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自称魔王

「ほう?素晴らしい防御力ですね?まぁこの程度の通常攻撃を防げなかったら拍子抜けなので困りますが」

 ドーム状のバリアでゲヘちゃんのパンチを止めて全員を守ったナイトの人。流石にナイトは格が違うってやつ?


「これが通常攻撃とか……勘弁してほしいね?」

「いえいえ、せっかくここまで来てくださったのですから遠慮なさらずに、どんどん行きますよ?」

 右、左とゲヘちゃんの強烈なパンチを交互に浴びせると3発を越えた辺りでドームに罅が入り、4発目にはそのバリアドームを破壊する事が出来た


「本当に勘弁してほしいよ……」

「ジェイドさんのバリアが……」

「たったの4発でとか……マジかよ」

「デカすぎて自爆しても効くのか分かんねぇな……」

「なぁ、もしかしてなんだけどよ……コイツが俺達が倒すっていう()()なんじゃねぇか?」

「えっ」

 ん?なんか僕の事を魔王と勘違いしてないか?


「魔王……コイツが」

「……ふっ」

 ……それめっちゃチャンスじゃないか?


「まさか、敵の親玉がここまでとんでもない奴とは……バフを掛けて出直してこいって言われても納得だn……」

「「「ジェイドさん!」」」

「はぁ……がっかりです」

 バリアを叩き割り、そのままゲヘちゃんパンチで潰そうと思ったけど、ギリギリの所で停止させる


「……まだ生きてる?」

「全力を出すまでもありませんね?あなた達は一度小手先の考えで動くよりも一歩ずつ着実に進むべきです。そうでなければこの()()の所まで辿り着く事すら出来ませんよ?今日はどのような方々が私を倒しに来たのか顔を見に来た程度なのでこの辺で終わりにしましょう。命の輝きを見るのは好きですが、私を倒そうとする相手が成長してくれた方がより楽しめます」

 相手が勘違いしてくれてるなら丁度良い。仮初めの自称魔王として動けば、今後勇者軍の倒すべき相手がバルミュラ様から僕にシフトする。そうなれば最後の日までバルミュラ様を守り切るのも楽になるはずだ


「つまり、私達が弱すぎるから強くなって出直してこい……そう言っている訳ですね?」

「流石勇者軍の中でも選りすぐりの方々ですね?私が言葉にしなくても言いたい事を理解して頂ける。あなた、お名前は?」

「タナカムです。時間を頂いて必ずやあなたの首を取りに舞い戻って来ましょう」

 カッコいい……こういう受け答えがスッと出てくるの良いなぁ?


「タナカムさんあなたの事はしっかりと覚えました。それにジェイドさんと言いましたか?あなたの事も覚えておきましょう。私の攻撃を数発とはいえ耐えられるのは興味深い。強くなった時が楽しみです」

 そうして勇者軍が戻っていくと思って地上に降りて見送ろうかなと思った時にまだ戦意を失っていない1人が僕に対して攻撃してきた


「ほう?威勢の良い方がまだいらっしゃったようですね?」

「やっぱりこんな攻撃じゃ通用しませんのね……」

 魔法銃による攻撃。レイカさんか


「中々良い攻撃です。咄嗟に避けてしまいましたよ?ですがこの状況でも諦めない気持ちを持っているのは素晴らしい。あなたの名前も聞いておきましょう」

「レイカと申しますわ。次はてめぇを踊らせてみせますわ」

「素晴らしい。是非とも次はワルツでも踊らせてください。他にも名前を憶えて欲しい方は居らっしゃいますか?」

 ワルツでも踊らせてくださいとは言ったけど、ワルツがそもそもどういう踊りか知らない。適当に言ってみただけだ


「「「「「……」」」」」

「おや、もう名前を憶えて欲しい方は居らっしゃらないのですか?残念です。記憶力には自信があるのですがね……」

 まぁ色々仕掛けてきた人がだいたい知ってる人だから記憶力に自信があるんじゃなく、もう知ってるっていうのが正しいけどね……本当に出て来たらメモか何かしないとダメかもしれなかったから中々怖かったぜぇ……


「俺様はグランダ!そしてこいつはガチ宮!おめぇを空の果てまでぶっ飛ばしてやるぜ!」

「ちょいちょい!あぁもう!やってやんよ!強くなったらコイツと一緒にお前をぶっ倒してやるからな!」

「素晴らしい……とても素晴らしい!あなた達が強くなり、そして私を倒すその日まで楽しみにお待ちしていますよ……見送りは必要ですか?帰りに他の同士達があなた方を攻撃しないようについて行っても良いのですが」

 ゆっくりの拍手で褒め称える。バカにする感じと本当に褒めてる感じを同時に醸し出すのは中々に難しい


「流石にそこまでしていただく訳にはいきません。我々にも意地があります」

「そうですか……それではお気を付けてお帰り下さい。またあいまみえる事を心待ちにしておりますよ?」

 後ろから襲うって事は特にする気は無いので、ゲヘちゃんとワイバーンも影に戻して城に向かって歩いて戻る。マッドスライムは今後も城の防衛をする為にこの辺で展開した状態で居てもらおう。移動速度も結構遅いから今から防衛の為に展開させておくのは間違ってないと思うし、このままで良いと思う


「では、皆様また会いましょう」

 返事は無い。でもそれで良い




「いやぁ緊張したぁ!あんな感じで良かったかなぁ?」

 僕なりの精一杯の魔王感を出してみたけど……うまく敵の主力を騙せたかな?



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― 新着の感想 ―
[良い点] ハチ君、まさに 『パーフェクトヒール』! ファンタジーじゃよく聞く音のに、全く意味が違うwww [気になる点] いやぁ、めっちゃ楽しいんですけど。 ネタバレしたらしたで「やられた!」と…
[良い点] とうとう敵公認魔王になったぞ!!
[一言] とうとう最終ターゲットを偽装することに成功! 勇者軍の勝利条件が達成されないこと確実じゃないか。
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