冥界への門?
「さてと、それじゃあ探してみますか」
狭間の通行手形を取り出し、目の前にかざして周囲を見てみる
「それ何!?情報プリーズ!」
「冥界への門を探す物です。詳細は教えません」
「ぐぬぬ……」
ついて来たチェルシーさんに漏れる情報はもうどうでもいい。詳細だけ言わなかったら問題無いだろう
「おぉ?あれが門……門?」
通行手形を目の前にかざしたりかざさなかったりして確認するが、かざすとソレが見え、かざさないと見えなくなるから門……なのかもしれないけど
「ここの門?は犬小屋っぽいけど……」
門というには小さすぎるし、屋根とかついてるけど犬小屋にしか見えない。これが冥界の門なのか?
「まぁでもこれが冥界への門だっていうならそうなんだろうな……」
バカにしたら急にあの犬小屋的な門?からニュッと巨大な腕が現れて引き込まれるなんて事があるかもしれないし、少し注意しよう
「何かあるんですか?」
「これを通して視てください」
僕の持っている狭間の通行手形をチェルシーさんの目の前に出す。こうする事でチェルシーさんでも視る事が出来るだろう
「何かありますね……あれが冥界への門ですか?」
「僕も初めて使ったからそうなのか分からないけど、ここの門はそういう形なのかもしれない。ただ、あのサイズだとちょっと入るのが辛いかも……小型犬くらいしか入れなさそうだし、僕も入れないかな」
冥界への門は色んな所にあって、色んな形をしている。そして入れる冥界への門があれば、入れない冥界への門も有る。だからこそ狭間の通行手形には『見つける事が出来る』って説明書きされてたのか
「よし、それじゃあそろそろ……」
装備をオーブ・ローブからシスター服に変えようとした時に後ろからチェルシーさんが話しかけてくる
「え、そんな、こんな所で……そもそもそういう行為はシステム上禁止されてますよ?」
「何勘違いしてるんです?これから寄ってくる幽霊達を浄化……成仏させてあげるのが僕がやろうとしていた事なんで、そのために着替えるだけなんですが?」
「えっ」
「えっ?」
シスター服に着替えていつでも幽霊がやって来ても良いように備え、門に近付く。彷徨える亡霊達がキチンとした所に還る事が出来る様に浄化の準備だ
「その姿良い!男の子がシスター服を着るギャップ!SS撮らなきゃ!」
「やり過ぎは通報しますよ?」
多分迷惑行為として通報すれば通るよね?
「それされちゃうと流石に情報屋として活動出来なくなっちゃうから勘弁して下さい……でもその姿は相当似合ってますよ!」
「似合ってるって言われても困るだけなんですけどね……おっと、来たかな」
「えっ……うわっ!何この量のゴースト!?」
僕と門。そして後ろに居るチェルシーさんを囲むように何処からともなくやってきた彷徨える亡霊達。量は多いけど焦る必要は無い。彼らはただ寂しかったり、還りたいだけなんだ
「今、送ってあげるよ」
今回はゾンビじゃないので、糸を使った拘束とかは出来ないだろう。でも幽体なら拘束しなくても【聖域展開】で勝手に止まりそうだな……
「安らかに眠りたまえ」
周囲に居る亡霊達も僕が何をしようとしているのか理解しているみたいで僕の事を襲おうとしている動きは無い
「今時点で幽霊特攻武器なんて持ってないよ……どうしよこれ」
何か敵対しようとしてるし……
「黙って何もしないでください。攻撃は多分してこないんで」
亡霊達をキチンと送る為、攻撃はしないでほしい。それをされると多分この周りの亡霊達も怒って攻撃してしまうだろう。チェルシーさんにとって一番良いのは何もしない事だ
「【聖域展開】」
僕達を囲む亡霊達がだいたい【聖域展開】の範囲に入った所で発動する。聖なる光の領域に入った亡霊達は苦しまず、安らかな表情で聖域の中に入り、僕の浄化を受けて成仏していく……と思ったら亡霊達は犬小屋に……コホン、冥界への門に吸われていく。ひょっとして冥界へ魂を送られる事が成仏という事になっているのかな?
「なにこれぇ……」
チェルシーさんにとってはもう意味の分からない光景に見えるだろう。まぁだからと言って僕にどうこう出来る物じゃ無いけど……でもこれ大丈夫だよね?ちゃんと亡霊達は行くべきところに行けてるんだよね?
『【霊の恩返し】の効果が上昇しました』
『【霊の恩返し】 パッシブスキル 戦闘時間が経過する毎に相手の全ステータスが減少する(最大20%)霊を浄化すると効果の最大値が上昇する』
デバフが15%から20%に上昇した。聖女の祈りの魂の救済効果は冥界に送るのが救済の効果なのかな?それともたまたま冥界への門が近くにあったからそこに導いただけなのか……まだまだ詳しい事は分からないな……
「ハチ君の底がしれないよ……どれだけ情報を持っているのか分からないけど、もし今までの情報を全部売られていたらそれこそ私が……いや、私のクランが破産しちゃう所だったかも」
「そんなにヤバい情報でしたかね?」
「ウチ結構お金持ってる方のクランだけど、それでもかなり買い取り出来るかギリギリかもね」
「お金に縛られるのは大変ですねぇ」
「お金縛りプレイしている君の方がずっと大変そうに見えるけどね?」
「……」
ごもっともな事を言われて言い返せないハチ君なのであった




