僕の海よ
「それじゃあ皆、頑張って!」
「ああ、すぐに追いついてみせるよ」「はい、頑張ります!」
「さよなら、さよなら!いつでも家に来てご飯作ってくれても良いからね!」
皆に挨拶をしてモルガさんの家の魔法陣に触れて家を出る。レベル上げは何処でやろうかな……
「アビスフォームの強化もしたい所だから人目に付かない所が良いよな?」
チェルシーさんが僕の提供した情報を他の人に売ってハエキングを攻略した人が増えていた場合、フォーシアス近辺で他プレイヤーに出会ってしまう可能性はある。だからこそアビスフォーム強化の場所は考えなきゃいけない訳で……
「いや、一か所あったな?」
誰にも見られない、それに凄く広い場所が
「海よー僕のうーみよー♪……あれ?なんか違ったかな?」
基本誰もやってこれない海の中。ここでレベル上げをしよう。深い所は僕もまだ色んな意味でキツイだろうから浅めの所(と言っても全身は余裕で海の中だが)で水中戦闘に慣らしながらちょっとずつ進んで行こう。それじゃあ今日からよろしくお願いします!
「なんだろう……恥の多い生涯を送ってきましたって言えば良いんだろうか?」
海に一歩ずつ入って行くのはなんかソレっぽい。飛び込んだ方が良かったかな?
「この前はタコを探してたけど、今回は何が出てくるか楽しみだ!」
前回の様に何か目標にしている訳では無いけど、何が出てきても良い。レベル上げの為に色々倒さねばならない。おっと忘れるところだった
「【アビスフォーム】」
海の中で【アビスフォーム】を使い、触手を使って泳いでいく。やっぱ触手便利ー
「お?あれはなんだっけ?何とかボール……とにかく魚の群れだ!あの魚の群れが居るならその魚を食べようとする大きめの魚がやってきたりするかな?」
イワシクスの群れが球体の形になって泳いでいるのが遠くで見える。あそこまで行けば何か良い感じの獲物が居るかもしれない
「あそこまで行くのはちょっと大変だな……でもゆっくり泳げば丁度良い感じでたどり着けるか」
あのイワシクスの群れが他の魚に襲われるとしても直ぐには襲われないと思うし、ゆっくり海の中を満喫しながら進んで行こう
「おぉ……下から見るイワシクスの群れも凄いけど何だあれ?カジキかな?」
鼻先がとても鋭くデカい魚。あれで突撃されたらお腹に特大の風穴が開いちゃうな……でもイワシクスの群れも凄いなぁ?球体だった群れがスライムみたいにカジキに突っ込まれた所を修復する感じで戻ったり、でっかい生き物みたいにうねうねしたりでカジキを威嚇してる
「まぁこっちに突進してこなかったら何でも良いか」
これは自然の摂理だろうから首は突っ込まない様にしておく。一通り終わってから参戦させてもらおう。この海藻の影に隠れていれば良いかな?
と海藻の影に隠れていたら海藻がバンバン弾けた。海藻に触れたからなのか分からないけどそういう種類の海藻なのか破裂した海藻から何か種みたいな物も出てたからそうやって繁殖して行くんだろうけど……
「って思ってたんだけどなぁ!?」
カジキがイワシクスの群れに突進を繰り返していたのに、こっちの存在に気が付いたみたいでカジキがこっちに突進してくる。傍観決め込んでたのに何でこっちに来るんだ……【アビスフォーム】なのに弱そうって判断されたか?
「だとしたらちょっと許せないかな?アビス様も馬鹿にしてる様な物じゃないか」
(高々小魚程度に馬鹿にされるのは癪に障るな?ハチ、使え)
使えって言うのは【深淵の一撃】の事かな?素材が取れない可能性が高いけど今アビス様の気分がノってるって考えれば、使った方が良さそうだ。というかカジキが小魚って……
「【深淵の一撃】!」
海底付近に居た僕にカジキが突っ込んできたけど、僕の正面に真っ黒な龍の首が下から現れてカジキを丸呑み。龍の首が出てきた穴に引っ込んでまるで何も無かったかのようだ……当然素材は入手出来ない。今回は尾ビレの1枚すら入手出来なかった
「いやぁ、相変わらず凄い威力……でもコレ本当に経験値関係はどうなんだろう?」
もし、アビス様によって倒された事になって僕に経験値が少ししか入ってこないとかだとねぇ……レベルを上げたい今ではちょっと扱いにくい。大暴れしたい所ではかなり優秀だけどね
「とりあえずこの辺りで色々やってみるか」
この辺りを見て回っていればその内良い感じの獲物が居るかもしれない。その時は【深淵の一撃】は使わないで戦うようにしよう
「さーて、次は何が出てくるかなぁ?」
イワシクスの群れもカジキに襲われてから逃げてしまったし、今近い位置に居る奴だと海底付近のヒトデくらいかな?
「ん?なんかあのヒトデおかしいな?」
【察気術】の効果でヒトデのオーラを感じるんだけど……自分の目で見るヒトデと感じるオーラに差がある。感じたオーラのサイズの方が圧倒的に大きいからあのヒトデは見えている一部だろう。ちょっと喧嘩を売ってみるかな?
「どんな奴か確認だ!」
オーラである程度見えているけど、実際の姿を見たい所だ。気になったからやってみよう




