょ!?指揮官何してるんですか!?」
「え?ちょっと自分で作った薬の効果を確かめる為に怪我しようかと……」
机に置いてあったナイフを蹴り上げて自分の指を少し切ろうとしたらドクターに止められた。ちょっと血が出る程度の小さい傷をつけようとしただけなんだけどな……
「oh……ちょっとクレイジー過ぎませんか?」
「まずは自分で実験するのが一番かなって……」
「その心意気は尊敬しますが、どういった薬か見せてくれませんか?見せていただけたら大体の事は分かりますので……」
「ドクターがそういうのなら……どうぞ」
野戦軟膏をドクターに渡す。ホフマンさんの食材の目みたいな何かそういうものを持っていたりするのかな?
「野戦軟膏……これは初めて見た薬ですね。ん!?これは複数回使用出来る回復アイテムでは!?」
「まぁ飲むものじゃ無いから複数使えてもおかしくはない……かも?」
常識的な現実の塗り薬なら色んな大きさの傷に対応する為に何回も使用出来るのは当たり前の事かもしれない。でもゲームだと液体の回復薬を1本飲めば即座に、どこの箇所の傷でも治るというある意味非常識な事が常識になっていた。だからこそ複数回使用出来る回復アイテムという存在を見逃していたと言う事かもしれない
「いやいや、これは回復アイテムなのに複数回使えるという事が重要なんです。再利用可能なアイテムは確かに色々存在していますが、回復アイテムでそうですね……5~6回は使えそうなこのアイテムはとても特殊なアイテムです。いったい何を使ってこのような物を?」
「僕にとっての万能素材であるスライムゼリーですね。料理にも使えますし、今回は薬を作るのに役に立ってくれました」
スライムゼリー本当に色々使い道があってかなり優秀だよね
「スライムゼリー……なるほど!ゲル状の物質に薬効成分をキープさせる事で複数回使えるようにしているという訳ですか!欠点と言えば、軟膏なので背中や装備の上からは使用するのが難しい事でしょうか?これ頂いてもよろしいですか?成分を知りたいので」
スライムゼリー以外は何も特別な物は何も入れていないし、簡単な説明だけしようかな
「薬草と魔石を薬研で色が変わるまでゴリゴリしてスライムゼリーに混ぜ込んだらこうなりました」
「ん!?色が変わった?それに魔水は入れてないんですか!?」
「魔水は入れてないですね。スライムゼリーは水分を吸ってしまいますし、魔石を砕けば魔力は充分かなぁと」
ドクターみたいにHPとMPを同時に回復出来る薬では無いけど、HPを回復する為の薬であればそこまで過剰に魔力を込める必要は無いと思う
「なるほど!やり過ぎるのではなく、適度な所で止めるのも良いんですね!私はどうしても1つでHPとMPも回復する方が良いと思って込めていた魔力が過剰だったのかもしれません。それに色が変わるという事象は未だに見た事が無かったので、魔水を使わない事で変化があると……基本から離れ過ぎないように薬草と魔水は固定で、そこに何か足す事ばかり考えていていました。指揮官のお陰で新しく開拓出来そうです!」
「ヒントになったなら良かったです。これを量産しても大丈夫ですか?」
ここの主任的なのはドクターだと思うので聞いておく
「もちろんもちろん!お願いします!」
許可も貰えたし、野戦軟膏を作っておくか