やる気ブースト
村を潰し、ハスバさんの能力を確認する為に近くの小型施設を破壊したので一呼吸入れる
「これで終わりか」
「いやぁ、分身するの凄いですね?同時に何人も相手に出来るのカッコいいです」
「うぐぅ!ハチ君?わざとかい?」
「そんな良い物さっさと使わないのは軽蔑します」
「あぁ!これこれ!」
正直あんまり気は進まないけど、ハスバさんのやる気を上げるのに役に立つならこのくらいは我慢しよう。ハスバさんが分身して敵を5人同時に倒したり、分身したハスバさん同士で連携もしていたのでアレはかなり凄い事をしていると思う
「まぁ、本当はこの分身を使った時にかなり疲れるからあまり使いたくないのが本音だが……ハチ君に追いつくにはこのくらい出来ないとな?」
「じゃあ僕はハスバさんに追いつかれないようにもっと頑張らないといけませんね?」
本来なら僕がハスバさんに追いつくが正しいと思うんだけど……まぁそう言うならそれでも良いかと合わせておく
「あぁ、ハチ君がまた強化されてしまう……」
「ハスバさんも強化されて人間辞めましょうよ?」
「やっぱりハチ君は既に人間辞めてたのか……」
「ただの冗談なんですが?」
やっぱりってなんだやっぱりって?まぁまともなプレイしている人とは違うと思うけど……
「いやいや、ハチ君?これは褒めてるんだよ?確かに失礼に感じてしまうかもしれないけど、人間辞めてると思えるレベルでハチ君は強い。私が今知っているプレイヤーの中でハチ君が一番強いと本気で思っている。ほんとだぞ?全部を知っている訳では無いが、ハチ君は様々なデメリットを抱えているのにも関わらず、これだけ圧倒的な力を持っているんだ。越えたい、もしくは並びたいと考えるのはゲーマーじゃ不思議じゃないだろう?」
何かちょっとジーンときた。僕の事そんな風に思ってたんだ
「つ、強い人に憧れたりするのは普通の事ですよね!ここは防衛部隊の人達に任せて次の施設破壊に向かいましょう!」
なんかちょっと恥ずかしくなってきた……ここまで褒められるとなんか異性じゃなくても照れてしまう
「ふっ、ちょろい……」
「さぁ!次の施設を破壊しに行きましょう!爆弾も使っちゃいましょう!」
ハスバさんが褒めてくれたので気分も上がってる。このまま次の施設も破壊してしまおう!
「いやぁ……まさに悪夢とか死神と言っても過言じゃないな……」
「アハハハハ!食べられたい人はどこかなぁ?」
瞬間的に敵に接近して掌打や蹴りを浴びせ、怯んだ所でローブが喰らい付く。矢や弾が飛んで来たらそれを掴んで受け止め、武器を振るわれたら奪って別の誰かに投げつける。魔法で攻撃しても【魔破脚】の能力によってタイミングを合わせて蹴りで攻撃する事で魔法を打ち消す。まさに相手にとっては悪夢のような存在だ。しかも気分がノっているのか演技の熱が凄い。まるで気分がノっている時のキリアさんのようだ
「何なんだアレは……」
「あれは……プレイヤーなのか?」
「魔王軍側のお助けNPCだろ!じゃなきゃあんなの無茶苦茶だ!」
「なんで攻撃が当たらねぇ!?」
「邪魔をするなら皆食べちゃうね!アハハハハ!」
黒いローブのいろんな所から口が現れて同じように笑い声が聞こえる。あのローブはいったいなんだ?
「うーん、何かまでは分からないけどあれは拳法かな?いや違うな?拳法も、か。少し離れて見てみると色々な物が合わさっているみたいだな……やっぱり君は面白いよ」
剣や魔法を使うのが当たり前のゲームの世界で武器と攻撃魔法を持たずに戦い、そして見事に戦果を挙げている。正直アレは真似しようとして簡単に真似出来る物では無い。ハチ君の戦闘スタイルはまさにインファイター。武器持ち相手の懐に飛び込み、無理やりにでも自分の間合いに引き入れて戦う戦闘スタイルを真似するには戦闘技術もさることながら、その度胸も真似出来なければあの域にまで到達する事は出来ないだろう。確かハチ君は私と同じ感覚100%でプレイしているハズだから斬られる恐怖や、魔法による痛みを100%で受けるはずだ。そんな中で武器を持たずに戦う事がいかに怖い事か……あの精神力は簡単に真似出来る物では無い
「それじゃあ私も私の仕事をしようじゃないか」
「おい!こっちにも敵だ!」
「何だこの忍者みたいな奴は!?」
「彼女ばかりでは無く、私の相手してもらおうか?」
ハチ君はとても強い。だが、一人で出来る事には限界もある。確かにハチ君は色々と力を隠しているからこそ、一人で抱え込む事が多いんだろう。でも、今は私を仲間として頼ってくれている。それならばハチ君の期待に応える為にも周りのハチ君の邪魔をする相手は私が相手をしよう
「上等だ!やってやる!」
「「「「「それじゃあ行こうか」」」」」
「なっ!?【影分身】!?しかも5人!?」
「「「「「全力で防衛する」」」」」
少し離れた位置からハチが戦闘している所を見つつ、ハチを離れた位置から弓や魔法で狙う相手を潰す役回りをするハスバカゲロウであった