黒の乙女 消滅
「そっち抜かれないように防御固めとけ!」
「了解!いけぇ!マグマレディ!」
「回復必要か!?」
「こっちに頼む!敵の攻撃が結構激しくてヤバい!」
「もうちょいで援軍が来るらしいから踏ん張れ!」
「もしかして?」
「あぁ、指揮官様も来るらしいぜ?」
「よっしゃ!やってやるぜ!」
防御の大型施設で防衛中の部隊の士気向上を担っている指揮官が来るという情報。はたして、この状態からあの魔王様が敗北するとなるとどうなってしまうのか……こんな事を秘密にしなきゃいけないのも中々大変だ
「わぁ!いっぱいいる!全部食べちゃっても良いのかな?」
「出たぞ!奴だ!」
「来やがった!」
「来やがれ化け物!」
凄い言われようだな?これ僕が倒されたら相手の士気がとんでもなく上がりそうでちょっとヤバいかもしれない。でもここで一旦消える事で警戒されなくなると考えるとどうにかここで上手く消えたい所だ。水の牢獄的な攻撃をされるのが一番だけど……何とか移動中に引っかかる感じで出来ると一番良いんだけど……
「凄い言われようだなぁ?誰でも良いから掛かっておいでよ?」
もちろんただでやられるなんてそんな事はしない。出来るだけ敵を倒さないで腕とか足を奪って戦闘力を奪い、僕がやられるシーンを黙って見てもらうようにしよう。相手を倒す為の戦闘ではなく、負傷させるだけの戦闘ならかなり楽だ。腕を飛ばせば武器は持てなくなるし、足を飛ばせば動く事すらままならない。そして、奪った部位を喰らっていけばポン君経由で強化されて更に効率良くもっと多くの相手を無力化出来るだろう。そして最後に僕を水魔法で倒してもらえれば計画はバッチリだ
「距離を取れ!アイツは近接タイプだ!」
「水魔法が効くらしいぞ!」
「魔法部隊!」
おぉ、良い感じで誤情報が駆け巡ってますねぇ?情報は力と言うけどそれは正しい情報の場合で、間違った情報は毒みたいな物なんだよなぁ?
「ちっ、面倒な事をやってくれてるじゃん?じゃあそいつらから食べちゃおうかな?」
水の刃が飛んで来るのを少し大袈裟に避けつつ、魔法部隊に近寄っていく。勿論敵の魔法部隊を守る近接達の壁もあるが……
「ふふっ、それじゃあ止められないよ?」
「ぐあっ!?」
バスケットとかで使われるピボットターンの要領で急ターンをして、敵の攻撃を躱す。寸前でターンする事で縦振りの攻撃は完全に僕の横に振り落とされ、無防備になった腕をポン君が喰い千切る
「ほらほら?止めてみなよ?」
「「なっ!?」」
左右にステップを踏んでから体勢を低くして低姿勢タックルで突っ込む。ついでにラリアットの体勢を取るとローブの腕の部分が鋭く変形し、剣を持ってた奴2体の足を切り飛ばす。抜け目ないポン君はその切り飛ばした足をしっかりキャッチして喰らっていたのでくっ付けて修復なんて事も出来ないだろう。ついでにこの2人もしっかり使わせてもらおう
「おっと、危ない危ない」
「がはっ……」
「なん……」
足を切り飛ばした2人を飛んで来る水のカッターから守る為に投げて盾にする。自分の身も守れて、敵を減らせるし、味方に誤射してしまった魔法使い達も狼狽える。勿論そんな隙を晒せば……
「いただきまーす」
「「「ひえっ……」」」
魔法使いで近接が得意なんて珍しい人もそうそう居ないだろうし、同士討ちをしないように味方に向けて魔法を撃つ事が出来ないだろうし、そもそも魔法を唱える時間も与える気は無い。近接職がこっちに突っ込んできても常に誰かを盾にすれば魔法使い達も援護出来ないだろうし、着実に戦力を奪える
「魔法を撃たないとドンドン手数が減るよ?でも撃っちゃったら味方に当たっちゃうね?」
「構わず俺ごと撃てぇ!」
「良いねぇ!そういうの良いよ!」
俺ごとやれぇ!とか一度は言ってみたいセリフだね?でもそういう事を言う人を黙って僕の近くに置いておくのは危険だから悪いね?
「でも君はもう要らないや」
「へっ?」
強化された腕力で魔法を発動しようとしていた人に向かって「俺ごと撃てぇ!」と言っていた人を投げつけて魔法の発動を中断させる
「君ごと撃たれるのは嫌だからね」
腕や足を切り落とし、逃げられないし攻撃も出来ない状態の集団を作る
「水魔法を使われた時は焦ったけど、当たらなきゃどうってことないよ?」
「ば、化け物……」
「おかしい……こんなのおかしいよ……」
「どうやって勝つんだよこんなの……」
そろそろ潮時かな?ここで一度下がろう
『ちょっと僕の事呼んでください。一旦引きます』
「黒の乙女よ。一度こちらに!」
「ん?はーい」
黒の乙女ってなんだよって言いそうになったけどグッと呑み込む。一度味方の中に戻る為の口実が欲しかったからこの際なんでも良い
「じゃあやります」
「お気をつけて」
黒の乙女の一応の最後だ。ここから先は運頼みだけど頼むぞ?
「君で最後かな?あはは!」
「このっ!道連れだ!【ウォータースフィア】!」
「!?」
最後に立っていた人に向かって走り寄って殴りつけようとしたところでその人が自爆覚悟で僕と一緒に水の球に包まれる。この瞬間しかない!
「【身代わり】」
小声で【ディジャヴ】と【イリュジオ】を複合した魔法を使い、僕の本体はさっきの仲間の元に戻り、僕の幻影は水の球に取り残される
「ゴボッ!?ゴバッ……」
首を押さえて水の中で苦しみ、ジタバタと暴れる。魔法を使った奴も一緒に苦しんでいるな?勿論水の球から出ないように暴れて最後は【イリュジオ】の幻影を消す。これで黒の乙女が消滅した事になるだろう




