反撃の時
「お前達覚悟は良いか!」
「「「「応!」」」」「「「はい!」」」
御稲の国の精鋭達。そしてその精鋭達を束ねる飯綱。幸いにもまだこの国が敵に侵略されてから時間がそこまで経過していないのでまだ、南と西の2方向で済んでいる。稲の事を考えると攻撃手段がどうしても縛られてしまい、対抗手段が肉体強化での近接戦闘がほとんどになっていた。だが、遠距離での対抗手段を協力者によって見つける事が出来たので、これで反撃に転じる事が出来る
「協力者が既に敵陣で混乱を起こす為に活動している。その混乱に乗じて敵を倒し、我等の土地を取り返すぞ!」
「「「「応!」」」」「「「はい!」」」
そう、協力者は既に敵陣に潜り込んで戦っている。御稲の国の民では無いのにも関わらずだ。一番危険な役回りをしている。だが、隠れる能力に関してはこの国でもあの人以上の適任者が居ないので一番適切な役割と言えばそうなのかもしれない
「協力者の退路を断たせぬ為にも反撃を開始する!」
ハチからは遅れたが、夜明けと同時に飯綱が率いる精鋭達が御稲の国から出発した
「敵が出てきました!」
「落ち着け!吹雪隊と熱湯隊!準備!……放て!」
飯綱が指示を出し、その指示に従った精鋭達が魔札を使い、吹雪と熱湯を向かってくる虫に向かって放つ
「「「「「「グギャァァァ……」」」」」」
吹雪で凍り付く虫、熱湯で死亡する虫と効果抜群。凍り付いた虫は簡単に粉砕出来るのでどんどん処理して行ける
「倒すのに苦労していたのが嘘みたいですね……」
あっさりと倒せる虫達に驚く皆。こんなに効率よく倒せるのに、お互いの邪魔にならない様にと、離れて別々に魔法を使っていたから複合魔法も使っていなかったし、頭を潰せば死ぬというある種ほぼ全ての生命に効く攻撃を身体能力を上げて破壊するという手法で戦っていたので効率が段違いだ。これを最初に知っていれば侵略なんてされる事すら無かったのかもしれない
「殲滅するぞ!」
前線の尖兵だが、纏まりが無い。とりあえず敵と見なした我々の方に向かってくるだけだ。戦略の欠片も感じられない。赤い体色の指揮官らしい虫も居ないし、こいつらの掃討なら簡単だ。指揮官が居ないとここまで楽になるのか……
「次!」
「ギャァア!」
「次!」
「ギョエェア!」
「次!」
「グギャァ!」
ドンドン虫を片付けていくが、未だに姿が見えない協力者。大丈夫だろうか?
土地をどんどん取り返しているが、指揮官らしい奴が見当たらない。それどころか、所々で白い霧が発生しているが、その霧の中は不思議と見通す事が出来る。が、その霧の中の虫達はキョロキョロしていてこちらを発見出来ない様だ。この霧もまさかあの人が?
「この霧は我々に有利に働いている!更に押せ!」
チャンスである事には変わりない。霧に乗じて更に殲滅を進めていく
「敵指揮官発見!」
「出てきたか……ん?」
赤い体色をした指揮官と思われる虫人がこちらに向かって走ってきた。このままだと正面からやり合う事になるが……何か様子がおかしい
「グゲッ……」
「ニゲルナァ!」
赤い虫人の後ろから黒く、背中から4本の触手が生えた異形。その異形が背中の触手を虫人の背中から装甲の隙間を縫う様に突き刺し、黄色の棒状の物を虫人の体内から引き抜くと赤い虫人は塵となって消えた
「なっ!?総員警戒!」
まさかこんな危険な存在が侵略者の中に居たなんて……こんな奴が居たらあの人が危険だ
「あっ、飯綱さん?情報役に立ちましたか?」
「え?その声は……」
「一応指揮官っぽい奴は結構倒せましたよ。難しいけど装甲の隙間から刺し込むと弱点に直接攻撃が出来るので指揮官も一発で倒せるのでかなり楽出来ましたね。飯綱さん達がやってくれると思って僕も頑張れましたよ!」
急にフランクな話し方をされて戸惑ってしまうが、この声には聞き覚えがある。そう、この声は……
「シスター様?」
「この姿でもシスター様呼びかぁ……まぁ飯綱さんがそれで良いなら良いんだけどさ?」
若干不服という感じだが、絶対に直せと言う程気にしているという感じでも無い。でもこの感じ、間違いなく彼だ
「とりあえずもう少し頑張ってきますね。あ、そうだ!取った魔石置いて行くんで使うならどうぞ。また荒らしてくるので僕はこれで!」
大量の魔石をゴロゴロと地面に置いて行き、敵陣の方へ走って行ってしまった。魔石は魔札と合わせる事で火力を上げる事が出来るのでとてもありがたい。より殲滅スピードも上がるだろう……だが、あの戦い方と姿……正直かなり怖かった。あの声を聞かなければそれこそ死ぬその瞬間まで体が硬直していたかもしれない
「これを持って行ってください!」
ショックで忘れそうになったが、彼に渡さなければならない物があった。これを渡さなければ
「あ、ありがとうございます。それじゃ改めて行ってきます!」
そう言って彼は走り去ってしまった
「飯綱様!ご無事で!?」
「先程のはいったい……」
「何でもない、さっきのは我等の味方だ。彼が我等の為に虫の弱点の情報や先に指揮官を排除していた方だ。魔石を置いて行ってくれたから魔力が足りない者が居たら使え!」
「これ、かなり高品質ですよ!?」
「ここで使わずに負けたらそれこそ意味が無い!全力で叩く為にも遠慮はするな!」
「「「「応!」」」」「「「はい!」」」
彼が持ってきてくれた更なる攻勢の一手。これも使って虫を撃滅する!




