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戦いを通して

「うん、動きをコントロール出来れば格段に戦いやすくなる!」

 先に進まれない様に阻むことに固執しているのか、連携した攻撃をしている最中でも、僕が先に進もうとしたらその連携を崩してでも進行の妨害をしてくる。だからその2体を置いて先に進もうとするフェイントを入れる事で連携が悪くなり、僕に2体を攻撃するチャンスが度々回ってくる。なるほど、これならあのコンビネーションを攻略できる


「良くも悪くも忠実って事ね」

 侵入者を倒すというか、侵入を妨害する事に非常に重きを置いている。だから、1体が僕を足止めして、もう1体が武器を取りに行く戦法が採れていない。あの2体は常に付かず離れずの距離でに連携し、先に進ませないという条件でしか動いていない感じだ。隙を突けば……


「2本目いただき!」

 2本目の槍を奪い取り、洞窟の外に向けて投げ捨てる。これで素手対素手に持ち込めた


「うん、やっぱりこっちの方が良いよ」

 槍が無くなったから、白と黒の2体もパンチを叩き込もうとしてくるようになった。僕とほぼ同条件で勝負出来るってなんて素晴らしい! そのうち、槍でも降るかもな


「武器が無いと戦いやすいねぇ!」

 真っ直ぐ打ち出されたパンチを流して肘に掌底。膝蹴りは刺突触手で突き刺し、カウンター。奥に進もうとするフェイントを入れる事で体勢を僅かに崩し、追撃に次ぐ追撃を畳みかける。痛みで動きが鈍くなるのか分からないから、関節に猛攻を叩き込み、腕や足の機能不全を狙う。自動回復はあるけど、流石に関節への攻撃を修復するのは時間が掛かるようだ。腕1本、足1本の動きが鈍ればこっちは更に攻勢に出れる。バフやデバフ効果でこっちの有利度合いはかなりの物。スローモーションが切れるほどゆっくりになったし、ガンガンいこうぜ!




「そりゃ!」

「グッ……」

 槍が無くなってからこっちのペースに持ち込む事が出来た。関節を集中的に攻撃しつつ、頭部に蹴りからの正中線を狙った連携を叩き込む事でじわじわとHPを削っていた。攻撃を続けていると、遂に決定的な一撃が入った


「これは……おっと」

 黒い方の頭部に蹴りを入れ、鳩尾に触手を纏わせた貫き手を放つと丸い物の感触が有った。とりあえず、そのまま触手でその丸い物を抜き取る。すると、横から白い奴が弾丸の様な膝蹴りをしてくるので、何とかスウェーで躱す。ヒヤヒヤしたなあ


「傷、塞がって無いね?これが自動回復に必要なんだ?」

 緑色の水晶の様な物。これが自動回復に必要な物なんだろう。黒い方の鳩尾に開いた穴が塞がらない所を見るに、これを失うと自動回復が出来ないんだろう。自動回復が厄介要素の1つだったから、アドバンテージはかなりデカい。白君?君の自動回復の水晶も奪っちゃうよ?


「あれ?どうして距離を取るのかな?」

 黒い方が水晶を抜かれて距離を取るのは分かるが、白い方も距離を取る。これは怯えているのか?


「さてと、もう一つだね」

 やっぱり、自動回復を失うのは怖いのだろう。白い方が先程よりも防御的な動きにシフトしたと思う。だが、残念だな……


「多分、君達の行動は制限されているんじゃ無いかな?」

 僕が洞窟の奥に行こうとしたら、2体とも僕を妨害する為に逃げたくても立ち塞がねばならないようだ。なので、


「悪いね」

 黒い方は鳩尾に穴が開いているのは分かっていたが、動きがとても鈍って回避が楽だ。速くなった白い方も僕の頭を狙ったパンチを仕掛けるが、スローモーションになった視界の中でパンチの腕を下から掴み、サマーソルトキックを噛ます。顔面にキックを入れ空中で反転している最中に、触手を纏わせた貫き手で白い奴の鳩尾を突けば……


「いただき!」

 黒いのと同じ場所にあった緑色の水晶を触手で抜き取る事が出来た。自動回復を2体とも奪う事に成功したはずだ。傷をワザと塞がないっていうのは侵入を阻止する側としてはおかしいだろう。幻影かもしれないから、油断は厳禁だが




「やっぱり自動回復が強かったか……」

 自動回復を奪ってからは更に関節を破壊していった。しばらく叩き込めば、もはや動けないと言ってもいいレベルまでボロボロになった。2体は地面に這い蹲っている。パワーアップが無くてよかった


「ここで完全に倒すべきだろうけど……君達とはまた戦いたいな」

 自動回復持ちのこの2体のパターンが違っていたら、勝てなかったかもしれない。槍を取りに行っていたり、洞窟の奥に進んだ所を後ろから追撃する形にされたりしたら、対処がさっきよりも難しかっただろう。運の巡りが悪ければ、負けていたのはこっちの方だ


「おい!大丈夫か……なっ!?なんだこいつらは!?」

「あ、飯綱さん?お疲れ様です。貰った丸薬のお陰で何とか勝てたって感じです。多分親衛隊みたいな強い奴?だと思うんですけど、この2体以外この空間に居なかったんですよね……多分この先に親玉が居ると思うんですけど……」

「こいつらはどうするんだ?疲れているなら私が殺すが?」

 多分、親切心で飯綱さんが這い蹲った白と黒の奴に向けて魔札を展開しようとする


「あ、待って下さい。この2体に関しては僕がちゃんと対処しますから、この奥に居るだろう親玉をお願いします」

「そ、そうか……無理はするなよ?」

【アビスフォーム】のまま話しているからか、若干緊張している気がする。とりあえず、飯綱さんには先に進んでもらうよう指示して、今はこの2体をどうにかしよう。このまま死なせるには惜しい



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― 新着の感想 ―
[一言] 強者の余裕、そして勝者の権限ですか。 取り込むもよし、事故強化のために再戦もよし。 良いですね!
[一言] これは魔王軍の蜘蛛怪人の手下、白黒蟲怪人の誕生ルートか?
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