協力の約束
「お前では勝てぬ相手かもしれんぞ?」
「でも、もうお互い知らない仲でも無いし、僕もちょっと勘違いというかウカタマさんを見直した面もあるから手伝える事は手伝いたいです」
「そうは言ってもな……いや?そういえば何か漏れ出ている雰囲気を感じるな?」
ウカタマさんにはやっぱり【アビスフォーム】の力が分かるんだろうか?やっぱり抑える力を入手しないと敵対する相手によっては先に隠し玉があるってバレちゃうかもしれない
「見たいです?」
「いや、どことなく嫌な気配がする。見たら後悔する気がする!」
「しょうがないなぁ……【アビスフォーム】」
見直したと言ってもやっぱりセクハラ紛いの事を全て許せた訳じゃ無いのでこのくらいの仕返しはさせてもらおう。さっきのは飯綱さんの分で今のは僕の分だ
「うおっ!?なんちゅう禍々しい姿を……」
「アァァ……」
とりあえず、片手と触手をウカタマさんの方に伸ばし、ちょっとしたデモンストレーションでもやろうか
「止めろォ!気持ち悪い!」
「流石に気持ち悪いは酷くないです?触手で毛を引き抜きますよ?」
我を忘れた暴走状態的な演出でもしようかと思ったけど流石に面と向かって気持ち悪いと直球な悪口を言われたらそれ以上続ける気分では無くなる。いつも通りの話し方に戻して触手で摘まむ様な動きで毛を毟るぞ?とアピールする
「なっ!?その姿なのに自我を保てるのか?」
「ん?まぁ、普通に保てますけど……」
特に変な事とかは無いかな?別に体に不調とかは無いし、アビス様と交信しようと思えば出来るけど……それは別に変な事じゃ無いだろうし
「ハチ、お前深淵を覗いた事が有るのか?」
「覗いた……まぁ入った事はありますね?」
あの真っ黒な空間。アビス様自体が深淵であり、その中で僕はスパルタな修行によって【察気術】も【アビスフォーム】も使える様になった。あれは覗いたと言うよりも、深淵に行った。入ったと言うべきだろう
「深淵を覗いただけで心が壊れる奴も居ると言うのに……入った?いったいどういう教育をされたらあのような場所に行こうと思うんだ……」
「普通になんだろうこの穴?と思って入っただけですね?あとあんまりアビス様の悪口を言うと僕を通してアビス様が【深淵の一撃】を喰らわせるかもしれませんよ?」
まだ喋ってはいないけどこのままの話の流れで行くとアビス様の事を馬鹿にしたウカタマさんにアビス様から拳骨が飛んでいくかもしれない。それは流石にマズいと思うのでちょっとこの辺で牽制というか話のブレーキを掛けるべきと判断した
「お、恐ろしい事を言うなよ……別に馬鹿にした訳ではありませんぞ?なはははは……」
尻尾が股の間に仕舞われてるぞ?
「【解除】っと……あ、もう多分何処からか見てるかもしれないだけなんでそんなに警戒しなくても大丈夫ですよ?僕も別にアビス様を後ろ盾に悪さしようとかする気は無いんで、この力もいざという時に使えばさっき言っていた侵略者に対してある程度戦えるかな?と思ったので見せただけですし」
「な、なんだ……全く困るなぁ?私とハチ君は既に親友と言っても良い仲じゃないか!そんな私に危害を加えようなんてする訳ないよなぁ!?」
【アビスフォーム】を解除した途端、この変わり様。なんかイジりたい気持ちとまぁ別に親友とまでは行かなくても悪感情は特に抱かなくなったし、友達位じゃないか?と思う気持ちで一旦、話を続けようという結論を頭の中でつけた
「ん-、もしかしてウカタマって攻撃する力はあんまり無い?」
「……!?い、いやぁ??」
とぼけ方が下手過ぎる。そりゃあ飯綱さんとかが苦労する訳だ
「まぁ今までの見ていた感じ守る事とか受ける事に関しては強そうだけど攻撃する力は見せてないし、人型の時だって僕に攻撃じゃ無くて篭絡?的な事をしようとしてたから単純に攻撃する力が無いか、弱いんじゃないかなって思っただけだよ」
ウカタマが攻撃する所はまだ見ていない。単純に稲神様と言われているし、攻撃とかよりは農耕とかそっち方面に強いんじゃないかなと思っただけだ
「覚か?そこまで分かってしまうのか!?」
「妖怪じゃ無いよ……単純にウカタマが分かりやすいというか、侵略者が来てるのにウカタマがここに居ても別に文句を言われないって事は戦力じゃない。もしくは守らないといけないからなんじゃ無いかなって思っただけ。大体稲神様って言われてるんだからウカタマは豊作とかそっちの方面で神様って言われてるんじゃないの?」
「なんじゃその読みィ!正解だ!」
いえーい、1ポイント
「私は豊穣を齎すくらいしか出来なくて戦闘では役に立たない。だからここに籠るか人の姿になってあの寒村擬きの入り口に来た奴が協力してくれるか見極めていた。あの場所はまだ侵略されていないからな?そうしたら門番から何か用が有りそうな怪しい奴が来たとの報告を見て行ってみればまぁ見た事無い奴が居たもんだ。大豆の事も知っていたし……どうなってんだお前は?」
「あれは別に勘であれば良いなって言っただけなんですけどね?」
「えぇ……」
僕の返答でガクッと肩を落とすウカタマであった




