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リハビリスタート

「おぉ……これがフルダイブのVR……凄い」

 白い空間に立っているのは分かる。立ってるだけなのにちょっと懐かしい感じすらある。だが、自分は白いデッサン人形の様な姿なのが気になる……


「ようこそ。旅人様」

「なんだっ?これ?」

 急に目の前に光るオーブの様な物が飛んで来て話しかけられた。旅人様?


「キャラクター情報をまだ設定していない為、暫定的に旅人様と呼んでいます。これからあなた自身のキャラクターを設定しましょう」

 あぁ、このオーブはガイドをしてくれるのか。それならガイドに則ってキャラクターを作ってみよう


「こういうの初めてだからお願いします」

 コントローラでやるゲームは色々やったけど自分の体を動かしてやるゲームは初めてだし、ガイドに聞きながらやって行こう


「分かりました。ではまず名前と種族から決めて行きましょう。alter・worldでは様々な種族が存在し、その中から自分の種族を選ぶ事が出来ます。因みに性別の変更は出来ません。一覧表をご覧になりますか?」

 色んな種族があるらしいけど僕の目的はリハビリだから人間以外ありえない


「いえ、人間でお願いします」

「分かりました」

 人間に種族を決定するとデッサン人形からマネキン人形みたいに少し変化した


「名前はどうしましょう?」

「名前はハチで」

影人エイトだからハチと色々なゲームでも使っていた名前にした。使えなかったら8とか八千とかにするけど……


「ハチ、はい。登録しました」

良かった。通った


「次に外見になりますが……現実の姿を参照にしてもよろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ」

 オーブの隣に姿見が現れる。真っ白だったマネキン姿からインナーを着た僕の姿に変わる。おぉ……何とも不思議な気持ちだ


「顔のパーツや、身長などを調整する事が出来ますが……現実と全く同じ姿ではプライバシー等問題が発生する可能性が有りますので幾つか変更をする事をオススメします」

 なるほど、少しで良いから何かしら変えた方が良いのか……でもちょっとでも変えるとリハビリの効果も落ちたりするかもしれないし……目の色とか髪の色を変える程度で済ませよう。いつもの伊達メガネを掛けるだけでも印象も変わるし、そもそもそんなに注目されたりすることが無かったから多分大丈夫だろう


「じゃあ目を赤くして髪は黒髪だから白いメッシュを入れてみよう」

 僕の指示通りに姿見に映った顔の瞳が紅く変わり、左目の上辺りの髪が白くなった


「これでオッケーです」


「分かりました。では体がキチンと動かせるかチェックしましょう。納得出来るまでチェックしてください」

 始まった。ここからが僕のリハビリスタートと言っても過言では無い


「うわっ!?」

 体のチェックをしようとすると足に力が入らずその場に倒れた


「大丈夫ですか?」

 オーブが心配して近くに寄ってきたので、自分の事を説明する


「えっと、リハビリする為にこのゲームを始めたんですが……やっぱりそう簡単に歩けないみたいですね」

 まさかゲームだからサッと歩けるだろう。リハビリになるのだろうかと思っていたけど、ここまで反映されるなんて思わなかった


「リハビリ……失礼ですがどの様な症状か聞いてもよろしいですか?」

 このオーブさん結構人間らしいなぁ


「えっと、交通事故で脊髄損傷して首から下が動けない状態になって首に機械を入れてゲームでリハビリ……自分で言ってても現実感無いなぁ」

「そんなに酷い状態だったのですか……補助しますのでまずは座って手を動かしましょう」

 白い地面から椅子がせり上がってきた。ここはオーブさんに頼めば色々地形を変えたりも出来るのかな?


 オーブさんによって持ち上げられ椅子に座らされる。目の前にオーブさんがふわふわ浮かんでいる

「まずは腕を持ち上げて離しますのでキープしてみてください」

 オーブさんから小さいオーブが2つ出てきて僕の両手を持ち上げる。自分の腕を持ち上げられたからか腕の感覚が少しだけ分かる


「数日前まで使えてたのに、急に体が使えなくなるって不思議だなぁ」

「……そのような場合通常なら恐怖や不満、怒りなどの感情が湧いてくるのではないでしょうか?」

 だらんと下がる腕を見ながら不思議だと思っていたらオーブさんに不思議がられた。だって怒ったって腕が動く訳じゃ無いし……


「オーブさん。もう一回お願いします」

「オーブさん……私ですか?分かりました。ではもう一度行います」

 その後も何度かオーブさんに手を上げてもらったり物を握ろうとしたけど今日は特に進展は無かった。流石に1日で成果が出る訳も無いか




「今日の所はこの辺にしておいても良いですか?」

「およそ3時間23分40秒程リハビリをしていました。かなりの時間を費やしていましたし、終了しても良いかと思います」

「えーと、これゲームをやめる時はどうしたら良い?」

「ステータスを開き、ログアウトを選択……あっ、申し訳ありません。今回は私の方で操作させていただきます」

 空中に半透明の板の様な物が出る。

 装備やアイテムなどの項目があることからこれがメニュー画面の様な物か。そして操作するのは指でタッチしなければ操作が出来ないと……だからオーブさんが今回は代わりにやってくれるらしい


「次回ログインの時までに思考操作型の導入を検討します」

「考えれば操作出来る様になるって事ですか?」

「はい、正解です」

「それは楽しみですね」

「いえ、修正点を見つけて下さって感謝しています。では、またのログインお待ちしております」

 オーブさんの手によってログアウトさせてもらえた。リハビリの進捗としては全然だが、これからのリハビリもオーブさんが手伝ってくれると思うと結構直ぐに治っちゃいそうな気がしてきた



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― 新着の感想 ―
[良い点] 〉だって怒ったって腕が動く訳じゃ無いし…… 主人公だからと言ってしまえばそれまでなんだが。 理性が勝ってるというか、本当に強い子だ(`;ω;´) 自分も昔暫く動けない時があって、その時怒…
[気になる点] 現実の肉体は物理的な損傷で動かない事は分かるんだけど、ゲームの中でも動かないってなんでだろ? 小さい頃から動けないなら分かるんだけど、十何年も動かしてきた体の操作方法が分からなくなる…
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