限定スキル
「いやぁ、凄いっすね?一人で街を破壊したり、こんな属性結晶を集めたり……なんかズルとかしてるんすかぁ?」
多分防衛部隊に割り振られた人が僕に話しかけてきた。まぁズルというかチートを疑われても仕方が無いよなぁ……僕だって【影移動】の存在を知らなければ敵陣奥までバレないで、しかもあのスピードで移動していたら何かやってると思う方が自然だ
「ズルはしてませんよ?特殊な移動スキルを使っただけです」
「へぇ?そんなスキルがあるんすねぇ」
「僕もそこまで理解はしてないんですけどね?どうやらイベント時限定のスキルとかあるみたいです」
「限定スキル!?マジっすか!おーい皆!イベント中限定のスキルとかあるってよ!」
「マジ?」
「限定スキル!?」
「マジかよ!」
拡散力やばいな?あっという間に人だかりが出来た
『何かイベント中限定のスキルとかあるみたいだ。指揮官は既に入手してるらしいぞ!』
『それであんな無茶な行動が出来たんやなぁ……で、どんなスキルなんや?』
『指揮官よー?隠し事は良くないよなぁ?』
『まぁ入手法がどうあれ、どんなスキルかだけは教えてくれねぇか?』
『情報共有は大事ですよね?ね?指揮官?』
入手法を聞かれても多分影のスピリットは他の人の分までは居ないだろうから、どうするのが正解かな……とりあえずスキルについて簡単に説明するくらいで留めておくか
『指揮官です。えっと、僕が貰えたのは影を移動出来るイベント限定スキルです。それのお陰で敵に見つからずに高速で移動出来る感じですね。入手手段に関してはもしかするとイベントが来る前に持っていたスキルが上手く働いてくれたお陰で入手出来たと思います。なので何らかのスキルが影響してイベントスキルが獲得出来るかもしれません』
これでどうだろう?納得してもらえるかな?
『ほうほう?そういうのもあるんだ』
『あっ!今俺も眷属の狼に乗ってたら【ウルフキャノン】とかいう狼にぶっ飛ばしてもらうイベント限定スキル出てきたわ!』
『そんなのもあるのか……つまり色々やってみたらイベント限定スキルが入手出来る可能性があるんだな?』
『俺、眷属のスライムが案外可愛くて遊んでたら【スライムアーマー】っていうイベ限スキル入手したわ。これもしかしたら眷属が限定スキルに関係あんじゃね?』
『それありそう。私の部隊のメンバーにも【タッグアタック】とかいう眷属と同時に攻撃するとダメージが上がるとかいうイベ限スキルが出たみたい。限定スキルが欲しいなら眷属が重要かも?』
良かった、僕以外にもイベント限定スキルを入手している人が居るみたいだ。というか色々気になるスキルがあるなぁ?
『言い忘れてましたが、僕のも一応眷属によって入手出来たスキルなので限定スキルは眷属を通して入手出来るで間違いないかもしれません』
『へぇ?眷属から特殊なスキルが貰えるのね?』
キリアさん達もどうやら眷属を使うみたいだ。まぁこれだけ限定スキルが眷属から入手出来る情報が出れば使わない方が勿体ない。人数差を詰める為に必要な事は眷属を用いた戦闘。眷属を従え、敵と戦う……そうだ、僕だって眷属を使えば部隊になる事だって出来る。距離の違う敵とも戦える。指輪は無くとも僕なら眷属達とも意思疎通が出来る。なら、やってみよう
「バルミュラ様。眷属達について聞きたい事があるのですが、よろしいですか?」
「申してみよ」
「例えばですが、大きな眷属の中に小さな眷属を隠す事などは可能でしょうか?」
「ふむ、出来なくはないが、口の中に入れるとかであれば嫌がるだろうな」
他の人に見えないように左右を見てから口元に人差し指を立てて、またウィスパー状態での会話を希望する
「して、本当に聞きたい事はなんだ?」
「影のスピリットの力で僕が影の中に潜めるのは分かりました。それで他の眷属を一緒に影の中に潜ませる事は出来るのかを聞きたいのです」
【影移動】のスキルは影のスピリットによって齎された物。であるならば、影のスピリットに他の眷属を収納する事は可能なのかを聞きたい
「ほう?出来なくはないだろうが、そうだな……相性が悪いと影に入ってはくれないだろう。それだけ気を付ければ眷属を引き連れる事も可能だろうな?」
フフッとバルミュラ様が笑うが、それはどんな意図が含まれているんだろうか?
「行くが良い。ハチならばあの奥に封印された奴を引き連れる事が出来るやもしれん」
おっと……?これ絶対もっと後に起きるイベントな気がするぞ?もう少し日数が進んでこっちが追い詰められたら出す切り札的な物では?2日目に起こすイベントじゃない気がするぞ?
「我を守る為に街1つを破壊したのだ。それだけの力があれば奴を任せても良いだろう」
あ、街を破壊したのがトリガーか?それともプレイヤーキルした数か?なんにせよ僕は何らかのフラグを立てたみたいだ
「すみません、奴とはどのような……」
「行けばわかる」
「……分かりました」
自分で確認しろという訳ですね……まぁ行くしかないよなぁ
「ところでその奴とやらに名前はあるのでしょうか?」
「奴から直接聞くと良い」
あぁダメだ。全部自分で確認しろモードだなこりゃ……仕方が無い。行ってみるか
「ではその奴と会ってきます」
力になってくれるか、まだ早いと門前払いにされるか、どうなるかなぁ