魔法の家
「ここが気になっている所ですか?」
ごく一般的な路地。何が気になるのかな?
「あぁ、歩いてみたら分かる」
「歩いてみたらですか……どれどれ」
ロザリーさんが歩いてみろと言われたので先に歩いてみる。確かに【察気術】で探ると何か入口が変な魔法陣で封鎖されている建物がある。あれかな?
「おっ?」
丁度その家の前を歩いた瞬間にその家に入られない様にか短距離をワープさせられた
「何かワープさせられた感じがしないか?」
「確かにこの家の前でワープさせられましたね?」
「家?」
「もしかしてロザリーさんにはこの家が見えてませんか?」
「すまない、ハチ君にはここに家が見えるのか?」
「入口が魔法陣でガードされた変な家が見えますね?」
ロザリーさんにはこの家が見えてないのか?
「特定の職だけに見える家?……いや、何かスキルを持っている可能性か?……それともハチ君だからか?」
何かブツブツと言っているけど一番最後は違うと思う
「そういえばアイリスさんとは一緒に来てないんですか?」
「アイリスも連れて来た事はあるが、アイリスもそのハチ君が見えると言っている家は見えなかったぞ?」
「あれ?アイリスさんって隠れてる相手も発見出来るスキルとか持ってるんじゃないんですか?」
初イベントの時、僕が隠れていたのに発見された時はかなり焦った。あれは何らかのスキルの効果だと思うんだけど……そのスキルでもこれは発見出来なかったのかな?
「あぁ……あまり他の人のスキルをバラすのは良くないが、そこまで見当がついているなら良いか。アイリスのスキルでは隠れている生物を発見出来る。という感じだ」
「あぁ、生物オンリーだったかぁ」
それなら発見出来ないのも無理はない。家は生物じゃないからスキルの効果外だったのかもしれない。僕の【察気術】は『相手』の存在を察知し、目視以外でも感じる事が出来る。という曖昧だけどこの『相手』というのが生物だけに限定されていないのであれば隠された物とかも発見出来るのかもしれない。魔法陣とかね?
「壁を触りながら進めば行けるかな?」
家を知覚しながら壁を触って進めば魔法陣に触れられるかな?
「うおっ!?ここは!?」
魔法陣に触れたら今度は廊下にワープした。後ろを見れば魔法陣があるので触ってみる
「ハチ君!?今いったいどこに……」
ロザリーさんがビックリした表情でこっちを見ている。やっぱりワープしてたんだな?これって僕が知覚して魔法陣に触れればワープ出来ると考えて良いんだよな?だったら……
「ロザリーさん。とりあえず手を握っても良いですか?」
「へ?手?」
「ロザリーさんが見つけたんですからロザリーさんも入らないと。ほら!」
右手をロザリーさんに差し出す
「え、だが……」
「ほらほら、時間制限とかあると困りますし、早く行きますよ!」
ロザリーさんを急かす。もし、時間制限ありだった場合は入れなくなる可能性だってある
「アイリス……ごめん」
何故アイリスさんに謝るんだろうか?謝った後でロザリーさんは僕の手を握る
「じゃあ行きますよ!」
ロザリーさんの手を握り、壁に触りながら移動して魔法陣に触れる。するとまた何処かの廊下にワープした。今回は僕と触れていたからかちゃんとロザリーさんも一緒に来ている
「ここは……?」
「多分僕の言っていた見えなかった家の中だと思います」
廊下が見えると言っても左側に階段があったり、右にドアがあったりでダンジョン的なデカい場所では無く、感覚としては普通の2階建ての民家っぽい
「すいませーん。誰か居らっしゃいますかー」
「ハチ君!?」
僕が急に挨拶をしたからロザリーさんは驚いている様だ。でもここで挨拶しておかないとただの不法侵入になっちゃうんじゃないかな?
「おやおや?お客さんかな?」
右のドアを開き、ザ・魔女な恰好をした女性が出てきた
「勝手にお邪魔してすいません。ただ道を歩いていたら急に飛ばされる感覚があったので怪しいと思ったら魔法陣でガードされた家があったので触れてみたらここにワープしたのでもしかして誰か住んでいらっしゃるのかと……」
適当な言い訳を並べて相手を刺激しないようにする
「ほうほう?あの魔法陣を見つけられたんだ?」
「えぇ……まぁこっちの人のお陰で見つけられたんですけどね?」
「わ、私は……何も」
ロザリーさんは恐縮した感じだが、警戒は怠っていない。ロザリーさんが僕が握っている手と逆の右手はフリーでいつでもレイピアを扱う事が出来るだろう
「あらあら?その剣を抜く気?」
「なっ!?」
シュルシュルと玄関に有った花瓶の花がロザリーさんのレイピアとベルトに巻き付いて抜けなくなっている。流石にこの状況で手を握っている状態はマズいかな?
「とりあえず2人共ストップストップ!」
ロザリーさんの手を離し、両者の間に手を広げて割って入る
「ここがどんな所かが知りたくて入ってみただけなんで、戦闘の意思は無いです。だからロザリーさんも落ち着いて……」
「あ、あぁ……すまない。敵対行動をするつもりはないんだ。いきなり武器をロックされたから焦ってしまって……」
「そっかそっか。それならこっちが悪いのかな?」
この手の相手は急に態度が変化する場合もあるだろうし、油断は出来ないけど今はこっちのペースかな?
「どっちが悪いかと言ったら勝手に入った僕が悪いんですけど、この人は僕が無理矢理連れてきただけなんで……」
とりあえず矛先はこっちに向けておこう。僕に向けておけばある程度はコントロール出来るかな?




