洞窟の中へ
「どうしよう、松明とか無いよ?」
洞窟探検をするならば松明とか必要だと思うんだけど……とりあえず入り口の近くだけ見てみよう
「おぉ!綺麗……これなら松明とか要らないかも!」
洞窟に入ってみると思っていた景色とは違う光景が広がっていた
洞窟内部の至る所にキラキラと光る鉱石のお陰で薄明るく照らされており、松明が無くても洞窟内を歩く事が出来そうだ
「綺麗だけど……この鉱石を取るなら鶴嘴とか無いとダメだよね?まぁ取れないものは取れないし、とりあえず進んでいくかぁ」
キラキラ光る鉱石のお陰で何の問題も無く進む事が出来た
「あぁでもここだとギリーマントが効果を発揮出来ないや。とりあえずは【擬態】だけが頼りかな?」
ギリーマントが効果を発揮出来るのは草木のある場所。洞窟じゃ効果を発揮しないから今回ギリーマントはお休みだ。魔物と遭遇した場合【擬態】が頼りだ
「今の所魔物はまだ出てこないなぁ?」
洞窟を進んでいるけど魔物は今の所出てこない。何だか怖いな?
「おっ?宝箱?」
洞窟を進んでいくと道の途中で宝箱が鎮座していた。道の真ん中に宝箱って……
「これは怪し過ぎるでしょう?流石に開けないよ」
宝箱に扮した魔物の可能性だってある。昔のゲームだとこういう敵がめっちゃ早くて、即死呪文を掛けてきてパーティ全滅……なんて事もあったしなぁ……
宝箱をスルーして更に洞窟の奥へ進んでいく。この先に何があるかな?
洞窟を進んでいくと周りにあった鉱石が青白い水晶の様な物に変わってきた。洞窟だけど綺麗な景色だ
「おっ!地底湖だ!」
蒼白い水晶をよそに進んでいくと道が広がり地底湖に辿り着いた。天井に所々蒼白い水晶があるお陰で洞窟の中なのにまるで星空の様だ
その景色を見ながらポケーっとしてたら急に声を掛けられた
「何者だ?」
ザバァっと地底湖から何か出てきた。結構大きいな……
「僕……ですよね?」
「そうだ、お前以外に誰が居る?」
「そうですね、僕以外誰も居ないです。僕はハチって言います。旅人です」
「ほう?旅人か?」
湖面から出てきたのは白くて大きな蛇だ。もしかしてスプリングボアを倒していたせいで恨まれて……とかはやめてよ?
「ひょっとして、お名前とか……お持ちですか?」
名前持ちはそんなに居ないらしいし一応聞いてみる
「ほう?名持ちかどうかを訊ねるか……良かろう。我はヴァイアだ」
ヴァイアさん……いや、アトラさんみたいにフレンドリーに言って良いか分からないから様で行こう
「えっと、じゃあヴァイア様?この洞窟ってここが終点なんでしょうか?」
「様……い、いや?ここが終点では無いぞ?」
なんだ?なんか嬉しそうだぞ?
「偉大なるヴァイア様、どこに進めば良いのでしょうか?僕に教えてくださいませんか?」
「むふっ!むふふっ!ハチと言ったな?お主中々見所があるな!良かろう!この水の中に先に進む道があるぞ?」
「水の中……ですか」
水中生物じゃ無いし、水の中を進むのって凄く大変そうだな……溺れるのは勘弁して欲しい
「おっと、そうだったな?人間ではここを抜けるまで息が持たんな。ではこれをやろう」
『スキル 【水中呼吸】を習得』
『【水中呼吸】 パッシブスキル 水の中で呼吸が出来る』
単純だけど水中で呼吸出来る様になるのはデカい。困った時に陸から逃げる選択肢があるのは凄いアドバンテージだ
「ありがとうございます!流石ヴァイア様!」
「むふふふっ!我は気分が良い!特別に奥まで連れて行ってやろう!」
湖面から尻尾が出てきて僕の体に巻き付き、そのままヴァイア様の背に乗せられる。なんだろう?前にもこんな事あったなぁ?
「しっかり掴まるのだぞ?」
「はーい」
今回は水中なので本当にしっかりくっ付かないと抵抗で流されてしまうかもしれない。そうだ!
「リブラ!えーっと力と賢さ!」
初めてなのでかっこ悪い言い方になってしまったが、STRを50%上昇、INTを50%下降させて、ヴァイア様にしがみ付く力を強くする。この先で何があるか分からないし、DEXとかAGIとかを下げるのは良くないと思ったのでINTを下げた。INTを下げたと言っても馬鹿になる訳じゃ無いし、多分一番ステータスの中でも下げて大丈夫そうだと思ったからだ
「ほう?面白い魔法を使う……まぁその程度の力なら痛みを感じる事は無いから全力で捕まると良い」
「はい!やっぱりヴァイア様はお強いんですね!」
「むふふふふっ!では行くぞ!」
褒めれば嬉しそうに笑顔になる白い大きな蛇を見て現実じゃあり得ないと思いながらも嬉しそうな顔を見たらヨイショするのも結構楽しくなってきた
ヴァイア様の背中にしっかり張り付き、水の中を突き進む
「本当に呼吸出来る……凄い」
「そうかそうか、それは良かった。ここは人間には中々深いからな、呼吸出来ない者はこれ以上先には進めん」
でしょうね。そもそもヴァイア様に通してもらえなかったら洞窟湖綺麗だねーで終わりだっただろうし
「ほら、着いたぞ?」
「ありがとうございますヴァイア様。では行ってきます」
「むふふっ!待っておるぞ!」
何だかタクシーみたいな扱いになっている事にヴァイア様は気付いているのだろうか?
まぁヴァイア様の事は置いておいて、この洞窟の終点と思われる所。地底湖の底にある門。その前でヴァイア様に降ろしてもらえたので門の先には1人で進んでみよう。何があるかな?




