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宝石配達

「宝石は杖の触媒とかに使えるんだぞ?本当に良いのか?」

「武器使えないから良いや」

 実にあっさりとした理由。持ってても使えない宝石なら使い道がある木の枝の方が良い


「へ?武器が使えない?」

「あぁ、うん。僕の職業は攻撃系の魔法が覚えられなくて武器も装備制限があるんだって。探せば僕でも装備できる武器があるかもしれないみたいだけど……」

「うわぁ、ひっどい職業だな?」

 言われなくても分かってるよ。でも補助しか出来ないって考えるか、補助が出来るって考えるかで気持ちは全然違う


「転職しようとかは考えないのか?」

 ドナークさんにそんな事を言われた。転職かぁ……


「うーん、転職出来るって言われても今の所する気は無いですね。やっぱり短所がある分今の職業に愛着があるんですよねぇ」

 強い職業とかあるだろうけどやっぱり短所をどう補うか長所をどう伸ばすかと考えるのが楽しい。特にここまで大きい制限とかあればその分だけ楽しい


「変わってんなぁ?」

「悪い様に考えないだけです。これ、ヴァイア様の所に持っていきますね!」

「おう、気を付けてなー」

 アウイナイトを仕舞い、今度は洞窟に向かう。忙しいねぇ?


「やっぱりこの紫電ボードのお陰で移動が楽になったなぁ……」

 蛇とか兎とかに見つかったとしてもMPを消費して加速することで振り切るのも楽勝だ。そう、今やるべきは無用な戦闘じゃなく、ヴァイア様の所にさっさと行こう




「ふぅ、着いた。レストは……使わなくても良いかな?」

 この前来た時も何も取らなかったから敵が出てこなかったみたいだし、今回も何も取らないでヴァイア様の所まで行こう


「何か、前より豪勢になってる……」

 道中にあった宝箱の装飾が少し変わっていた。いや、変わった所で開けないよ


「岩塩1個置いてってみよう」

 アウイナイトを置いて行ってみたいけどこれはヴァイア様に届けるから今回は見送りだ


 宝箱を過ぎて地底湖まで進む。相変わらず綺麗な洞窟だ


「ヴァイア様ー!」

「おぉハチではないか?どうしたんだ?」

 地底湖に向かって声を掛けたらヴァイア様が直ぐに出てきた。まずは先に人形とか装備について聞いてみようかな?


「ちょっと聞きたい事がありまして、ヴァイア様はこういうのに似ている物とか知りませんかね?」

 そう言って人形の両手を取り出し、ヴァイア様に見せる


「ほう?ハチはそれのパーツを探しているのか?」

「アトラさんからこれが神時代の人形って事は聞いてるんですけどやっぱり壊れたままは可哀想かなって」

 クエストって事もあるけどやっぱり壊れたままの人形のパーツを持ってたら直してあげたいって思うのは変かな?


「可哀想と思うのはハチらしいな?」

「そうですかね?あっ、あと本当はカエルのお肉でも持ってきたかったんですけどカエルが倒せなくて……」

「ん?旅人ならば剣でも魔法でも使えばあの獲物ならば倒せるだろう?この前背中に掴まった程度の力があれば……」

「僕、攻撃用の魔法が使えなくて武器も制限されてるみたいなんで殴ったり蹴ったりしか出来ないんですけど、どうも効いてる気がしなくて……」

 地底湖の近くに体育座りになりながらヴァイア様とお話する。人生相談してる気分だなぁ……


「沼地に居るカエル共なら打撃は悪手過ぎるな。アイツらに打撃は効かん」

「やっぱりそうかぁ……当てた感じ良いのが入ったと思っても向こうは何かしたか?みたいな感じでこっち見てきたんで直ぐに撤退しましたよ」

「ほう?直ぐに撤退を選択出来るのは良い事だ。メンツだ、プライドだ、くだらない事で逃げる選択が出来ずに死ぬ者も多いからな。その点直ぐに判断したハチは長生き出来ると思うぞ?」

 ヴァイア様に褒められた。嬉しいな


「それで、カエル肉は取ってこれなかったんですけどこういう物が取れたんで人形のパーツの情報か僕でも使えそうな武器の情報でももらえたら嬉しいかなって……どうぞ」

「ん!?おぉ!その輝きはアウイナイト!良いのか?これ貰っても良いのかぁ!?」

 急に僕にズズイッと近寄り、手に持っているアウイナイトに目が釘付けのヴァイア様。宝石が好きって本当だったみたいだ


「ヴァイア様が何か情報を知っていたら嬉しいかなって。これは別に情報が無くてもあげますよ。僕じゃ持っていても仕方が無い物ですから」

「おぉ!感謝するぞハチ!アウイナイトは中々見つからなくてなぁ!良い輝きだぁ……」

 器用に尻尾の先にアウイナイトを乗せ、色んな方向から見ている


「ほう、はぁ、へぇ……」

「カエル肉より宝石の方が良かったですか?」

「あぁ!肉より宝石だ!」

 ドナークさんから聞いてたけどやっぱり実際本人の口から聞くべきだろうと思っていたらこの肯定具合である。僕的にはお肉なんだけどなぁ……


「おっと、うっかりトリップしてしまった。放置してすまなかったな?」

「いえいえ、楽しそうだったんで止めるのもアレかなって……」

 実際「ほう」とか「はぁ」とか言いながら目をキラキラさせながらアウイナイトを見ている所に情報頂戴って言うのも悪いと思って体育座りで待っていた。それだけでもヴァイア様の意外な一面が見れた気がして面白かった


「ちょっと待っててくれ」

 地底湖の中に入って行くヴァイア様を見送り、また待つ。放置されてもこの地底湖の天井とか見ていれば時間とかあっという間に過ぎてしまう。やっぱりここの景色は綺麗だなぁ……


「情報というよりその物ズバリがあるぞ?」

 ヴァイア様が咥えていた物を僕の前に落とす


『無垢なる人形の左足 を入手』


「おぉ、ありがとうございます。きっとこれで半分のはず……」

 右腕、左腕、左足と来たら右足ときっと胴体、頭で人形が完成すると思う


「それで武器の件だが、こんなのはどうだ?」

 そう言ってヴァイア様から渡された物は謎の紋章が描かれた紙だった



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― 新着の感想 ―
[良い点] 一人着々と『おいでよ魔物の森』してるハチがいい(≧∇≦)b
[気になる点] 言葉遣いが同じ相手でもころころ変わるのが気になってしまいます
[一言] きっと全て集めたら勝負に勝つくらいの物ができるな(エ○○ディア並感)
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