次のステップへ
『スキル【自然回復力強化】を入手しました』
ずっと刷毛を使って塀を塗りまくっていたらなんか新しいスキルを入手した
『【自然回復力強化】 パッシブスキル HP、MPの自然回復力が強化される』
これはつまりアストレイ・オブ・アミュレットが無くてもある程度回復する力が強化されたと思っても良いんだろうか?
「とりあえずこれで効率アップだ!一気に行くぞぉ!」
2mずつだけど……
「さてさて、そろそろ音を上げる頃かな?」
いくら回復出来ると言ってもちょっとしか進まない理不尽な仕事を押し付ければそろそろあのハチ君も音を上げる顔を見られるかと思っていたモルガに話しかける人が居た
「モルガ師匠、お願いがあるのですが……よろしいですか?」
「なになに?どんなお願いかな?」
現在範囲攻撃魔法について色々と教えている最中のロザリーという中々優秀な子がお願いをしてきた。弟子のお願いなら聞いてあげる事もやぶさかでは無い
「実は、私には妹が居て……その妹もモルガ師匠に色々と教えていただけたらと……」
「うーんうーん、もう一人かぁ……余裕はあんまり無いけど……」
「モルガ師匠に教えていただいて私が威力不足に感じていた所もかなり改善されてきました。師匠なら妹を更に成長させてくれるかと……私も妹も彼が完全な孤独になる前に強くなって追いつきたいんです」
「おやおや?彼というのはハチ君の事かな?」
これは何かありそうだな?
「はい、彼はギルドに所属している訳では無いので追跡する事は不可能。旅人同士で一々君はどう進んでいるんだ?と聞くのも野暮という物でしょうし、やられた側は迷惑と感じるでしょう。となると頼れるのはモルガ師匠だけなんです」
彼女は彼女で色々抱えている物があるんだろう。それなら師匠としてもう少し頑張ってみようか
「これはこれは、師匠として一肌脱ぐべきですかね?良いでしょう。その妹ちゃんを連れてくる事を許可しましょうかね?でもこれ以上は流石に私で教えられる人数をオーバーしちゃうからそれ以上はダメだよ?」
正直2人でも結構キツいけど1人はほとんど手が掛からないから頑張っちゃおう
「それでそれで?その妹ちゃんはやっぱり攻撃系かな?」
「はい、どちらかと言うと単体に高火力を出すタイプです。最近は範囲系も使うようになったり、魔札を使うようになったので……モルガ師匠は魔札にも明るいのでしょうか?」
「えっとえっと、流石に魔札は範囲外かなぁ?一応ちょっとなら教えられるけど……」
【結界魔法】に使える所もあるから一応は扱えるけど、師匠として教えるとなると流石に教えられる事は少ない
「魔札はサブ的運用なので、よく使う単体魔法の強化を重点的にお願い出来たらと……すみません。まだ妹本人の意向をまだ聞いていなかったのでどれを重点的にするかはまだ分かりませんでした」
「いーよいーよ、妹ちゃんの事を良く見てるんでしょう?というか一緒に冒険してるって言ったら良いのかな?だから妹も一緒にって事なんだろうけど……正直人手は欲しいかな?」
妹想いの姉だ。自分だけが師匠を得た事で罪悪感でもあるんだろうか?なんにせよその妹ちゃんにも興味が湧いてきた。まぁ一番興味がある存在は自分の領域に居るから心配は……要らないだろう。いや、アレは正直規格外だ。私の力で対抗出来るかな?
「じゃあじゃあ、妹ちゃんが来る時は特別に扉を繋いであげる。それならすぐに入ってこれるでしょ?君達が入ってきた所から入れるようにするから」
「あ、いや……出来ればハチ君を迎えに出して欲しいと言うか……」
「それはそれは、ちょっと出来ないかな?あっちの修行の邪魔になっちゃうからね」
「うっ……ごめん、アイリス」
なんで謝っているんだろう?扉が繋がっていた方が遥かに楽だと思うけど?
「ふぅ……終わった!」
ジャーキーをむしゃむしゃしながら塀を塗り終えて、やっと最初に塗り始めた所に戻ってこれた。MPが切れたらしっかり倦怠感が襲ってくるからキツかった。多分今回が一番短時間でMPが0になる回数が多かった気がする
「色合いも、多分大丈夫だよねこれ?」
僕の見た感じ色に違いは無いと思う。モルガさんがめっちゃ色彩感覚ある人で若干濃いとか薄いとか言い始めたら困るけど
「モルガさーん」
「はいはーい、もう限界かな?キツくて音を上げちゃったかな?」
「終わりました」
「えっ?終わった?ホントに?」
モルガさんが外に出て周りを見渡す。塀は全て真っ白になっている
「あらあら?ホントに終わってる……」
「途中で【自然回復力強化】のスキルが出るくらい頑張りました」
「あらあら、もう準備出来ちゃったか」
「もう?もしかしてこれ雑用じゃ無くて本当は修行だったんですか?お昼ご飯とかもですか?」
本当にこれ修行だったんだ。お昼ご飯作らされたのとか絶対ついでだと思ってた
「……さぁさぁ、次の段階に行こうか!晩御飯も頼むよ!」
「絶対ご飯はついででしたよね?」
言葉に詰まった感じ絶対ご飯はついでだったと思う。嘘の中に本当の事を混ぜるとリアリティが増すとかそんな感じで絶対やったでしょこれ
「そうそう、晩御飯は1人分追加でお願いね?」
「一人分追加ですか?分かりました」
任されるのはよくある事だからもう諦めている。次の段階はいったい何をさせられるかなぁ……




