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指揮官

「え?僕に指揮官なんか出来ませんよ?」

「いやいや、何を言ってるんだい?率先して魔王と会話して、率先して外に出たじゃないか?それに地図だって君のお陰で入手出来た。こんなにやっておいて指揮官じゃないとは……ちょっと言えないんじゃないかい?」

 おのれハスバさんめ……こんな時に背中を押さなくて良いんだよ!


「確かに率先して行動出来るのは指揮官らしいですね!」

「いいんじゃない?面倒だし指揮官やってよ?ふふっ」

 アイリスさんとキリエさんまで後押ししてくる。昔、人間の心理実験で集団心理が起き始めるのは3人以上が同一行動(ビルの上を眺める等)をしたら周囲の人も同じように行動するとか何か聞いた。それに今は多分誰もやりたくない指揮官(責任を押し付ける相手)を決めようとかしている。そうなれば……


「あっ、そういえばアンタ。ひょっとして前のイベントの時2位だったアイツか?丁度良い!力量もあるだろうからやってくれよ!」

「あぁ、あの時の!」

 白ローブだったので前回イベントの事を思い出した人達が盛り上がる


「指揮官!」

「「「指、揮、官!指、揮、官!」」」

 なんか一瞬脱がなきゃいけないのかと思ったけど、そうじゃない。ここで受けてしまうととんでもなく面倒な事になってしまう。どうにかして指揮官になる事を避けたいが……


「あっ!あれは!」

「「「「「ん?」」」」」

 やはりこの手段は古来より使われてきた最高の技だ


「逃げたぞ!」

「地下に戻って行ったぞ!追え追え!絶対に指揮官にするぞ!」

 おかしくない?僕何か悪いことした?


「まぁ開幕すぐならこのくらい遊んでも問題無いでしょ」

「はっはっは!すまんな!私の様な者が指揮官になると絶対に文句が出るからなぁ!」

 確かにハスバさんが指揮官というのは想像出来ない。いや、したくない。バルミュラ様の所に一度戻ってメッセージ機能が使えるようにならないか相談してみよう。メッセージが使えれば指揮官とか居なくても個別に動けるだろうし、ここは賭けてみるしかない


「バルミュラ様、未だに戦果も挙げずに申し訳ありませんが、お願いしたい事があります」

「申してみよ」

「我々はメッセージと呼ばれる離れていても友人と会話が出来る能力があります。ですが、今その力がとても弱体化してほぼ使用出来ない状態になっています。バルミュラ様にそのメッセージの力をしっかり使えるようにして頂けないかと……」

「居たぞ!」

 ちぃ、もう来たか……


「ふむ、しばし待て」

「はっ」

 ロールプレイ中に邪魔をする奴は居ないだろう。しかも今は魔王様との会話だ


「我の力では30人。それ以上は無理だ。それでは不満か?」

「いえ、ありがとうございます。話し合い、決めたいと思い……あれ?」

 後ろを見るとめっちゃニヤニヤしている人達。これ僕が魔王様と会話してるせいで余計に指揮官に推薦されるのでは?


「まお……バルミュラ様。失礼ですが、守護をしやすくする為にも指揮官を決めた方がよろしいかと思われます。指揮官を決めれば後はこちらで振り分けが出来ますので、先程のメッセージ機能を回復させる30人等も決める事が出来ます」

 このタイミングでのこれは非常にマズい。だってそれは要するに


「そうか、ならばそこの白いローブを着た者よ。名を名乗るが良い」

「……ハチと申します」

「ではハチ、お主を指揮官としよう。7日と短い間ではあるが、我が命を預けるぞ?」

 そうだよ!戦果も何も出してない状態で指揮官を決めるとか友好度が一番高い奴になるに決まってるじゃん!


「……はい、お任せを」

 失敗したー!こんなの断れる訳が無いよ……


「では指揮官様!まずは人員の振り分けをしましょう!」

 ちゃっかり補佐みたいなポジションに収まってるハスバさん。一番良い所に……いや、僕次第で死地に送る事も可能か?


「はぁ……では改めて。指揮官を任命されたハチと申します。ここに居る方と、隣の部屋で眷属を入手された方。魔王軍陣営勝利の為に協力してくれる事を切に願います」

 一番避けなきゃいけないのは魔王軍の内部分裂。勇者軍に比べたら人数は少ないけど、この少ない人数でも全員を指揮下に置くのはまず不可能だ。絶対従わない人は出てくる。だって僕は指図されずに自由に動きたいって思ってる側の人間だし……


「まずはパーティを組んでいる人と組んでいない人で分けますか。後は協力出来ないって方がいらっしゃるならその方は自由にしてもらうしか無いかな……」

 まぁこういうイベントで協力出来ないような人はそもそもあの蝿王を突破出来ないと思うから流石に何とかなるとは思うけど……




「やっぱパーティ組んでる人の方が多いんだなぁ……」

 63組の4人パーティ、8組の3人パーティ、17組の2人パーティ、ソロ13人。とりあえず数えられた旅人は323人か……いや、キリアさんが居るから324人か。これからの事を考えて部隊編成とかしたいけど……ここに更に眷属が追加?絶対纏められる自信無いよ……


「えーっと、まずは攻撃と防衛、後はメッセージ機能が使える人の割り振りに食料は多分途中で途切れるから防衛側の僕達はその辺を今の内から調達する必要があると思います」

 7日という決まった日数の中で僕達は防衛側。後半に食糧が入手出来ないと空腹で弱った状態で迎え撃たなきゃならない可能性があるからこそ、今の内に食料を集めるべきだと思う


「なので、まず先に聞きたいのが、指揮官に任命された僕に協力出来ないって人が居れば先に言ってください。メッセージ機能は30人しか使えないので間違いなくその方々はメッセージ機能が使えないと思ってください。あっ、もちろん要望があれば聞きますし、皆さんの自由を侵害するつもりも無いので形だけ、決めなきゃいけない事の責任者程度で考えていただければ……でも勝つ為に頑張って色々考えるのでご協力願えたらと……調整とか頑張りますから!」

 メッセージ機能無し=救援は呼べないのとほぼ同義。324人を凡そ30パーティに分け、どうにか被害を減らしたい。人数差は多分半端じゃないから少ない味方が更に少なくなると確実に勝てなくなる。頼む……もうこうなったら僕が責任者をやるしかないんだ。頼む!出来る限り従ってくれぇ……



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― 新着の感想 ―
率先して眷属のことを聞き前のイベントの優勝者でなにより美人なロザリーさんではなくハチくんを指揮官にだと…こいつら、ノリが良くて団結力あるな。
[一言] 遂にここに戻ったぜ! 指揮官....それは七日戦争の参加者なら 決して忘れられない称号だ...
[良い点] うわー、こんな大人数がいる上に戦略ゲーとか絶対に指揮官やりたくないなぁ 絶対把握しきれない
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