信頼できる人
『部隊無しでの防衛って……普通ならバカじゃねーのって笑う所だけど、指揮官だしなぁ……』
『何か防衛出来そうって思えるのがおかしいんだろうか?』
『偶然だな?俺も似た様な事考えてたよ。普通なら無理だけど指揮官なら部隊無しでも防衛とか出来んじゃね?って』
『俺達も大分毒されてきた気がするよ』
毒されたって酷くない?
『じゃあまた賭ける?施設を1人で防衛出来るかどうか』
『いやぁ、流石に前回のは何も知らなかったから巻き上げられたけど、今回はどっちかな……』
『自然に僕で賭け事するのやめません?それに僕もずっと防衛するというより、取られても良い施設に向かって後から攻撃を仕掛けてバリアを展開させるのが良いかと思うので施設防衛を考えると途中からは眷属達のみでの防衛になる可能性があります』
『あ、そっか。1人って言っても眷属が居るのか。それなら防衛も出来なくはないか?』
『眷属達だけだと流石に厳しいだろ?相手がバフされてたら尚更キツくね?』
『眷属のみだと連携が厳しいだろうな……』
プレイヤーの指示があればそれに応えて行動を起こせるだろうが、眷属のみでの連携だとプレイヤーの連携よりは下になってしまう。それに相手のステータスが施設バフで上昇していたら眷属のみでの防衛は困難を極める。せめてもう一人僕が居れば施設防衛の為に眷属に指示を出して戦い、ゲヘちゃんと一緒に強制的にバリアを展開させられる為に進軍も出来るんだけど……流石にゲヘちゃん一人に攻撃行動をさせる訳にはいかない。いざという時にゲヘちゃんを守れないし、やっぱり僕が2人居れば……
「ハチ君?何か思い詰めてないかい?」
「あぁ、ちょっと僕がもう何人か居れば良いなって……」
「ハチ君が複数とかちょっとした悪夢なんだが?」
「え?頭噛み千切りますよ?」
「ひえっ……」
バカにされた気がしたので威嚇した……ん?ちょっと待てよ?
「ハスバさん指示とか得意ですか?」
「指示?まぁ出来なくはないが……」
「じゃあ明日眷属と一緒に施設防衛してくれません?1人で」
「はぁ!?いやいやいや、流石にそれは無謀じゃないか?」
「大丈夫出来ますって!失敗したって僕は責めません。そもそもが僕のワガママで防衛したい施設を増やしたせいですけど……代わりを頼めるのはハスバさんくらいです。やってくれませんか?」
多分ハスバさんなら何とか出来ると思う。この人絶対何か隠し玉を持ってる気がするんだよなぁ……
「うーん……今はハチ君しか見ていないからいいか。この装備はあまり人に見せたくはなかったんだが、これを使わないとさっき言われた1人で施設防衛なんて事は出来ないから出し惜しみをしている場合では無いな」
「へぇ?凄いカッコイイ服持ってたんですね?」
スク水変態忍者からサイバー忍者とでも言えそうな青く光るラインの入った軽装甲とラバー素材の様な質感の戦闘服。顔の頭巾も鬼っぽい面頬とロングマフラーに変わって控えめに言ってカッコイイ
「この装備は忍者用のクセに夜になると一部が光って目立つ装備だから余り好きでは無いんだが、能力はかなりハイスペックだ。だが……うぅぅ」
「ハスバさん、もしかしてですけど?カッコイイとか言われるの苦手ですか?」
いつもの変な恰好からサイバー忍者スタイルになって若干動きが悪いというか、恥ずかしがっている感じがする
「罵られるのは良いんだが、褒められるのはあまり慣れていなくてな……自分から見ても、客観的にみてもこの装備はカッコイイと思った。だからこれを着てしまうとこの装備が褒められていても、私も褒められている様で何だかむず痒くて……」
「だからいつも褒められないような恰好してたんですか?」
「あれは、着心地も良いし、ステータスも中々良いから装備としては良いんだぞ?」
まぁ見た目と性能が噛み合わないのはゲームじゃ良くある事だが……難儀な性格してるなぁ
「ハスバさんがドMだとは思ってましたが、まさかそんな事でその装備を隠していたとは……恥ずかしい」
「あぁ!その蔑みの目!」
これで喜ばれるのは嫌だなぁ……
「とりあえず明日はこのAGIが上がる施設の防衛を頼みます。敵全体の速度が上がるとか攻撃と防御の面から考えても絶対防ぎたい所なんで」
「任されよう!でも今日は他にも破壊するんだろう?まだ村を1つ潰しただけだし」
「ええ、まずはこっちが大型施設を修復されないように防衛する為にもその施設を押さえる必要があるので自動HP回復や防御力が上昇する所を先に破壊しなきゃいけないんで今から動きましょう。クロクマでも良いけど、ハスバさんの恰好が変わったら僕も人の姿で戦えますよ」
オカマ系キャラと化け物クマセットで村を潰したけど、ハスバさんが普通にカッコイイ姿になったら僕も昨日の女性っぽい疑似ポニテで戦闘しても全く問題が無い。クロクマは正直戦闘するにはどうしても他の姿で使ってしまった能力的に戦える幅が少なかったから姿を変えられるのはありがたい。明日に備えてぶっ壊せる施設は破壊して、燃やして明日に備えないと!




