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バウムクーヘン

「確かに平和は一番ですが、何故更に強くなる必要があるのですか?」

「これから僕はどう足掻いても不利な戦いをするって決まってるんだよ。それこそ比率で言えば1対10くらいかな?だから勝てる様に強くなりたいんだ」

 比率に関しては適当だけど多分そのくらいになるだろうかなと予想で言ってみた


「1対10……そのくらいなら勝てそうだと思いますが」

「相手は僕と同じ旅人だから負けたくないんだよね。死ぬ事は無いと思うけど、相手の人数が多くて勝てなかったって言い訳したくないし」

 人数差を埋める為の魔王軍サイドは魔物との共闘だろうから人数を言い訳に負けたとは言いたくない。その為にレベルアップをしたいんだけどね


「流石に師匠程の強さを持っている旅人がそんなに沢山居るとは思えませんが、それでも相応の方が10人も居れば確かに万が一があるかもしれませんね……うむむ、良い所はちょっと思いつかないですね」

「いやいや、こっちこそ無理言っちゃってゴメンね。せっかくだし何か手伝っていくよ」

 レベルは上げたいけど礼儀とか恩よりは優先度は下だ。ここでは第二の職と成長上限を解放してくれた恩があるし、また掃除とかやろう。どうせまたモニクだけじゃ間に合わないだろうしな


「マジですか!やった!」

「どうせたまに掃除をサボってるんだろう!」

「うぐっ……」

 分かりやすいなぁ


「ほれほれ、箒を持てぇい。掃除だ掃除」

「ちょっ、今草むしりが終わった所で……」

「頑張って終わらせたら何かおやつ作ってあげるから」

「さぁ!掃除しますよ師匠!」

 やはりご褒美をチラつかせれば簡単に釣れる。チョロい




「あら、ハチさんお久しぶりですね」

「お久しぶり…ですね。何か…あったんですか?」

「ミリアさんとメリアさんもお久しぶりですね。ちょっと強くなるヒントが無いかなと思って戻ってきたのと、あとは来たついでに掃除しようかなって。ほらほら!その角を丸く掃いたらやり直しだぞー」

「ひえぇ~」

 モニク側が掃き残しの無いように注意しながら掃除を進めていく。サボってる訳じゃ無いけどちょっと惜しいって感じだからもう少し頑張って欲しい。それが出来れば更に優秀になると思う


「頑張れー、叛逆の悪魔になるんだろう?」

「うぐぐ……そうです!ここで踏ん張れば叛逆の悪魔にまた一歩近付くんです!」

「良いぞぉ、その調子で掃除出来れば美味しいの作ってあげるから」

「うぉぉぉやるぞぉ!」

「頑張ってるからそろそろ作ってくるよ。時間が掛かるから後は任せるよ?」

「はい!」

 やる気を出してくれているので今から調理を始めよう。あれは時間が掛かるし




「さて、それじゃあバウムクーヘンを作るか」

 お手製のホットケーキミックス(小麦粉+砂糖+ほんのちょっとの塩)と牛乳、卵、バターを混ぜる


「えっと何処かに……おっ居た居た。アルミホイル無いから代わりに使わせてもらうよ」

 少し細めの棒とそこらへんに居た蛇を倒して皮を貰い、その皮を井戸の水でしっかり洗ってから棒に巻きつける。これでアルミホイルの代わりになってくれるかな?


「これで後は育成するだけ」

 その上からバウムクーヘンの生地を掛ける。石火の手袋で火を付けた焚き火でじっくりと生地を焼き、焼き上がったらその上からまた生地を掛けてを繰り返しどんどん太くしていく。どんどん大きくなっていくから育成している気分だ


「この美味しそうな匂いは何ですか!?」

「うおっビックリした。掃除は……終わってるっぽいかな?」

 バウムクーヘンを育成している間に教会の扉がバーンって開いたのでビクッとしてしまった。【察気術】はパッシブだけど何か作業に意識を集中していれば結構感じ取るのが遅れてしまう。これはイベントの時でも覚えておかないと……何か慎重な作業をやらないといけない時とかそこに意識集中していた場合に不意打ちを喰らう可能性も無きにしも非ずかもしれない。モニクが匂いを察知して飛んで来たお陰でその辺に気が付く事が出来た。なんだ……案外役に立つじゃないか


「もう少しで出来るからもうちょい待ってて」

「早く食べたいです!」

 急かすな急かすな、焦げちゃう


「はい、これで完成。今切り分けるからちょっと待ってて」

「はっはっはっは……」

 犬かな?


「ほい、どうぞ。頑張ったからそれ全部あげるよ。作ろうと思えばいつでも作れるからね」

「おほ~!いただきまふはふはふ!」

 言い終わる前に食べ始めてる。お腹空いてたのかなぁ?


「それ、何?」

「えっと……イアちゃんか。これはバウムクーヘンっていうお菓子だよ」

「食べたい」

「だってさ先輩?」

 ドリアードがそういう能力を持っているのか分からないけど、オーラの反応的に地面から現れた。イアちゃんがバウムクーヘンを欲しがっていた。まだ残っていたのでモニクに聞いてみると……


「これは私が頑張った報酬で頂いた物ですが……まぁ先輩ですから?後輩が困っているなら手を差し伸べるのも、先輩!としての役目でしょう!」

 残っていたバウムクーヘンをイアちゃんに渡すモニク。チョロすぎでは?


「せんぱい、好き」

「全く、しょうがない後輩ですねぇ」

 我慢しているというよりは、後輩から好かれている事で幸せそうだから良かった



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― 新着の感想 ―
[一言] モニクが純粋すぎる件。 このままモニクがハチを目標に成長して強くなったら聖属性も闇属性も効かない隠しボスみたいになりそう。
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