インファイトする為
「ここからが本番だ!」
白と黒の親衛隊っぽい2匹は【決闘領域】の範囲内に入っている。両手足だけじゃない。今の僕には更に追加で4本の触手がある。2対1なんていつもやってきたし、なんならこれが普通だろう。タイマンさせてくれるのは基本的にボスくらいだけだったのが今回は2対1なだけだ。捌きに使える手が6本もあればもっと沢山の敵が相手だって戦える。その自信もある。たった2体に集中するだけで良い
「「……」」
何も言わずに槍を構えて攻撃してくる2体の武人。僕の命を奪おうとするその一撃。しっかり目で見て、オーラで感じて、頭で考えて、どう攻撃してくるのか、次にどう動いて来るのかを予測する。「ここからが本番だ!」って言ったけど、頭は冷静にしなければならない。カッとなったらミスをする
「っ……ふっ……いやキッツい!」
ギザギザの刃を避けて、柄の部分を掴んで【ディザーム】をしようとしたらそれはキッチリ避けてくる。やっぱり武器を取られると不利になると理解しているからか、それだけは避けようとする。戦い方が上手いというか有利な状態を手放さない立ち回りをしている。本当にこっちからの攻め手に欠ける
「そうか、長期戦はキツイって思ってたけど、別に攻撃しなかったら条件は不利にはならないし、あれのお陰で一応有利になるか」
【霊の恩返し】があるから戦闘時間が伸びている場合は相手にデバフが掛かる。自動回復があろうと攻撃していなければ回復するHPも無い。そして2体【決闘領域】に入っているから僕にバフ、敵にデバフが入っている。それに顔に蹴りを一撃入れさえすればあの堅い装甲を無視出来る攻撃に、ボスさえ一撃で屠った(ギミックにより弱体化していたと思われるけど)【深淵の一撃】がある。2種の大打撃を与える攻撃手段を持っている事を忘れちゃいけない
「今回は足技主体で行こうかな?」
狙えればラッキーだが、頭に一撃蹴りを与える事を考えるとやっぱり足技は必要だろう。ならアレかな?
「「……?」」
急に僕が動きを変えたからか、ピタッとこちらに近寄る事を止めた2体。背筋は伸ばしつつも、腰と股関節を使って低く、左右にステップし始めた事で動きを窺っている。カポエイラのステップの基本、ジンガ。途中で腕の動きや、触手を動かす事でタイミングを掴む事が難しいだろうな?僕自身でも触手の動きが組み合わされたジンガとか距離詰めれる気がしない。これ逆効果だったかな?
「「……」」
でも、僕がステップを踏むだけで特に攻撃してくる感じが無かったからか、槍で攻撃してくる
「よっと」
槍での突き攻撃をアウー(側転)で躱す。体操とかの側転と違い、ずっと横向きのままで敵を見ながらの側転だ。攻撃してくるようなら蹴りで対処するぞ?
「……」
「よいしょ!」
アウーが終わった所で足を狙った攻撃が飛んで来たのでそのまま流れでパウメイラ(逆立ちキック)で頭を狙う。槍が空振ったところに僕の蹴りが頭に入る……という直前でもう一体が庇い槍で僕の蹴りが相方の頭に当たらないように防いできた。連携が本当に上手いな……
「じゃ、これはどうかな?」
今度は逆方向にアウーすると先程の動きを見たからか、地面に着いている腕を狙った鋭い突き。だけど今回はちょっと違う。スッと腕を地面から離し、スカった槍を掴む。今回は触手を地面に刺しているから手が地面から離れていても問題無い。アウーからの派生と言うべきかアウー中に相手の頭を狙う蹴り。アウーバテンド。流石にこれはカバー出来なかったみたいだ。白の持っていたギザギザの刃が付いた槍を【ディザーム】で奪う事に成功した。これで一体は槍無しだ
「うわぁ、よく見たらこれ蠢いてる……」
槍をよく見たら何か蠢いている。この槍生きてる?
「生きてるって言うよりも魔槍かなこれ」
2つ合わさってレーザーを発射したりするあたり魔槍って言ってもなんら問題無いのかもしれない
「でも、これを守りながら戦うのは無理だな……捨てるか」
魔槍を破壊するのは流石に難しいと思うし、多分あの2体に使ったとしても僕じゃ大したダメージならないだろうから洞窟の外に捨てた方が良いだろう。多分だけど、この2体は洞窟から出ないと仮定した行動だ。この2体の連携攻撃とか確かにヤバいけど、ちょっとした違和感があった
「そりゃ!……やっぱり追わないな?」
一度バックステップで距離を取ってから洞窟の外に向かって槍を投げてみたが、白い方は追いかけていない。でも僕が先に進もうとしたらしっかり白いのも黒いのも進むのを阻んでくる。やっぱりそうだ。武器よりも優先するのはこの先に進まれないようにするという命令か? なら武器を取りに行こうとしたりあの先に進もうとしたらこの2体の動きを抑制ないしはコントロール出来るかも?
「試す価値はあるな? これが上手くいったらインファイトに持ち込めるぞ」
槍は近接武器と言っても相手と距離を置いて攻撃できる武装だ。それをなんとか排除することができれば触手も交えての本格的近接戦闘ができる!




