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憑りつかれたローブ

「さて、それじゃあここで偵察……というか、監視するか」

 チェルシーさんが既に敵陣に向かって行ったので、ここから敵が来る事はほぼ無いだろうけど監視する必要はあるだろう


「にしてもこのローブはちゃんと元に戻ってくれるのかな?」

 黒くてテカテカしたローブになってしまったけど……元に戻ってくれるのか非常に心配だ。というかこれどういう状態なんだ?


 ---------------


 オーブ・ローブ


 レアリティ ユニーク


 全ステータス +65 


 耐久値 破壊不可


 特殊効果 成長防具 自身のレベルに合わせてこの装備の性能が上昇する


 とある存在が負けず嫌いの精神で作り直したローブ。壊れないだけではなく、装備者に合わせて強くなる性能が追加された


 ---------------


 装備欄でオーブ・ローブを見てみたけど、特に何も変わっていないから、装備が変わった訳じゃ無さそう。ステータスも特にバッドステータスも無いし……


「んー、本当にどうなってるんだろう?」

 何か行動をしてくれれば良いんだけど……


「そうだ!昔映画で見たあれの真似で望遠鏡モドキが作れるかな?」

 黒い筒に水晶を刺して望遠鏡にする。それを試す為に無色の水晶を1つだけ残しておいたんだ。早速試してみよう


「えっと、これを使って……」

 インベントリから水晶を取り出して、使おうとすると……


「……えっ!?」

 ()が水晶を食べた


「ちょいちょい!困るよ!それ1つしか無いのに!」

 袖が水晶を食べてしまったので水晶望遠鏡を作る事が出来ない。まさか、ローブに水晶を食べられるとは思わなかった……


「意思疎通が出来るか分からないけど……さっき食べたの返してくれる?」

 袖が食べたんだからその辺に口があって会話が出来るかな?と思って話しかけてみたけど、傍から見たら凄い変な人としか思われないだろうな……


「ダメかぁ……まぁ食べちゃったって考えれば返せって言うのも無理な話か。でもさっき確実に歯というか牙が出て食べてたよね?という事は変形出来るんでしょ?」

 何も言わないけど、明らかにローブが硬質化した。硬くなったせいで動けないレベルだ


「ほうほう……ちゃんと言葉は通じるね?じゃあ白いローブに戻す事も出来る?」

 グニョグニョとローブが蠢いたと思ったら黒いローブから白いローブに戻った。ふむふむ、ちゃんと指示にも従ってくれるな?


「それじゃあこれから色々手伝ってもらうけど、何か欲しい物ある?」

 こっちから話しかける事は出来ても、この名前も分からない存在はどうやって返事をするのか興味がある。欲しい物という釣り針があればどうにか意思を伝えようとしてくるはずだ


「おっとっと……そうやって伝えてくるのか。えっと、命と魔力……怖っ」

 ローブの裾が伸びて、地面に文字で「いのちとまりょく」と書いて僕に伝えてきた。求める物が物騒過ぎるでしょ……


「命はあげられないけど、魔力なら少しくらいあげようか?」

 着ているローブに喰い殺されるのは勘弁だけど、MPを多少与える事で協力的になってくれるならそのくらいは必要経費として我慢しよう。地面にも「ください」と書かれているし


「それじゃあ僕の魔力から半分くらい持って行って」

 半分あれば急な事態にも対処できるだろう。魔力の受け渡しはローブの方に任せよう。どうやって僕から魔力を取るのかな?


「あっ、これっ、ダメだ、くすぐったい!うはははは!いひっ!うふっ!」

 ローブの内側が僕の体を舐める様に動く。こういうのは苦手だ。もうちょいマシな方法でMP吸ってくれないですかね?


「あの、どっかに、噛みつくとかに、してくれない?うひひひ」

 くすぐったいよりちょっと痛い方が良い。これ戦闘中にされたら堪ったもんじゃないぞ?肩とかに噛みつかれたくらいの方がマシだ


「おっ、痛てて……でもこっちの方が直接的だし、早いかな?」

 両肩と両太ももに猫の爪が食い込むような痛みが走る。ついでに何か吸われている感覚もあるのでMPを確認してみると確かに半分吸われていた。これで言う事を聞いてくれなかったら吸われ損だ


「うーん、チェルシーさんの代わりに監視するって言ったけど、ここで監視するより戦闘中の部隊の援護に行った方が良いのかな……」

 魔力を吸った後、地面に「どうも」の字が書かれていたので、満足……とまではいかないけど僕の言う事は聞いてくれるくらいにはなったと思う


「痛てっ!さっきから結構痛いな……ん!?なんだこれ!?」

 首筋にチクリと何か刺さるような痛みが走ったと思ったら僕の【察気術】の範囲が一気に広がった。いや、【察気術】だけじゃない、聴覚や視覚も強化された?


「この感じだと……中央は来ないと考えて問題無さそうだな。一応報告だけして撹乱に行こうか」

 強化された【察気術】と視覚を用いて確認したけど全く中央に敵対存在が居ない。それだけアレは恐怖のインパクトがあったんだろう


『偵8から全体へ、現状中央は敵がほぼ存在しない状態なので、A方面の撹乱に行こうと思います。手が余っている偵察が居たら中央の監視任務の引継ぎをお願いします』


『やっぱり指揮官はちげぇなぁ……オッケー、監視任務引き継ぐから撹乱行ってくれ』


『指揮官働き過ぎィ!』


『出来る事は全部やらなきゃ勝てるものも勝てないですからね』


 偵察だから偵察しかやらない。それは偵察しか出来ない人ならばそれでも仕方が無いけど、僕には出来る事が他にもある。なら、やれる事は全部やった方が結果として勝ちに近付けるはずだ



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― 新着の感想 ―
[良い点] 「ください」が可愛い笑
[一言] 魔王組楽しんでんなぁ…これ絶対イベ後固定パーティーがいくつかできるしハチ君は友達増える 対する勇者組は思ってたのと違うって奴が絶対出て不和が生まれてギスってそう
[一言] >やれる事は全部やった方が結果として勝ちに近付けるはずだ その結果 「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな?」って言われるやつですよ
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