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姫のお守り

「にしてもワリアさんが果物を食べるのは意外だったなぁ……」

 火起こしをしながら村を出る前の事を思い出す。組み立て終わったワリアさんが「何か食べる物無いか?」と聞いてきたので果物を出したら「おぉ!美味そう!」ってかぶりついていた。肉は食べないけど野菜や果物は食べるらしい。本当に想像出来ない……


「よぉし!出来た!」


『兎肉のロースト スプリングボアの特上ロースト を入手』


 ゆっくりじっくり直火で焼く事で味付けの調味料が無くても素材本来の旨味を楽しめる。後はこれをさっさと持ち帰るだけだ


「封印したけど骨のお陰でMP切れする事が無くなったし、封印解除しよう!だって早く帰らないとね!」

 MP自動回復のお陰でさっき空っぽになったMPも満タンに回復したのでまた紫電ボードに乗って村に帰る事にする。やっぱりこれ楽しいんだよね!


「たのしー!」

 森を滑走して村に帰る。楽しいけど速度が上がるとMP消費も上がるので若干抑え気味だ。さっきと同じミスはしないぞ?




「ふぅ!」

「んなっ!?」

「あっ……」

 ごめんなさい。はしゃぎ過ぎました……速度は出し過ぎない様に調整したけど倒木があったのでそこを通って跳んだら村の中まで飛び込んでしまったその瞬間をドナークさんに見られました。はい


「何やってんだ!ハチ!」

「ごめんなさい」

 紫電ボードに乗って倒木を使ってジャンプ。紫電ボードだと落下も割とゆっくりなので僕でも3回転(テンエイティ)を余裕で決められる。そしてジャンプ中にドナークさんを見つけたので着地と同時に土下座着地。我ながら中々綺麗に決まったと思う。まぁ怒られてるんですけどね?


「どうかこれで勘弁してください。まだ姫様も待っているんで……」

 そう言って兎肉のローストをドナークさんに差し出す。自分用だったけど使える物は何でも使っていこう


「お?美味そうじゃん?これでさっきのは見逃せってか?」

「出来立てなので……それで許してください」

 兎肉のローストをまじまじと見てから一口食べるドナークさん。これで許してもらえなかったらどうしたら許してくれるんだろう


「これうっま!もっと無いのか?」

「それ一つしか無いんだ。今日の晩御飯にしようかと思ってたんだけど悪い事しちゃったからね……自分への罰だと思ってドナークさんにあげたんだ。それは頭に角があった兎の肉を焼いた物だよ」

「なるほどな……ホーンラビットの肉か……まぁ見なかった事にしてやるよ。姫様が待ってんだろ?」

「ありがとう。じゃあ僕は行くから!」

 ドナークさんと別れて姫様の元に向かう


「村の中ではさっきの使うなよー!」

「はーい!」

 紫電ボードは村の中で使用禁止。これはもう2回もやらかしてるから僕が悪い。やっぱり調子に乗るとダメだね……




「おーい、姫様ー」

「おっ!ハチ!おかえりー」

 肩をゴブリン達に揉ませていた姫様は僕を見つけると肩揉みを止め、こっちに走って来た。こういう所は可愛いと思う


「あの肉!取ってこれたか?」

 こういう所、どうかと思う


「中々酷いなぁ……はい、1つだけどどうぞ」

「おぉ!ハチー!褒めて遣わすぅーうっまー!」

 食べるの早いよ……後ろのゴブリン達もすっごい物欲しげに見てるし、多分だけど次は中々出てこないと思う


「また木の実だけど……良かったら皆も食べて」

「ハチ様ー!」「ありがたやー!」「感謝ー!」

 ゴブリン達にも木の実をあげる。姫様だけだと不公平だしね?


「ふぅ、とりあえずその肉って結構レアらしいから中々出てこないみたいだけど今日は運が良かったよ」

「美味かった!今回もすまんな?あの味が忘れられなくて……とりあえずこれを受け取ってくれんか?」

 姫様から何かお守りの様な物を手渡された


「これは?」

「……ハチが居なくなった時寂しかったから作った……」

 これは不意を衝く可愛さだ……あの姫様がって思うと余計に可愛い。変なアイテムだとしてもしっかり受け取ろう。もうこの姫様の今のモジモジしてる表情だけでも十分な報酬だと思う


 ---------------


 小鬼姫のお守り


 レアリティ エピック


 DEF +50

 MIND +50


 耐久度 150%

 特殊能力 即死回避 一撃で死ぬ可能性がある攻撃を受けた場合にHP1で生き残る


 小鬼姫が自身の認めた者の為に丹精込めて作ったお守り。死んでほしくないという思いが本当に死を退ける力を少しだけ宿している


 ---------------


 すっごい良い物だ……その表情だけでも十分な報酬だよとか実際口に出さなくて良かった……これ普通に即死回避って凄い能力と単純に物理と魔法に対して強くなるから装備しない選択肢が無い


「ありがとう姫様。大事に使わせてもらうよ」

「壊れてしまったら持ってこい。直してやるぞ?」

 姫様のお守りが壊れてしまったら姫様の所に持っていけば直してもらえる……何だかまた肉を要求されそうだなぁ?


「壊れない様に生き残るよ」

 冗談っぽく言うけど割とシャレにならない事だ。即死級の攻撃をHP1で耐えるって感覚100%なら中々ヤバいんじゃない?精神の方がやられちゃうかもしれない。多分そんな事になったら強制的にログアウトさせられるだろうけど


「ハチならまぁ上手く生き残れるだろうな!」

「そりゃ死にたくは無いしね?僕もそろそろご飯食べたりするからこの辺りで、じゃあねー」

「また来るのだぞー!」

「「「さよならー!」」」

 ゴブリン達も一緒に手を振って見送ってくれた。とりあえずアトラさんと会話出来たらログアウトしようと考えていたら……


「ぽよっ!」

 ちのりんが現れた!



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