異形軍人 出現
「嘘……」
「やったのか?やったぞ!アイツがやった!」
「あのNPCを倒したぞ!」
「そんな……やられちまったのか!?」
うーん、何かあの人見覚えが……あっ!砦の時の大根演技の人じゃん!って事は素でアレなら演技しない方が良いんじゃないか?
「じゃ、あとを頼みます。今なら鉱山ががら空きだと思うのでそっちに向かいます」
「了解しました。こっちは任せてください」
とりあえずあっけない終わり方をしてしまったけど、これで黒の乙女?とかいう存在は一旦消滅したので向こうも少しはストレス発散出来たんじゃ無いかな?ここからは他の所からも集まった残りの人に施設の防衛を任せよう。僕がこれからやらなきゃいけないのは闇結晶を大量に集める事だ。小さな勝利で喜んでいる隙に最後に勝利する為の素材を集める。その為に負けを演出をしたんだから後は他の人に見つからないように慎重に行動しよう。味方に見つかるのは良いけど、敵に見つかるのは一番ダメだ。白ローブも黒ローブも使えないしクマもダメだ。シスター服?目立たないようにするって言ってるのに最初からそんな選択は無い。ポン君に頼んで服の形を変えてもらえるかな?
【影移動】とか【擬態】などを使って施設から離脱してある程度離れた人の居ない場所でポン君に頼む
「ポン君、服の形を少し変えてみてくれる?」
ポン君に頼んでローブの変形をお願いする。そろそろローブという形自体を変形させた方が別の人っぽくなれるだろう
「ハイ」
ポン君が憑りついているローブがボコボコと何か沸いているように蠢き、一度形がドロドロになってから別の服装を形作る
「これは……」
少しダボッとしたズボン。何だっけ?ニッカポッカ?そんな感じのズボンをエゴのブーツ部分がキュッと締めている。そしてカッコイイと自分で言っても良い程決まっている制服。いや、これ完全に……
「軍服じゃないか……」
コスプレのドイツ軍人みたいな恰好。ポン君に任せた結果こんな格好になった。いやこれローブより目立つよ?
「ダメ?」
「うーん、ダメじゃ無いけど……今はこの恰好はあんまり良くないかな?」
これから潜入をしようとしているのにこれじゃあ占有する人の恰好だよ
「いや、黒い乙女が居なくなったから新しい奴が出てきたって事にすれば良いか?でもこの恰好でも出来るだけ隠密出来るなら隠密していこうか。でもこの恰好での主戦闘スタイルはどうしよう?」
ゲヘちゃんでのインパクトある戦闘は白ローブ魔王、人間をムシャムシャするスタイルの黒の乙女、1回しか使わなかったけど黒の乙女と似てるけど見た目が違うから似ている戦闘スタイルでも全く違うように見えるグロテスククロクマスタイル、そして今は軍人……銃とか使えれば良かったんだけど、無いしなぁ……魔硬貨での攻撃は多分プレイヤーをキルするには威力が足りないけど、余程防御力がある相手じゃない限り、攻撃を中断させるくらいの威力はあるはず……でもメイン武器にするには心もとない。ここはやっぱりあの2人の力を借りよう
「あ、あー黒武?白武?聞こえてる?」
パンドーラのマイク(?)に話しかける
「「……」」
喋れないんだったー!と、とりあえず聞いてもらおう
「あの、後で力を貸して欲しいんだけど……ダメなら1回、オッケーだったら何か2回叩いてもらえる?」
「「ドンドン!」」
どうやらオッケーみたいだ。これで軍人スタイルでも戦えるな?
「ありがとう。それじゃあ助けて欲しい時になったら呼ぶからその時はよろしくね?」
「「ドンドン!」」
喋れないのはやっぱり意思疎通がしにくいけど頑張って伝えようとしているのは分かる。この恰好での戦闘は2人に頑張ってもらおう
「あの2人がバフの入ったプレイヤー相手にどのくらい戦えるか分からないけど、全く歯が立たない訳は無いハズ……何処までやれるかは別として戦闘する時にインパクトがある事が重要だよなぁ」
ただ強い。それよりも何かしら特殊な行動をする相手の方がより頭に残る。ただレベルを上げれば勝てる相手より、何か特定の属性の攻撃しか通用しない相手とかの方が面倒で覚えていたりするものだ。だからこそただ強いのではなく、今回の軍人スタイルは戦うのが面倒と感じるような戦いをする事をしよう。まぁ戦闘にならないのが一番だけどね?
「ある程度の方針は立ったし、鉱山に向かおう。おっと、その前に……」
ついでだし、仮面を変形させて今の服装に合わせた軍帽にしよう。せっかくだしここまで揃えちゃった方がかっこいいだろう
「これでよし、それじゃあ行くか!」
軍服に軍帽、一応ポン君のお陰でパワーも上昇しているハズだからもし、戦闘になってしまったらCQC的な戦闘をすれば良いのかな?
「わおっ、見事にもぬけの殻じゃん。ラッキー!お邪魔しまーす」
全員戦闘に駆り出されているのか、バリア装置運搬をしているのか分からないけど敵は見当たらない。これなら簡単に内部に入って採掘出来るから戦闘しなくて済むのは良かった……
「あのちっちゃい穴が多分ヒントなんだろうな。あの穴があるポイントを掘り進めるのが正解なんだろうけど……僕はそんな事しなくても進めちゃうんだなぁ」
見つけたネズミ穴みたいな小さな穴を【影移動】で進み、その先にある属性結晶を集める。他の皆が防衛戦をしている最中に僕は採掘……これは勝利の為だから!サボってる訳じゃ無いから!何で僕、誰も居ないのに言い訳してるんだろう?