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放火

「さぁ夜だ」

 遂に夜になった。【影移動】を試してみるとまぁヤバいね?まさに縦横無尽だ。これはイベント限定にしないとダメだよな。進む速度はベルトパワーを使った時並で空腹度消費はほぼ無し……光が当たっていない所限定と言ってもこれは強い。とりあえず森に行って爆弾を取りに行こう。5つなら慎重に使わないと最大限の効果を発揮出来ないな。まぁ2つはあの建物を倒壊させるのに使うとして、残り3つで大きい所を爆弾で破壊、木製の家は放火でいくか




「本当に来るんかな?」

「さぁ?もうバリア張られちゃったから置いた爆弾も取りに行けないし、とりあえず来るまで見てるしかないんじゃない?」

 爆弾を運んでいた防衛部隊の2人がバリア外の木に爆弾の入った袋を吊るしておいたが、誰も来る気配は無い。敵に見つかると爆弾を使用されて面倒になるので早めに来てほしいと願っていると……


「お、これか。それじゃあ貰っていきます!」

 何かが影から出てきて袋をインベントリに仕舞い、また影に戻っていった


「お、おい今……」

「今のまさか……指揮官?」

 一瞬の出来事で呆気に取られてしまったが、間違いなくあの姿は大画面で見た我等の指揮官の姿だ


「マジかよ……とりあえずメッセージで確認しに行こう!」

「ええ!これはちょっと気になるわ!」

 メッセージが使えない2人は一度拠点の城に戻り、メッセージが使える人を伝って確認する事にした


『さっき爆弾を取りに来たのは指揮官本人ですよね?』


『はい、そうですけど、2人程バリア内に居た気がしますが』


「マジかよ……行きよりも爆速で帰って来てるじゃん……」

「どうなってるの?」

 疑問が尽きない2人だったが、これから更に意味が分からなくなる


『偵8から全体へ、夜間進攻が無い前提で5のラインより上部の敵側全域の調査をします。マップに敵の位置を記していくのでそこから全体的にこっちに寄ってくる等の予想を立てる等にお役立てください』


 そうしてマップにポツポツと赤い点が現れていく。左の方に赤い点が出てきたと思ったら今度は右の方にとマップを蛇腹に進んでいるが赤い点が出てくるスピードを考えると移動速度が尋常では無い。ましてや、赤点の中を突っ切っていたりと空を飛んで調査しているのではないか?と疑い始める人も居る。ワイバーンが居るのでそれも可能だが、ワイバーンは部屋から出ていないし、何よりこれも敵に発見されていないと考えると、全てが常識外れなのだ


「嘘だろ?」

 誰かが呟くが、それはここに居る全員が思っていてもおかしくはない。どんどん丸裸にされる敵の配置。そして猛烈なスピードで敵のほぼ最奥と言っても過言では無い街に向かってどんどん近付いていく虫メガネのマークと8と小さく書かれた割り振り番号。情報のアドバンテージでは確実にこちらが勝っている。それに……


「何か変なマークが出たな?」

「これ、もしかして勇者じゃね?」

 敵の位置情報がバレていく間に他のとは違うマークが出てきた。簡易に書かれたツンツン頭の人の顔らしきマーク


『偵8から全体へ、敵の会話内容や装備から勇者と思わしき人を発見。暫定的に勇者としてマークします』


 敵勇者を発見したという報告。そして遂に……


『これから街に破壊工作を仕掛けます。朝になる前には破壊出来ても、出来なくても一度自陣に戻るつもりなので、成果の程は期待しないでください』


 そのメッセージが届いた後、しばらくして魔王城から遠く離れた1つの街が燃え上がった




「えっと、何か良さそうなのは……そういえば魔石って爆弾とかで破壊したらどうなるんだろう?」

 その魔石に込められた属性とかが爆発に乗ったりするのかな?とにかく威力を増やしたいんだからそういう燃料になりそうな物が集まっている所に爆弾を置けば威力も大きくなるはずだ。さっきみた爆弾を仕掛けるのに良さげな場所の他にもそういう燃料的な物がありそうな場所を探してみる




「こりゃ良いや」

 物資保管庫と書かれた倉庫の様なところがある。流石に勇者軍全体を補給するアイテムを数人のインベントリに仕舞おうとすれば間違いなく面倒事が起きる。採取したアイテムを一か所に集めて必要な時に持っていく方式を取ったわけだな?自陣近くだからインベントリの中に入ってなくても安心と……じゃあもう爆破するしか無いじゃん


「じゃああそこと、あそこと、ここと、あのデカい所に2個で丁度だな。やるか」

 物資保管庫は確実に壊す。戦争で大事なのは前衛よりも後衛だ。腹ペコで壊れかけの武器で戦えるのならやってみろ


 物資保管庫の中に潜入し、爆弾に石火の手袋で火を付ける。そうしたら次の場所へすぐに移動し、爆弾に着火、三か所目に着火した時点で最初に着火したのが爆発した

「うわっ!なんだ!?」

「爆発!?」

「やべーぞ!あそこって保管庫じゃ無かったっけ!?」

 ドカンドカンと爆発が起こり、内部に可燃性の物があったのか、炎が一気に大きくなった。あ、炎が上がったせいであそこに近寄り難くなったな……


「最後にあの建物の片側だけを爆破して……」

 高い建物の片側の角2か所に爆弾を仕込み、最初の物資保管庫近くに戻る。絶対火を消そうとする奴が居るはずだ


「消せ消せ!」

「水だ!」

「【ハシャフ】」

「……!?」

 杖を持った奴が建物の前に来ていたので、ソイツに【ハシャフ】を掛けた。うん、水が出せなくて困ってるみたいですなぁ?


「何やってんだ!早く水を出せよ!」

「……!」

「ちゃんと喋れよ!」

 突然の火災が発生してパニックになってる所に【ハシャフ】による妨害。ふざけているのかと仲違いしている間にも炎はどんどん広がっていく


「「「「「うわー!」」」」」

 最後に仕掛けておいた爆弾が爆発し、建物が崩壊。パニックに拍車がかかり、伝達は滅茶苦茶。炎もいろんなところに飛び火して火災は止まらない。おっと、炎に囲まれちゃ厄介だ。僕もさっさと退散しよう


「お仕事完了」

 我ながら外道だなぁ……まぁこうでもしないと人数差をひっくり返すなんて出来ないし、悪いが皆纏めて燃えてもらおう。このイベント中、僕は勇者軍にとっての鬼となろう



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― 新着の感想 ―
[良い点] おにー [気になる点] あくまー [一言] まおうー
[一言] 戦争ではこれくらい事は、何処もやっているからモーマンタイ。
[一言] しっかし、今は隠密破壊工作ムーブですけど、終盤の決戦時には変身でボス級神話生物で大暴れするハチを相手にする勇者陣営は哀れですね。 魔王陣営も、ハチの昼間の動きに驚愕してたのに実は夜は超強化す…
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