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あのダンジョンへ

 皆に別れを告げて、棄てられた教会からファステリアスの街に行く。今回の目標地点であるあのダンジョンを目指して進むとしよう。レベルアップした人も多いからか、ファステリアスの街も割と空いてきた。これならコソコソ隠れなくても良いかな?久々に街を堂々と歩ける


「まぁ夜にあの場所に行ければ良いからゆっくり行こうかな」

 走って行っても空腹度が勿体ないだけだ。途中で何かしら狩って晩御飯を作るのもアリだな……


「さて、どうしようか……ん?」

 何だ、誰からのメッセージだ?


『ハチくーん?ファステリアスに戻るなんて何かあるのかーい?情報があるなら買いますよ?』


「はぁ?何でチェルシーさんからこんなメッセージが……まさか監視されてるのか?」

 目を閉じてオーラ感知に意識を向ける。うん、物陰から周りの人より強いオーラを感じる。しかもこっち見てるな……アイツか




「む?あれは……」

 ギルマスのチェルシーさんから送られた情報にあった白ローブが現れたので、ファステリアスに現れたと情報を送る


『チェルシーさん、ファステリアスに例の人物が現れました』


『それなら、一応追跡してくれる?バレたら報告してくれれば良いから』


『了解しました』

 一応自分も隠密には自信があるのでバレる気はしないが……物陰から追跡だ


「おっと、路地に行かれるのはまずい」

 見失ってしまうし、路地まで追跡するとバレやすい


「君はチェルシーさんの回し者かな?」

「はっ!?ま、待ってくれ!敵対するつもりは無い。確かにそうだが、君に危害や迷惑を掛けるつもりは無いんだ」

 どういう事だ!?確実に路地に向かっている彼を追っていたハズなのに……いや、今まさに白ローブの彼が前を歩いているのに、何故背後を取られている!?


「全く、情報を得る為にこんな事してるのかあの人……えげつないなぁ?」

 後ろから呑気な声が聞こえてくるが、目の前を歩く白ローブが霧のように消えてしまった事に絶句するしかなかった。追っていたハズのプレイヤーは目の前で消えるし、知らぬ間に背後を取られている事で軽くパニックだ。だけどとりあえず報告だけはしよう


『見つかりました』


『え?もう?』

 多分自分に対してでも、彼に対してでもあるんだろう。チラリと後ろを見ると風景に溶け込んでいるが、少し動くと景色がそのまま動いている。透明とは少し違う……だが、動かなければ分からない迷彩のような物か?


「すまない。君の事を邪魔したい訳では無いんだ」

「まぁ僕の方にもチェルシーさんからメッセージが来てたんで、ただ試されていただけなんでしょうけど……まぁ邪魔されると面倒なんでついて来ないって約束してくれればそれで」

「あぁ、約束しよう。どうせ君が行った後に追いかけようとしても……判るんだろう?」

 今は街中だから攻撃こそされていないが、外であればボコボコにされても文句は言えない


「えぇ、まぁ判りますね」

 この余裕だ。これ以上の追跡は不可能だろう


「まぁ僕もゲームを楽しんでるだけですし、邪魔さえしないでくれればそれで良いんで。それじゃ」

 背後の気配が無くなるまで後ろを振り返る事は出来なかった


『チェルシーさん……あの人はヤバいです。あの人の情報を集めようとしたら多分殺されます』


『とりあえずちょっとした情報を流しただけなのに、この速度で君みたいな隠密得意な人でも即座に見つかるかぁ……索敵能力高いなぁ?』


『情報流したから警戒したとしてもあの速度で見つかるとは思っていませんでした。あと後ろから追っていたハズなのに姿が消えて背後に迷彩のような状態になった彼が現れて……彼にもし、攻撃の意志があれば気が付く前にキルされていてもおかしくありませんでした』

 隠密して情報収集するのはそれなりに自信があったのに、そんな自信を粉々に壊された。アレは隠れるとか段ボール被れば見逃してくれるとかそんなチャチな物じゃない。もっと恐ろしい物の片鱗を味わった気分だ


『一応追ってみてくれない?』


『死ねって言ってます?というかもう姿が見えないんで追えませんよ』


『そっかぁ、ダメかぁ……とても心がザワザワしてきた。私も今からファステリアスに行こうかな』


『多分ですが、自分が見つかってから後ろの方に行ったと思うので、北方面には行っていないと思います。警戒されてフェイントを掛けられていたら分かりませんが……』

 あの状態で一旦後ろに移動してから回り込んで前の方に逃げられたら本気で追跡なんて不可能だ


『流石にそこまで面倒な事はしないと思うから普通に南方面に行ったと思うけど、行くだけ行ってみるね』


『分かりました。彼を追うなら本当にお気を付けて』


『一応彼とフレンドのハズなんだけどね?情報の売買が彼出来ないから形だけなんだけどさ』


『あの人が次のイベントで仲間なら心強いですけど、敵だと超怖いんですが?』


『あぁ……私魔王軍に所属するから頑張ってね!』


『嘘だァ!』




 そんなメッセージのやり取りをしている間にもさっさと南東のダンジョンに向かって進むハチ

「さてと、鶏を倒して鶏肉を入手して夜まで待機かなぁ」


 焚き火で鶏肉ステーキとか結構良さそう。夜が楽しみだなぁ



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― 新着の感想 ―
先は長いですが、いつかチェルシーさんのフレンド解除エピソードが発生しているのかな? ハチ君の他のフレンドと比較すれば、私利私欲が目に余りますし。
[一言] 魔王軍 頂点「魔王ハチ君」情報を得ようと近づくと触手に絡めてとられて18禁になりモザイクが掛けられる仕様変更 男女平等なので腐女子が沸き 男は狂喜乱舞 打倒魔王軍の人間達は装備を剥かれ触手地…
[一言] そんなことするからハチくんに逃げられていつまでも情報売買できないんやぞ 本人には悪気ない分気づかなそうだから指摘されるまですれ違いは続きそうだなぁ
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