先送りせざるを得ない
「なるほど……木綿豆腐作りは漉し布とか枠とか色々必要になるんだな……結構大変だな?しかも油揚げを作るとなると水分を抜いたりしないといけない訳か。豆腐作りが出来なきゃ油揚げは出来ないからまずはこの辺を用意する事から始めないとな?」
自分で魔糸が出せたとしても流石に布状になるまで縫うのは難し過ぎる。機織り機を作るのは流石に難易度が高過ぎるし……漉し布は誰かから貰えないかな?木枠はまぁ作れなくはないと思うから……今日の残りはにがりを作る時間に充てても良いかな?
「にがりは……あっ、こっちもろ過する為の布が要るじゃん……」
調べたらどう足掻いても漉し布が要る。メッセージ機能を回復させたらホフマンさんに漉し布があるか聞いてみるのが良いかな?
「僕の旅は布不足が常に付きまとってくるなぁ?」
マントだってそうだ。布があれば染料を使って地形に合わせたマントも作りやすいだろうけど、良い布が無いから蔦を合わせて作ったり、コウモリの翼膜を使ったりしてマントを作っている。布が無いから別の物で代用していたけど、料理に使うならちゃんとした布を使いたい。こういう事に関してはお金が無いとやっぱり困るなぁ……
「どっかで良い布とか見つかったりしないかな?」
石火の手袋のような洞窟にあった宝箱みたいに何処かに隠されている物で丁度良い物を見つけられるかな?出来るだけホフマンさんに頼り過ぎないようにしたい所だ
「にがり作りもまた一旦保留にしておこう。ボス攻略も流石に次はレベルが足りてないと思うし」
ハエキングもソロでも何とか勝てたけど、あれはギミック系ボスだったから勝てたような物だと思う。単純な力のぶつけ合い系ボスだとレベルを上げておかないといくら称号とかの効果でステータスが上がっていてもソロじゃかなりキツイと思う。レベル上げをしないと先にも進めなくなるだろう
「そういえばドラゴンを初めて見たのがトーマ君の召喚獣っていうのも凄いな?」
野生のドラゴンはまだ見た事無い。トーマ君の連れていたドラゴンも人くらいの大きさだから結構小さいと思うし、こうやっぱりファンタジー感あるゲームならいつかドラゴンと戦う事になると思うからその準備とかもしておきたい。まぁ特にやる事はないんだけど……心の準備くらいかな?
「やりたい事が多いなぁ……」
急にやりたい事が増えた気がする。やっぱこういう風に目標が増えるとやる気も出てくるな?
「さて、それじゃあまたやりますか!」
ご飯も食べたし、アルターにログインしよう。木綿豆腐作りは大豆を入手した後で改めてやってみようかな?
「ん?」
アルターにログインすると目の前が暗い。まぁギリーマントを被ってるせいだけど……でも何かが居る
「ゲギョギョ?(なんだこれ?)」「ギョギョギョ?(誰か居たか?)」
やっばい……なんか半魚人みたいなのが居る……一応洞窟の奥の宝箱の裏でログアウトしたけど、焚き火は宝箱より前にある……今は焚き火に意識が集中しているからこっちを見る事は無いだろうけど……こっちに来るか?
「「ギョーギョッギョ!(まあいっか!)」」
なんか馬鹿っぽいな?でも一応気を付けておこう。出口は半魚人2体に押さえられている事に変わりはない
「ギョ!?(ぎょ!?)」
「ギョーギョギョ?(どうした?)」
「ギョギョギョギョギョ!(中に入れてた物が無くなってる!)」
「ギョギョ!?(マジ!?)」
宝箱を開けて驚いている2体。ごめん、その中身取ったの僕だ……
「ギョギョギョギョーギョギョ(まぁ俺達が使えなかった物だし気にすんな)」
「ギョギョ。ギョギョギョギョギョ!(そうだな。今日は今までに無い獲物が喰えたし!)」
獲物……もしかしてあのデカロックバットの事だろうか?だとしたらそれも僕がやった事だ……
相手が水中適性が高く、陸上適性が低いと想定して動き出すべきか……声が聞こえて来ちゃうとちょっと倒しにくいからあんまり倒して何とかしたいって気分にはならない。とりあえずここをどう脱出するか……あっそうだ!
「【ミスティックミスト】」
魔法を発動すると洞窟の中が霧に包まれる。だけど僕の視界はクリアで所々に流れる雲のようなエフェクトが見える程度だ。これなら全然邪魔にならないな?
「「ギョ!?(ぎょ!?)」」
その「ぎょ!?」って驚き方やめてほしい
相手が急に現れた霧で驚いている隙にマントを被った状態で横を抜ける。凄いな?全然気づかれてない
何とか半魚人2体の包囲網を突破して崖を登って逃げる。半魚人では崖を登っては追ってこれないだろう
「さて、これで一安心。メッセージ拒否を解除しておくか」
メッセージ拒否設定を解除してメッセージを受け取れるようにしておく。これでホフマンさんに漉し布の相談も出来る
「早速来たか」
あの一瞬解除した時は来なかったみたいだけど今回解除したらいきなり誰かからメッセージが来た
『ハチ君!あのタコ何処で取って来たんだ!?』
ホフマンさんか
『フォーシアスの海に潜って取ってきました。他にもでっかいサザエとかアコヤ貝とか居ました』
送信っと
「まだまだ海には色んな種類の魚とか居るんだろうなぁ……」
崖の上から海を眺めて海のロマン的なのを感じる。まぁこれから行く場所は海じゃ無いんですけどね!




