表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
230/2049

庭に出よう

「お願いします!」

 ロザリーさんがモルガさんに頭を下げる


「よしよし、それじゃあ君は家の中に来なさい。そっちの君にはまず草むしりをやってもらおうかな?」

「はい!」「はーい」

 ロザリーさんは家の中に、僕は外の草むしりを任された。あれ?そういえば外に出る時玄関の魔法陣に触れちゃったらそのまま塀の外に出ちゃうから庭に出られないんじゃないか?


「くすくす、それじゃあ草むしり頼むよ?」

「ハチ君頑張ってくれ。私はモルガ師匠について行かなければならないから……」

 草むしりという響きはとても簡単な事だが、今に限っては庭に出るという第一段階をクリアしなければ草むしりが出来ない。ロザリーさんはそれには気が付いていないかな?




 玄関に残された僕は一人悩む。間違いなくこれは試されている

「んー?この魔法陣に触れたとしてもドアノブに触る事が出来れば庭に出れるのかな?」


 試しにドアノブに手を伸ばしてみる

「ありゃ?やっぱダメか……」


 魔法陣に触れて外に出てしまう。じゃあ外の塀を登って庭に入ってみるか?

「ん?どうなってるんだコレ?」


 塀を登っているハズなのに一向に塀の上に着かない。ジャンプしても届かない。これは確実に魔法的要因があるな?外から庭に入る事もダメか


「やっぱり内側から何とか庭に出るしかないのかな?」

 外からは多分入れない。塀から内側に入れないと感覚的に分かる。多分モルガさんの家は別次元にあるんじゃないかな?


「何処かに窓とか無いかな?」

 ドアから出られないなら窓から……って思ったけどここには窓が無い。やっぱりこのドアを何とかしないと庭に出られないか……


 モルガさんに入って良いとは言われてないし、多分何とかする方法は有るはずだ

「このドアの魔法陣になんか違和感があったりしないかな?」


 目を閉じて【察気術】で感じる。やっぱり【察気術】を使う時は目を閉じていた方が効果が上がっている気がするな?


「ん?なんかある?」

 ロザリーさんのレイピアを封じた植物が植えられていた植木鉢の下に何か強い反応を感じた。これはなんだ?


「鍵?」

 植木鉢の下に小さな鍵が置いてあった。この鍵……ドアに合うかな?


「物は試しに!」

 置いてあった鍵をドアに刺し込み、ひねる。ガチャリという音と共に魔法陣が消える


「おっ!庭……庭か?これ?」

 棄てられた教会よりも酷いぞ?僕の身長よりも高い草が生えまくっている。でもこれを片付けて欲しいっていうのがモルガさんのお願いだよな?じゃあやるしかないかぁ……


「なんだこれ?全然抜けないぞ?」

 両手で引っ張っても全くと言っていい程抜けない。STRが低いとはいえ、現実の僕と同じくらいの力はあるはずだ。それでも抜けないから僕には力ではどうやっても抜けないだろう。どうしたら抜けるか……


「あらあら?思ったよりもずっと早かったねぇ?」

「あ、モルガさん。すいませんちょっと草が抜けなくて……」

「うんうん、それは普通の草じゃ無い。魔力を流さないと絶対に抜けないからね」

「魔力を流す……おぉ!ほんとに抜けた!」

 言われた通りに草に魔力を流したらスポッと簡単に草が抜けた。これなら草むしりも出来そうだ!


「おっとおっと?魔力を何かに流した経験があるのかな?随分と筋が良いね?」

「あはは……ちょっとガソリンスタンドになった事があって……」

「うんうん?ガソリンスタンド?」

「あっ、なんでも無いです。とりあえず草むしり頑張ります!」

 ガソリンスタンドと言ってもモルガさんには伝わらないだろう。ダイコーンさんの世紀末バイクに給油ならぬ給魔?をした事があったので魔力を吸われるとか流す的な事は経験がある。それと同じ感覚でやっていけば良いなら簡単だ。でもこれだけの量だとやっぱり自然回復では魔力量が足りなくなるだろうからシスター服に変えよう




「ちょっとちょっと?あのハチ君だっけ?どうなってるんだい?」

「彼に関しては正直私も分からない事が多いです。呪いのアイテムを好き好んで装備していたり、ギルドに入っていなかったり、街に居る事自体がレアな存在なんで……」

 ロザリーにも実体が掴めないハチの全て。聞けば聞く程未知に溢れる存在で気になってしまう。そもそもあの草は雑草の中でもかなり厄介な部類で多少片付けてもらえれば良いかと思ったら疲れる様子も特に無く、どんどん草を抜いていくハチを見て流石に驚くモルガ


「これはこれは……とんでもない逸材かもねぇ……ま、君もかなりの才能を感じるけどね?早速やろうか」

「はい、お願いします」

 ハチが庭で草むしりをしている間に家の中ではロザリーはモルガから範囲魔法攻撃の指導を受けた


「ふぅ……まだまだ沢山あるな?頑張って全部むしらないと……よく見たら別の草も生えてるな?あ、これ薬草だ。これは抜かないで置いておこう」

 庭の中に薬草が生えていたのでこれは残しておこう。【採取の目】のお陰で見分けが付いて使えそうな草は残す事が出来る


 祈っては抜いて、祈っては抜いて、魔力を吸収させながら雑草を片付けていく。魔力が空っぽになるまで周りの草に魔力を吸わせて一気に抜いて、祈って回復するのが効率的かな?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] シスターが祈りながら雑草を抜いていく風景…… ふしぎですね??
[気になる点] 最後の方の誰の視点でもない地の文で敬称ついてて違和感があります。一応誤字報告で送っておきましたが文章的に特に問題ないならすみません。
[一言] ハチくんはUMAに分類される存在と言うことか~。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ