こっそり採掘
「よし、とりあえずこれだけ取れれば良いだろう」
「気を付けて帰りますか」
帰りに襲われないとも限らないからしっかり気を付けて……ん?
(ハスバさん、周りを見ててください)
(ん?何か見つけたのかい?)
(ちょっと壁に穴を見つけましてね?あの穴の先に行けば多分属性結晶が見つかる可能性があるので行ってきたいんですが、周りの目がですね……)
(よし、私が注目を集めよう。その隙に穴の中に行ってくれ)
ハスバさんが居てくれて良かった。これで闇結晶を見つけられたらかなり良い収穫だ
「うわっ!あちゃー……やっちまった。すまない、集めるのを手伝ってもらえないか?」
「あーあー、何やってんだよ?」
「ふっ……いやぁ、1つだけインベントリから取り出してつるはしの修復に使おうかと思ってたら手が滑ってインベントリの奴全部出しちまって……散らばっちまったから拾うの手伝ってくれぇ……」
「ったく、しょうがねぇなぁ?おーい、拾うのを手伝うぞ」
「「「あーい」」」
おぉ、しっかり注目を集めてる。今の内にさっさと【影移動】で穴の奥に移動しよう
「ひゅ~、当ったり~!」
キラキラで綺麗な属性結晶が沢山ある。ちょっと色に偏りはあるけど闇結晶もしっかりあるのでこれはラッキーだ。やっぱり勇者軍の人はまだ壁の奥まで調査していない可能性が高いから鉱山から出てきた人を襲ったとしても属性結晶を獲得出来る可能性は低いな?ちょっと前まで鉱山から運んでいる所を奪ってやろうとか考えてたけど、それは無理だったかもしれない……
「とりあえず時間かけても仕方が無いし、火と闇だけ回収しちゃおう」
どっちも爆弾に使えるアイテムだし、今はこの2つだけをさっさと取って、ハスバさんの所に戻ろう
「なんにせよここで闇結晶が取れたのは大きいぞ?」
ブラックホールボムの素材が入手出来たんだからもう一か所敵の施設を破壊出来るかもしれない。これはちゃんと持ち帰ろう
「いやぁ申し訳ない。ありがとう助かったよ」
「今度からは気を付けろよ?」
「イベント終わったら何か奢るよ」
「おう、じゃあな」
「他の人もサンキューな?」
(今ハスバさんの影に入ってるんでもう脱出しても良いですよ?)
「それじゃあ取れた分届けてくるか」
「行ってらー」
他の人のノリに合わせて上手く鉱山を離脱したなぁ?
(ハスバさん話合わせて脱出するの上手いですね?)
(このくらいハチ君のロールプレイに比べたら何て事は無いと思うが?)
(いやいや、何を言いますやら)
(いやいや、ハチ君こそ)
(いやいや)
(いやいや)
これ終わらない奴だ
「それで、これを持ち帰れば任務完了だな?」
「まさかの追手無しでビックリですけどね」
2人で潜入したけどバレずに採掘も出来て、バレずに撤退も出来た。もしかして案外分からない物なのかな?チェルシーさんも実はこんな感じで向こうに溶け込んで情報収集してるのかも
「案外敵陣に裏から入れば味方と間違ってくれたりするんじゃないかな?」
「こっちに居るって既にバレてる人だと難しいかもしれないが……」
「それハスバさんが言います?まぁハスバさんの場合はいつも忍者頭巾だからそれを変えるだけで印象が違いますからこの作戦が出来ましたけど……」
常に顔を隠している人が、顔を晒して動く事だってその人の顔を知らない人にとっては仮面を着けているのと一緒で分からない物だ。ハスバさんの場合はスク水と忍者頭巾の変態というイメージが強烈過ぎて、普通の服を着て顔を晒すだけでもハスバさんだと認識出来ないだろう
「まぁ2回目が通用するかは分からないがな?」
「後からあれ?ハスバさんだったんじゃね?ってなるかもしれないからもう使えないですね。次来る時があればその時はもう完全に鉱山を占領する時じゃないですかね?」
次はコソコソしないで堂々と採掘出来るように占領出来たらまた来よう。はたしてそのまたが来るのか分からないけど……
「ハチ君、一旦帰って今から眷属を揃えた方が良いんじゃないか?」
「そうですね。僕は主力に備えて、ハスバさんは防御の大型施設を守る為の眷属を揃えに戻りますか」
今から準備しておけばどのくらい仲間に出来るかな?
「明日は大変になりそうだから力を貸してほしいんだ。君は出来ればあっちの方を手伝ってくれると助かるよ。あ、君はこっちを手伝ってくれない?」
「すまない、君の力を貸してくれないか?」
「ギャオ!(オッケー!)」
「ガウォ!(ええで!)」
小さめのティラノサウルスみたいな眷属をハスバさんの方に配属して、見た目のパワーで精神的優位+ヘイトをそっちに向けさせてハスバさんが自由に動ける様に、僕の方はワイバーンを仲間に出来るか聞いてみたら二つ返事で手を貸してくれるみたいだ。あと何体か僕も力を借りたい相手も居るし、多分防衛で一番辛い役回りをハスバさんにさせてしまうだろうから僕も一緒に回ってハスバさんの戦力は充分に増強する手伝いをしよう。でも数が多すぎても指示が疎かになるし、あんまり増やし過ぎないようにしておこう
「向こうが主力を囮にするのであれば、僕はその主力を足止めするのが一番の仕事だな……だとするとおーい!そこの君!明日手を貸してくれないかい?」
移動速度は問わない。明日の足止めに重要な眷属達に力を貸してもらおう