いざ、東の村へ
「米!?本当に米ですか!?」
「た、多分な?何でも一般の人には売られない物らしいから俺も良く知らないんだ……お偉いさん方とか一部の人にしか流通してないみたいで……」
米ってそんな限定品なのか……そうなると入手が難しそうだな?
「情報ありがとうございます。よし、行ってみよう!」
米がある。何となくそれだけで行った事のない村だけど和風な雰囲気を感じる。衛兵さんの話だと一般には流通してないみたいだし、生産してる量が少ないのか、はたまた単純にフォーシアスに出す量が少ないだけなのか……だけど何となく思ったのは「米があるなら大豆もあるんじゃないか?」という和風繋がり路線でその考えに至った
「一応言っておくけど、門前払いされる可能性もあるからな?その辺気を付けて行けよー!」
「はーい!」
門前払いされる可能性があるとしても僕の求めている物があるかもしれないと思うとそりゃあウッキウッキしてしまう。確定である米。あるかもしれない大豆。それだけでその村に行く価値がある。もし、米を入手出来たらまずはホフマンさんに持っていこう。あぁ、でもお米が入手出来たらまずはおにぎりだな。具無しで塩握り
「門前払いされる可能性があるって言ってたけど……そんなに気難しい村なんだろうか?」
村に入れない場合はちょっと厳しい事になりそうだけど、その場合はお仕事の手伝いとかで何とかならないかな?
「おっと、敵だ……」
3匹の猿が道にたむろしていた。やっぱりもう道は安全じゃ無くなったみたいだな……
「なんか防具を装備してるな?」
3体の猿はそれぞれ鎧を纏ってた。軽装備2体に重装備1体。軽装備1体は杖持ちでもう一体の軽装備は弓持ち。重装備は剣と盾。相手がそれなりに編成されてるの中々面倒だけど……ここで戦わないとレベル上げにならないよね!
「【アビスフォーム】」
不意打ちすべきだろうけどこっちも使い込まないとまたヨウちゃんとエン君に怖がられてしまうだろうし、抑え込むというか、隠せる様にならなければ油揚げを作ったとしても避けられる可能性あるし、使っていればそういう能力が出るかもしれない
「「「ウキッ!?」」」
突如現れた黒い奴に驚き、警戒心むき出しの猿たち。さて、どうやって倒すべきか……
「ウキャァ!」「ウキェ!」「ウキキッ!」
それぞれ武器を構え、前衛後衛に別れる。さて、やってみますか!
まずは小手調べと言わんばかりに矢と泥の塊が凄いスピードで飛んで来る。土魔法って奴かな?とりあえず魔法は蹴りで対処、矢は触手で受け流して……重装備の奴はどう動いてくる?
「ウッキャ!」
「わおっ」
重装備猿が剣を振り下ろすと剣圧?のような物が飛んで来た。これひょっとして非物理型スキルじゃないか?なら【技破掌】が発動して消せる?
「おぉ!消せた!」
飛んで来る剣圧に掌底を打つと剣圧が霧散した。これはかなり良いぞ?受け流しのように後ろに反らさないで、飛ばしてくる系の攻撃を消す事が出来るのはかなり良いぞ?シスター服の防壁と合わせて更に敵の攻撃に対応出来る様になるぞ?
やっぱり手が増えると出来る事が増える。相手によってはこの姿でビビらせて精神的優位に立つ事も可能かも?今後は立ち姿とかもちょっと意識してみた方が良いかな?
「そうだそうだ。ロールプレイしなきゃ……どうせ今度イベントで切らなきゃいけなくなる手札だろうし」
噂程度だろうけど多分集団戦のイベント。それを考えるとフォームを使った時に自分の周囲にノックバックさせる波動を出したり、背後にも攻撃するのが簡単になる触手が使える【アビスフォーム】を使わざるを得ない状況で変身する所を見られていなかったら別人として誤魔化す為の練習も今の内にしておこう
「多分こう……」
前傾姿勢で両手をだらんと垂らした感じ、これで背中の触手をふわっと浮かせて……獣っぽさが出ているかな?
これで敵の重装備が近寄ってきた所を……
「ふっ!」
反転し、しゃがみ込んで敵の上段斬りが来る前に頭部に蹴りを入れる。躰道の海老蹴りを猿にあてる。体勢を戻して鎧の上から腹部に掌底を追加で打ち込む。内部に浸透する衝撃は称号の【オーガン・ブレイカー】とイドの【畏怖奪掌】の効果も合わさって重装備の意味が全くない。我ながらえげつないシナジーだと思う。重装備でカチカチにしていても頭に攻撃を喰らった時点で重装備の防御を全て無視して内臓を破壊出来るってやっぱ良いよね
「「ウキャ!?」」
瞬間的にゴキブリパワーを使ったダッシュで後衛の軽装備猿2体を抜き、背後を取る
「【触手攻撃】!」
斬撃属性を付与した触手をピンと伸ばし、回転。イメージとしてはヘリコプターだ。勿論触手の範囲内にに軽装備猿2体が居る。これで首を刎ねて……
「うおっと!?」
自分の回転で首を刎ねようとしたけど半分まで触手が刺さって回しきれなくて頭で想定していた動きと実際の動きが違ってちょっと背中が痛かった。まぁ首が半分切れれば充分致命傷だ




