厄介への理解
「さて、帰るかな」
あの、冥界への門は僕は通れないので今回は諦める事にする。もっと先だと僕でも通れそうな冥界への門があるのかな?
「ちょっと!?さっき見えた冥界への門には行かないんですか?」
「僕じゃ多分通れないから今回は行かないよ。また別の所で僕でも無理なく通れる冥界への門を探すから」
「よくそんな簡単に諦める事が出来ますね……」
「行けない所にいつまでも執着しても何も進まないですから、それなら他の所を探した方がまた何か新しい発見があるかもしれないじゃないですか?ここでいつまでも立ち止まるよりはその方がずっと良いかなと、調べたかったらチェルシーさんお1人でどうぞ」
「そんな事言われても私1人じゃ門が見えないんだよねぇ……ハチ君が諦めるなら私も諦めるよ」
あの門を見るには僕が持ってる狭間の通行手形を通して視るしか無いので持っていないチェルシーさんも諦めるしかない
「でも、なるほどねぇ、そうやって一つが分からないからそれにずっと固執して調べまくるんじゃなく、色んな所に手を伸ばして行くから見えなかった物が見つけられるのかもね……」
「やり方としては情報屋のチェルシーさんと似てるんじゃないんですか?色んな人が持ってる情報と引き換えに新しい情報を入手したり……やっぱりそう変わらないんじゃ?僕はそこにお金のやり取りは発生しないですけど……まぁ仲良くなった人と情報や物品をやり取りはしますけどね?」
ホフマンさんとはかなりその辺のやり取りで良い思いをしている。僕には料理をするにおいて必要な物等を、ホフマンさんには情報やレアな食材を渡す事でやり取りは成立している。情報屋とはそう変わりないはずだ
「まぁ信頼は大事だからねぇ……因みに私はハチさんに信頼ってされてます?」
「正直に言っちゃうと面倒な人だなとは思ってましたね……まぁでも情報を色んな人の為に集めてるって話を聞いたら多少はしつこいのもしょうがないかと思えるようにはなりましたよ」
「結構正直に言ってくるね……ちょっとグサッと来たよ」
流石に素直に言い過ぎただろうか?
「少し言い過ぎでしたね、すみません。一応チェルシーさんの事は信用してますよ?僕の事は洩らしていないでしょうし」
洩れていたら多分あの時、僕に声を掛けて来ていた人は僕の事を名前で呼び留めてもおかしくなかったハズだ。でも白ローブを目印にしていたみたいだから僕の情報は洩れてはいないとみて良いだろう
「そりゃ洩らしたら私の信用問題だからね」
「だからこれからも僕を信じさせてくださいよ?」
「ふふっ、分かりました。これからもたまには情報を流して下さいね?」
仲がとても良いとは言えなくても、信頼は出来る。情報屋としてのチェルシーさんとの付き合い方はこのくらいが良いんじゃないかな?
「チェルシーさんは街に戻るんですか?」
「ええ、そろそろ行かないと。何やら新しい情報が入ってきてどれくらいの金額にするか困っているから私が実際に行って、価格交渉から確認とかしなきゃいけないかなぁ……」
「お疲れ様です。じゃあ僕はこれから自由にやらせてもらいますね!」
チェルシーさんが居なくなるから大分気が楽になる。主に巻き込まないとかアビスフォームが使えるとか
「くぅ~!ここで解放しちゃうとまた何かしでかしそう!でもここで自由にする事でまた新しい事を見つけるかもしれないから監視はしない方が良い……?とりあえず何か情報入手したらよろしくね!」
チェルシーさんはそう言い残して街に向かって走って行った。情報を買うとは言ってないからタダで教えてな感じかな?まぁそんなにすぐ教えられるような情報が入手出来るとは思わないけど……
「さて、明日の為にログアウト出来る場所を作りますかねぇ」
ログアウト出来るように木の上に魔糸ベッドを作っていく。明日は菖蒲さんと買い物に行くからこっちに戻ってくるのは結構時間が掛かりそうだなぁ……今後は学校が始まる事を考えるとより安全に隠れて休息が取れるようにしないとだな……あ、そういえばすっかり放置していたけどSP100貯まってるし、天衣無縫の器のレベルアップが出来るか。やっちゃうか?
「いや、先に寝床を作ってからにしよ」
まずはちゃんとログアウト出来る環境を作ってからやってみよう。焦らなくても逃げたりはしないし
「あ、稲は抜いておこう」
森林用ギリーマントに追加していた枯れていた稲を取り除き、森林用にちゃんと戻しておく。流石に森の中に稲は生えていないから不自然だろう
「さて、準備は出来たけど、どうしようかな?」
貯まったSP100を器の強化に回すべきか……このSPをステータス強化に回すのと器の強化のどっちに回すのが強くなれるのかなぁ?単純に数値だけで言ったら多分SP400分のステータスが伸びるのと、器の追加能力(何が来るか不明)のどっちかにポイントを振るべきなんだろうけど……今さらステータスにポイントを振るのなんて面白くないな。これは天衣無縫の器と心中するくらいの気概で行こう!
「よし!それじゃあ器のレベルアップだ!」
SPを全て天衣無縫の器のレベルアップに使用する
『天衣無縫の器 がLv4にレベルアップしました』
『天衣無縫の器 Lv4効果 戦闘中片手武器、両手武器、遠距離武器を装備していない時、攻撃の威力が上昇する』
良いの来たぞこれ!




