ホフマンさんと
「このカードは……!?」
「これで街に入れますか?」
「え、えぇ……もちろんです!どうぞお通り下さい!」
モルガンズ・カードを衛兵に提示したら敬礼して門を通してくれた。うーん……凄い効果だ(小並感)
「本当に効果あるんだ……このカード」
正直半信半疑だったから効果があるのか試す為に使ったけど、ちょっと大げさ過ぎるな?もう少し「あっ、どうぞお通り下さい」程度で良いんだけど、衛兵さん緊張でガチガチだった。あんまり見せつけるようにするのも良くないな……
「さてと、ホフマンさんは何処かな?」
街の地図とかを確認しつつ、出来るだけ最短距離(屋根の上や物陰)を進み、大教会の前まで来た。後はホフマンさんを……あ、ベンチに座っているあのムキムキで孤独なシルエットは……
「ホフマンさん」
「よっ!タコ5匹もサンキューだぜ!」
ホフマンさんは鎧を纏っていた。これがホフマンさんの戦闘時の恰好かな?流石にコック姿で戦うのは見た目がヤバい。味方にいたらそれだけで笑っちゃいそう
「流石に僕もいつまでも海には居られないですから……」
「まぁそれは仕方が無いよなぁ……そうそう!試しに作ったこれを喰ってみてくれ!」
そう言ってホフマンさんが出したのは……
「わぁ!タコ焼きだ!」
丸くてソースとマヨネーズが掛かっているタコ焼き。鰹節とか青のりは無いけどこれは完全にタコ焼きだ
「では早速1つ……いただきます!はふっはふっ!あっふい!」
この口の中で爆発する熱さ!ソースとマヨネーズの旨味!トロトロの食感の中に潜む歯ごたえのあるタコ!これは!
「美味い!もしかしてこれにタコを使ってまた繁盛した感じですか?」
「まぁな。最初に貰った分はもう無くなっちまったから追加をどうするか迷ってたところだったんだ。足先だけでなく、足の根元部分まで使って何とかしてな……刺身でもうちょい喰いたかったぜ」
ホフマンさんの個人的ご飯としてももう少し欲しかった感じか
「とりあえず限定品にしてタコを確保する時間をこれで稼げるぜ、ありがとよ」
「これで何とか漁師と話をつける時間を作れたって言うなら良かったです」
猶予を作り出す事が出来たなら僕がホフマンさんの役に立てたという事だろう
「あぁ、そういえばここから海も見えますね?大体あの辺で素潜りしたらタコ獲れました」
「アバウトだが、あの辺なのか、それなら俺も何とか取りに行けそうだな……一度試してみるか?」
「結構息が辛いかもしれませんよ?」
割と深い所だからタコを獲るまでに息が持たない可能性もあるし、僕は触手で何とかなるけどホフマンさんとかだと体に巻き付かれて危ないんじゃないかな?
「おいおい?まさか俺が素潜りすると思ってるのか?流石に船を借りたりタコ壺を用意したりするさ」
「タコ壺!そういえばそういうのもありましたね!」
素潜り以外でもそういえばタコ壺なんて便利な物もありましたねぇ!
「おいおい、マジかよ……」
「準備無くて良いですから」
「準備無しで素潜りとはまた凄いな?」
普通は色々準備するものか。ま、僕はもうホフマンさんにタコの事は任せたから関係無いや
「色々と便利な物とかあるんで……」
「ま、色々持ってそうだしな?」
腹の探り合いって感じでは無いけどまぁ気にはなってるって所かな?
「それより、ホフマンさん。フォーシアスでもお店は開くんですか?」
「お?おぉ、そうだな。ここで色々食材が安く集められたら開くのも考えても良いかもな?」
おぉ、新しい店を開くつもりはあるんだ。凄いなぁ、一応3店舗目?
「凄いですね?ここだと魚介メインのお店かな?」
「あぁ、魚介も良いな?」
「海の中を進んで行ったらめちゃめちゃデカいイカとかも居ましたし……」
「え?クラーケンか?」
「あぁ、多分クラーケンかもしれません。名前は見てないんでそうだったかは分かりませんけど……」
あのバカデカいイカはクラーケンと分類して良いと思う。ダイビング・デッドマン号に乗ってたから回避出来たかもしれないけど普通の船だと襲われる可能性もあるな……もしかして海を進んで行くとアイツが出てきて進むのを阻むかもしれない。もしかして海ルートのボスか?
「あり得そうだな……」
「ん?何があり得そうなんだ?」
不意に呟いてしまっていたのでその後を説明する
「あぁ、いえ。もしかするとなんですけど、大体はここフォーシアスまではほとんど真っ直ぐ来れたじゃないですか?でも海でこれから先は歩いていけないから西か東に分かれて進む事になると思うんですけど……」
「確かに、海までは真っ直ぐ来る事が出来たな?」
「僕海の中に入ったんですよね。そこでクラーケンを見たんでもしかすると船で海を進むとクラーケンがボスとして出てくるんじゃないかなって」
「なるほど、クラーケンがボス……船の確保も必要だな?それに人数も要る。予想としては充分あり得るな?」
何も情報無しのホフマンさんにとってはそういう情報も使えるかな?
「あくまで僕の予想ですからね?」
「いやいや、クラーケンが海に居るって情報だけでも中々良い情報だぜ?ボスが居たとしても居なかったとしてもそのクラーケンと戦う可能性は0じゃない。戦うって事は倒せばソイツの素材が手に入る……クラーケンが美味いのか気にならないか?」
「おぉ、生粋の料理人ですね!クラーケン料理が出来た時は是非とも一番に食べてみたいです」
「そりゃもちろん。俺は食材持ち込みも待ってるぜ?」
これはもしかして食べたかったら自分で狩ってこいって言ってる? レベルが足りないから、後々ということだろうけど。




