良い所取り
とりあえずヒトデを触手で突いてみて、どんな反応をするか見てみる
「うわぁ……バッカルコーンみたい」
チョンチョンと触手でヒトデを突くと刺激を感じ取ったヒトデの周りの砂の中からかぎ爪の様な物が出てきて捕えようとしてきたので触手をすぐさま引っ込める。ヒトデがそれをやるのかと思うけどヒトデを食べようとする魚も居るんだろう。クリオネの捕食シーンとかたまーにテレビでやるけどそれに似てる
「近寄ったら反応するタイプ……と見て良いかな。流石に水の中だと魔硬貨も使えないよなぁ……」
水の抵抗を考えれば魔硬貨を弾いてもダメージを与えられないだろう。やっぱ触手でインファイトする方が良いかな
「さっきのかぎ爪……６本あったっけ？ギリギリ抑えられるかな？」
触手４本と腕２本使えば噛みつき？攻撃は防げない事は無いハズだ。でも、かぎ爪は見ただけだし、硬いのかそれとも柔らかいのか、触っても大丈夫なのか、危ないのか……海の中でああいうのは捕まえてゆっくり食べるのに毒を仕込んだり、締め上げて動けなくするとかあるだろうし、一応慎重にいこう
「まぁ毒は別に問題無いとしても仮に切れない可能性があったらちょっと辛い戦いになるかもしれないな」
【触手攻撃】の斬撃が効かない場合はプランBで行くしかないだろう。プランBが何かって？無いよ、そんな物。困ったら逃げるのが一番だ。どうせ動かないで餌を待つタイプだろうし
「やるだけやってみようか」
ヒトデに近付き、触手も前に出して臨戦態勢。来るならいつでも来い！
「いや、やっぱ喰われそうになるって怖いな？」
また出てくるかぎ爪を触手で受け止め、残り２本は受け流して捕獲されるのを回避する。ヒトデだと思った部分がぐわっと砂の中まで更に開き、ギザギザの歯が並んでいる。これで丸呑みか……怖いねぇ？
「硬いな……甲殻か？」
切断を試してみたけど弾かれた。殻の様な物で守られている感じだな？あのかぎ爪に引っ掛けられたら間違いなく喰われるけど……甲殻があって、動くって事は関節があるはずだ。その関節を破壊出来れば楽に倒せるかもしれない。隠していても隠していなくてもかぎ爪の、しかもほぼ斬撃が通らない足が６本あるのはとても厄介だ。１本ずつで良いから破壊するポイントも確認していこう
「かぎ爪って言うよりカニの足の方が近いかな？」
何となく白いかぎ爪がカニの足に見えてきた。見た目は完全にカニには程遠いけど足だけで言えば結構似てる
「中々強いな……」
水の抵抗で遠距離攻撃自体が弱くなっているのを良い事に近接戦闘をしろと言わんばかりの相手。アウトレンジで戦えると多分大した事無い相手だろうけど、インファイトするには一人だとかなり厳しい相手だ
「【解除】」
この手の相手に【アビスフォーム】だけで戦うのは若干厳しい。一旦【解除】して魔法を使用可能状態にしよう
「【イリュジオ】【インパク】」
【イリュジオ】で少し前に僕の幻影を出して、襲い掛かってきたかぎ爪をインパクで弾いていく。幻影がドンドン近付いていくからそれを食べようと大きな口を開ける。この手のは食べるその瞬間が一番油断する。幻影をデコイにして関節を破壊してやる！最後の晩餐（無味）を喰らえ！
「【アビスフォーム】」
幻影の僕を食べようとかぎ爪で捕らえて大きな口で丸呑み……その瞬間に【アビスフォーム】を発動する。【アビスフォーム】を使った瞬間に衝撃波が僕から発せられる。今回はヒトデ？に近い事もあり、衝撃波が当たり、幻影を食べようしていた時に当たって、かぎ爪が口の中に入っている。関節がもろ見えだ。あの部分を破壊してやる！
「そこだ！」
【触手攻撃】の斬撃を関節部分に叩き込む。【イリュジオ】の幻影と【アビスフォーム】の衝撃波のお陰でむき出しになった関節はいとも簡単に破壊出来た。こうなってしまえばちゃんと動かせなくなった足を完全に切り落とし、口だけになったヒトデ？に【触手攻撃】の刺突を触手４本に付与。それを連続で突き刺すと赤いポリゴンが沢山出てくる
「終わりだ！」
最後に口のど真ん中を触手４本突き刺して斬撃に切り替えて十字に切り裂く。これも単体相手なら結構使い勝手が良い。生身だと心臓抜き、【アビスフォーム】だと十字裂き……ダメだこりゃ。どうやっても正義の味方って感じでは無い。勇者軍と魔王軍？魔王軍サイドにしか居場所無いでしょこれ……というか魔王軍サイドにすら居られるか分からないぞこれ？でもこの切り替え戦闘は結構良いかも？
『スターフィッシュクラブの肝 スターフィッシュクラブの爪 海星蟹の肉 を入手しました』
ヒトデとカニのキメラかな？あんまり好き好んで戦いたい相手では無かった。もうちょい違う相手を探そう
「そういえば水圧とかどうなってるのかな？」
この前は深い所とイカを見て引き下がったけどあの下……深海に向かったら水圧とかどうなのかちょっと気になる。やっぱり水圧でペチャンコになってしまうんだろうか？
「またギリギリの所まで進んで見てみるかな？」
あの限界ギリギリの所まで進んでみよう。超巨大な生物は怖いけどあのギリギリの位置までは体も何ともなかったし、あの辺まで行ってみようかな？
