稲荷寿司完成!
「ふっほ!はふはふ」
「この味病み付きになります!」
「何という素晴らしい美味さ!」
「うめー!うめー!」
口々に美味い、美味しいと油揚げを喜ぶ人達。作った先から無くなっていくからこのままだと稲荷寿司の分が無くなっちゃうよ……
「とりあえず一旦食べるのストップ!」
「「「「「あぁ……」」」」」
出来たての油揚げを入れた器を高く持ち上げて食べられない様にする。皆手を伸ばしてくるけど僕が作りたいのは稲荷寿司だし、これは残しておかないと作れない。足りない食材も多分この国にあるだろうしささっと作るか
「はい、それじゃあこれから稲荷寿司を作るからそれの協力をしてくれるかな?油揚げを食べつくされちゃうと作れないよ……」
「お前達、食べるのをやめよ!これ以上勝手に食べるのは許さぬぞ!」
一番むしゃむしゃ食べてたのはウカタマなんだよなぁ……
「とりあえずこっちはこっちで油揚げの加工で時間が掛かるから酢飯を作ってくれないかな?」
「よし!酢飯を作るのだ!」
指示だけは立派だなぁ?
「「「「「分かりました、作ってきます」」」」」
さっきにがりを作っていた人達が酢飯作りをやってくれるみたいだけど……ちょっと待って?
「流石にそんな大勢で酢飯を作られても油揚げの数も作り切る気力も足りないよ」
5人掛かりで酢飯を作るとか、ここのノリだと何升分の米を作ってこられるか分からないからこっちから先に牽制しておかないと安心出来ない
「とりあえずここに居る皆で食べるとしても作り方を見て覚えて欲しいのもあるし、まだ実験段階だから大量に作りたくは無いんだよ……皆にマズい料理を食べさせたくないからね」
試作段階の物を大量生産させられるのはしんどい。失敗した時が非常に気まずくなるからだ。はやる気持ちも分かるけどまずは少ない量で実験させてほしい。プレッシャーが半端ない
「そうだな……流石に一気にやり過ぎだったかもしれんな」
「こっちも美味しい物を食べさせたいから焦らないで、オッケー?」
「オッケー!」
ウカタマが返事してくれたけど……何だかソファに座ってたら銃で撃たれそうな返事だ。筋肉モリモリマッチョマンの変態が……おっと、話が逸れた
「よし、それじゃあ一旦油揚げを麺棒で潰して……」
出来上がった油揚げを麺棒で転がして潰す。こうする事で油揚げの内部が袋状になるから半分に切れば酢飯を入れる事が出来る。調べたら地域によっては稲荷寿司は狐の形を模した三角形と豊穣の米俵を模した長方形の2パターンがあるみたいだから一応両方作るようにはしよう。どっちが食べやすいとか人によって違うかもしれないから両方作っても問題は無いハズだ。一応ヨウちゃんに触れ合う事を考えて油揚げについて調べていたけど、元々は豆腐の油揚げでは無く、ネズミを油で揚げた油揚げが本来の狐の好みの油揚げだという話らしいけど……豆腐の油揚げで喜んでくれて良かった。これでネズミの素揚げとかをバリバリ食べる飯綱さんとか見ちゃったらとんでもないショックを受けていたかもしれない。まぁその話は置いておいて、稲荷寿司の調理の続きだ
「これを油抜きをして、味が染み込む様にしないとね」
沸騰したお湯で5分程油揚げを茹でる。これで油を抜いて、茹でたお湯もしっかり絞る事で味付けをするときにしっかりと油揚げに味が染み込む様になる
「海に行った時についでに昆布っぽい物取って来たし、これでダシを取ってみるか」
海水を取りに行った時についでに取ってきたケルコンブという物が昆布にしか見えなかったからコレから昆布ダシを取れればラッキーなくらいで茹でてもらう。その間に調味料とか用意して……あぁそうだ。米があるなら米酒とかあるんじゃないかな?
「おぉ、結構スッキリした良い味、あとはお酒あるなら分けてもらえる?味付けに使いたいんだけど」
「こちらに」
サッと横からスライドするようにお酒を手渡してくれる名前も分からない人。でも、はよはよ何か作ってくれと目が物語っている。これを使ってササっと稲荷寿司用の煮汁を作ろう
「ありがとう。それじゃあこれを使って……」
酒とみりんと醤油と砂糖、そしてケルコンブ出汁を使った煮汁にさっき水気を絞った油揚げを投入!これで落とし蓋をして味が染み込むのを待つ。10分くらいかな?途中で醤油を足したりしながら味を調えてそして火から放して自然に味が染み込むのを待つ
「酢飯お持ちしました!」
「丁度良いタイミング。それじゃあ作るよ」
冷めて味が染み込んだ油揚げと酢飯。この2つが組み合わさって遂に稲荷寿司が完成する
「「「「「ごくっ……」」」」」
油揚げで酢飯を包み、皿に乗せていくが、人数分が出来るまでは誰にも手は出させない。途中味見はしたけど美味しかったから失敗はしてないはずだ
『稲荷寿司 豊穣の神がとても好んでいる食べ物。味わい深い寿司の1品。携帯食としてもある程度持つ 空腹度20%回復 DEF+15%』
説明文から滲み出るウカタマの好物です感。しょうがないから最初はウカタマに食べさせてやるか




