改造マウントアイテム
「いらっしゃーい!おきゃーくさん。どーんな乗りー物をお求ーめでー?」
間延びが凄い丸サングラスをした特徴的な店の人が居るマウント屋なるお店にダイコーンさんとやってきた
「ヒャッハー!店主よぉ?すげぇブツを持ってきたからコイツでバイクを改造してくれよ。上物だぜぇ?」
ダイコーンさんが懐からトラフォタイトを取り出すと、店主がサングラスをクイッとしてモノを見定めている
「ほほー?これーはまた良いー鉱物だねー?」
「そんでもってとっておきだ」
「ぬおっ!?な、なにこれ!?これは流石に見たことが無いねー……でもワタクシなら出来ない事は無いよ!因みに余った物は貰っても?」
間延びは演技か。それとも友好度とかそういう何かがあるのかな?
「あぁ、構わねぇぜ?だからバイクの改造に手を抜かねぇって約束してくれ。金も……このくらいでどうだ?」
お金と一緒にバイクの鍵?を店主に渡すダイコーンさん
「よし!約束しよう!すぐに終わらせるから適当にそこらへんで待っててー、そっちの君ーもマウントアイテムが欲しかったら適当ーに選ーんで買っても良いよー」
「あ、僕ですか?僕は自前のマウントアイテムを持ってるんで……とりあえず見るだけにしておきます」
買えと言われてもお金が無いので買えないです。それよりもダイコーンさんが改造費として大金貨を5、6枚出したのが見えたんですが……
「イベント前だから豪勢にな?」
「現実でもゲームでも出来ないんでそういうお金の使い方は憧れますねぇ……」
好きな物に大金をぶっ込めるのは羨ましい。僕の場合はお金じゃ無くて込められるのは工夫くらいかな?
「こりゃー凄い!すんばらしいー素材だ!」
カンカン、ガンガン、ギュイーン、ドドドド……凄まじい音とテンションが上がった店主の声が店の奥から聞こえてくる。今改造してるのか、すぐに終わらせるって言うのも嘘じゃなさそうだ
「まぁ、買えはしないけど見るだけ見てみようかな?」
見たら欲しい!ってなってしまう物もあるだろうけど、見てみよう
「馬に猪、これは鹿?こっちはライオンかな?おぉ、セグウェイみたいな物からバギーもあるのか……やっぱ全部高いなぁ!」
大体の物は金貨から大金貨を出さないと買えそうにない物ばかり……マウントアイテムって高いんだなぁ
「移動用のマウントアイテムなんて高ぇし、燃費が悪いから必要無ぇなんて奴も居るがよ?移動は楽になるし、何より浪漫がある!」
「あぁ、やっぱ浪漫ですよねぇ」
馬に乗って冒険とか、バギーで荒野を疾走するとか面白そうだよなぁ……
「蹄鉄とか牙とか鍵がマウントアイテムになるからちょっとしたオシャレアイテムにもなりそう」
アクセサリー装備とは別に装備に括り付けておくだけでもカッコイイ物もありそう
「出来ましたよー!いやいやー、あの超トラフォタイトZやー、濃縮トラフォニウムという素晴らしー素材のお陰でー、今までにない革新的ーなマウントになりましたよー!」
革新的かぁ、いったいどんな風になったかな?
「どうぞどうぞー、完成品をーご覧くださいーあ、お連れさんもどうぞー」
店の奥に通されたのでダイコーンさんと一緒に改造が終わったバイクを見せてもらう
「パッと見はそこまで変わってない?」
「若干赤いパーツが入ったくらいか?」
「何を仰いますやらー、コイツはもうそんじゃそこらのマウントアイテムとは違いますよ?まずはこちら!」
ガチャンと音を立てながらバイクのハンドルを引き抜くと細めの剣が出てきた
「これだけじゃありません!」
今度はマフラー部分をガチャンと外す。すると……
「こ、こいつは!?」
「欲しかったでしょう?こういうの」
「か、貸してくれ!」
ダイコーンさんがそう言って取り外したマフラーっぽい物を構え、明らかに狙ってくださいと言わんばかりの的に対して、そのマフラーに付いていたトリガーを引く。そして……
「ヒャッハー!汚物は消毒だー!」
少年の様な瞳でマフラー火炎放射器を的に向かって撃つ。すっごいしっくりくる
「このような物も!」
今度はハンドルごと前輪を外すと前輪から丸鋸みたいな鋭いスパイクが出る。腕に直接装備出来るみたいで店主が剣を持つ逆の手に丸鋸アームを装備……マジ?カッコ良すぎでは?
「こちらはまた別の!」
剣をハンドルに戻し、後輪側に手を突っ込む。すると後輪側はタイヤが肩の部分移動してレドームの様になり、銃身が現れた。丸鋸アームと銃アーム……しゅげぇ
「攻撃力は下がるけど、防具として使える形態もあるんですよー。いやぁ、素晴らしい素材に感謝!トラフォタイトは固いのに魔力を流すと簡単に変形させる事が出来るけど、濃縮トラフォニウムはそれを特定の人にのみ変形させる鍵の様な役割と更なる強度を追加!超トラフォタイトZにより素材同士の結び付きは更に強化され、強度は更に上昇!素材のお陰で備蓄可能な魔力量も増え、燃費も向上!このバイクは間違いなくワタクシの最高傑作です!」
演技はどうしたんだ?というかめっちゃ早口……こういうの好きなんだなぁ
「ヒャッハー!」
「うへへ~最高傑作だぁ!」
「……これなら乗れなくても別に良いか。こういうメカメカしいのも良いなぁ!」
紫電ボードを出して見比べる。パーライさんから貰ったまさに生物の羽根とダイコーンさんのメカの道を爆進するバイク。こうして見るとマウントアイテムって括りでも全然違うなぁ
「ちょちょ、お客さん?それは?」
「あ、僕のマウントアイテムです」
「売ってくれないか!?大金貨10枚は出す!」
「これはいくら出されても売れないですね……友達に貰った大事な物なんで」
パーライさんから貰った物だし、呪いも込みで売るという選択肢はない
「こんなレアな物持ってる人が居るとは思わなかったねー、出来れば欲しかったけどそれならしょうがないかー」
諦めが良くて良かった……そうだ、こういうのあんまり人前で出さない方がいいんだった。迂闊だったなぁ