ドナークさん家の晩御飯
「よっしゃ!頼むぞ?」
頼むぞ……ってこの生肉群をどう調理しよう……
「とりあえずあそこで調理して良いんですか?」
「あぁ!他にも食べられそうな物がその辺にあるから使って良いぞ?」
調理場らしい場所の棚に色々あるのでそれを見てみる
塩、砂糖、胡椒と粉末系の調味料があるから塩と胡椒で味付けすると良いかも?
「ドナークさん。これってどう使うんですか?」
流石にこの世界の調理場は初めてなので戸惑う。ガスコンロの様に五徳がある訳でも無く、IHヒーターのようにボタンがある訳でも無く鉄板があるだけにしか見えない
「あぁ、魔力を流せば熱くなるからそれで調理出来るぞ?」
MPを消費すれば熱くなるのか。じゃあ調理するのも結構大変なんじゃ?……あぁ、こういう時に魔石があると便利って事なのか
「じゃあ調理するけどドナークさんてどのくらいの焼き加減が好きかな?」
「焼き加減?」
「表面だけ焼くくらいか、中までしっかり火を通すか……表面だけ焼くに近い方が柔らかい……かな?」
今回はドナークさんが取ってきてくれた兎肉をステーキにしようと考えている。だからレアかミディアムかウェルダンか。好きな焼き加減があるのであればご要望にお応えしようと思う
「分からないからとりあえず全部試してくれ!これだけあれば試せるだろ?」
「うん、3枚あればとりあえず焼き加減の違いは見れるし、とりあえずやってみるね?」
ナイフで兎肉の筋切りをして肉を叩こうと思ったけど手持ちに叩く物が無い
「ドナークさん?何か肉を叩けそうな物とか無いですかね?ここで肉を叩いておくと柔らかくなるんですけど……」
「んー、これとかどうだ?」
そう言ってドナークさんが空き瓶を1本持って来る
「昨日飲んでた物のだけど使えるか?」
「空き瓶ならむしろ丁度良いくらいですよ。じゃあそれお借りしますね?」
多分ワインか何かの瓶だろう。これを使ってお肉を叩けば柔らかくなる
バンバンとお肉を叩く。少し広がるお肉の形を整えて片面に塩コショウを振っていざ、鉄板の上へ!
「おぉぉ!美味そう……」
MPを流し込んだ熱い鉄板の上にジュウゥゥゥっと焼けるお肉が3枚。見てるだけで涎が出そう……
まずはレア用の肉をひっくり返して塩コショウ。時間をずらしてミディアム、ウェルダンをひっくり返していくけどウェルダンの肉がひっくり返る前にレアのステーキが出来上がる
『兎肉のステーキ(レア) 丁寧に作られた兎肉のステーキ。塩コショウによるシンプルな味付けが良い
空腹度30%回復 』
「まずはレアから」
「いただきまーす!」
出来上がったステーキを一口で喰らうドナークさん。そこは蛇っぽくなくて良いから……
「柔らかいし美味い!これ良いな!」
好感触だな?まぁその間にも次のが焼き上がるので次の感想を聞こう
「続いてミディアム!」
「食感が違うとまた違うな!でも美味い!」
「最後にウェルダン!」
「中まで火が通ってるから噛み応えがあるなぁ!」
ウェルダンだと噛みちぎって食べるドナークさん。ワイルドだなぁ……
作りながら確認したけど兎肉のステーキは焼き加減を変えても()の中身が変わるだけで空腹度の回復量が増えたりすることは無かった。この辺はやっぱり好みがあるからとかかな?いや、肉の量が変わる訳じゃ無いし空腹度が増減するのもおかしいか
「どれが良かったですか?」
「んーーーー……全部良かった!でも強いて言うならレアが良かったな?柔らかくて食べやすかった!」
ドナークさん的にはレアが良かったのか。じゃあレアステーキを量産しようか
「全部レアステーキにする?」
「あぁ、とりあえずもう何回かやり方を見せてくれ!覚えたい!」
「ステーキなら簡単だし、ドナークさんならすぐに覚えられるよ」
できればステーキソースも付けたいけど醤油とか玉葱とか無いしなぁ……
「そうかまぁさっきの見てる限りだと簡単そうだったしな!」
「所でドナークさん?醤油とか赤ワインって……あります?」
「ワインって……まぁあるけど、何に使う気だ?」
「色々あればステーキに掛けるソースを作れるんですよ」
「何っ!?ちょっと待ってて!直ぐに持って来る!」
ガチャガチャと音を鳴らしながら家の中を探るドナークさん。大丈夫かなぁ?
「これで何とかなるか?」
ドナークさんが赤ワインと醤油とみりんらしき物を持ってきた。醤油がある事に驚きだ
「おぉ!これならソースも作れそう!ついでにソースの作り方も教えますね」
「まだ美味しくなるのか!?」
「気に入ってくれれば良いんですけど……とりあえず残った兎肉も使いながらやりましょう」
ドナークさんにステーキの焼き方を教えつつ、ステーキソースの作り方も教えた。焼いた後に出た肉汁も使って混ぜるだけなんだけどね?
「ソースがあると止まらなくなっちゃうな!」
「食べ過ぎない様にしてくださいよ?」
兎肉のステーキを焼いてソースを付けて食べる。というローテーションで食べまくるドナークさんを見てると幸せそうに見えるけど流石に食べ過ぎない様に注意する
「だって止まんないよこれ!」
「食べ過ぎると太っちゃいますよ?」
「うっ……」
やはりドナークさんでも太っちゃうという言葉には弱いみたいだ