表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
299/2014

マイクパフォーマンス

「我が剣技を受けて膝をつかずに居られるか見物だな?」

「いや、膝つくとかつかないじゃなくて……」

 もしかしてこれって……ボクシングじゃない!?


『さぁ!楽しい戦いを見せてくれぇ!』

 本当の意味での何でもアリ(バーリトゥード)かこれ……というかそりゃ立ってられないでしょうよ。だってその大剣を横薙ぎされたらリングのほとんど範囲だもん


 カーン!とゴングの良い音が鳴り、戦闘が始まる。10カウント方式であるなら僕が触る事が出来れば【レスト】一発で終わってしまうけど、それやったらブーイングとかとんでもない事になるのは簡単に予想出来る。でも流石にこれは無くない?


「喰らえ!」

「ひえっ」

 躱したけどこれあれだよ。大きく、分厚く、重く、大雑把で鉄塊的な大剣みたいな物だよこれ……当たったらそのままこの観客達の仲間入り……あれ?でも旅人だとリスポーンするから幽霊の仲間入りはしないのか?


「そんな様子では私を倒す事は出来ないぞ!」

「いや、幽霊に打撃って入るの?」

 ブオン!ブオン!と大振りながらも振り回される大剣を避けて当然の疑問を思い浮かべる。冥界にはやってきて、リングには上がったけど、こっちから幽霊に触れたり、攻撃が出来るかはまた別の問題の様な気がする。向こうは僕の精神に直接、攻撃する事も出来るかもしれないけどそもそもこっちから触る事も出来なければ戦いにもならないと思う


「おっと、そうじゃった!レフェリー、ちょっと待っとくれ!」

「どうされましたか!」

「幽霊と生身では普通に戦えん事を忘れておったわ。ちょっとだけ時間をくれるかの?」

 死神さんがリングに近寄って来て僕のセコンドっぽい感じになってる。危なくなったらタオルでも投げてくれるかな?というかやっぱり普通だと戦えないんだね


「よろしいですか?」

「構わない。ちゃんと戦えなければ皆も面白くないだろう?なぁ?」

「「「おぉぉぉ!」」」

 マイクパフォーマンスかな?


 とにかく対戦相手のゴーストヴァルキリエさんからの許可が出たので一度死神さんの居るコーナーに行く


「すまんすまん、生身の存在が来るのも久々で忘れておったわ。ほれこれでやりあえるぞ」

 死神さんが僕の体に触れると全身に薄い布を掛けられたような感触がした。これで幽霊とも殴り合いが出来るのか


「せっかくじゃ、マイクパフォーマンスをやってみたらどうじゃ?」

「マイクパフォーマンスですか……」

 流石にマイクパフォーマンスはやった事ないから自信は無いけど……やってみるか。もしかしたらあの大剣を使わない様に出来るかもしれない


「もう準備は良いか?」

「ふぅ……準備は良いが、死神様から盛り上げてこいって言われたんでね?だいたいなんだぁ?そのデカい剣は?」

 気持ちとしてはダイコーンさんのロールプレイだ。口は悪いけど相手はバカにし過ぎない様に気を付けて……いや?こういう時は馬鹿にした方が良いのか?


「「「なんだ?アイツ」」」

 やべっ、ちょっと不思議に思われてる


「この剣がどうかしたのか?」

「知らないのか?持ってる武器がデカい奴はそれだけ敵に近付きたくないビビりだ!御大層な武器を見せびらかすのはそれだけで威圧して気分で勝ってるだけの奴だ!」

 僕もそんな事知らないけど、とりあえず相手の武器を貶してみる


「何だと貴様!」

「素手で俺とやり合うのが怖いからそんな御大層な武器を持ってるんだろう?ぼ、俺が怖いから素手のタイマンで戦う事すら出来ないんだろう?なぁ!どうなんだオーディエンス!素手同士の殴り合いを見たくないか!」

 とりあえず困ったら観客に振る。これで上手く観客を乗せられれば……


「そーだ、そーだ!」

素手喧嘩(ステゴロ)を見せろー!」

「拳で戦えー!」

 良いぞ、観客をこっちのペースに出来れば相手も会場の流れで武器を捨てざるえないだろう


「どうなんだよ!どうしても武器が捨てられないってならそれでも良いが、腰抜けにはそんな勇気もないのか!」

 うわぁ……ついロールプレイの一環で言ってしまったけど今は絶対良くなかった。言い過ぎたなぁ……


「……良いだろう!これが無くても私が強い事を証明してやる!」

 リングに大剣を突き刺し、両手をフリーにするゴーストヴァルキリエさん。ヴァルキリエ……ワルキューレとかヴァルキリーと似たような物かな?元は天使?半神だっけ?あんまり覚えてないや。でも確実にブチ切れてる事は分かる


『さぁさぁ!ちょっとした休憩を挟んだと思いきやバチバチの戦闘態勢だぁ!これからが本番!始まるぞぉ!』


 カーン!とまたゴングの音が鳴り、戦闘が始まる。大体予想が出来るのは、この手の女性キャラって見た目とパワーが合ってない事。さっきの大剣を持ってた時点でそれはある程度予想が出来る


「貴様をぶっ倒したら侮辱した事を謝罪してもらうぞ!」

「すいません、ごめんなさい、そんなつもりじゃないんです……盛り上げろって言われたからで本気じゃなかったんです」

「黙れぇ!」

 かなり力が入っている怒りのパンチ。避けながら言い訳して、受け流す。やっべーよこれ、完全にブチ切れてるよ……


「ちょこまかと!」

「よっと!」

「「「「「うぉぉぉ!すっげーぞ!」」」」」

 力任せのパンチを躱し、蹴り上げは相手の足に乗ってバク宙で威力を殺してコーナーの上に着地する。それがそれなりに観客には受けているみたいだ


「どうにかこのまま盛り上げられれば良いけど……」

 僕が死なずに、かといって一発で勝負が決まらない様に上手く立ち回れるかな?これは何時ぞやの自分から吹き飛ばされるアレとかも使った方が良いかもな……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 猫の様に舞い ハチの様に刺す 無限猫避け流ハチの型-極-
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ