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オーガ戦

「ウオォォォ!」

 僕を見て咆哮を上げるオーガ。およそ3m程の体躯にゴブリン達よりも深い緑色をした肌。口から見える牙や頭から生えている角を見れば(オーガ)と言うのも納得だ。ゴツゴツの筋肉を見れば、あの腕や足で殴られたり蹴飛ばされたら多分一撃で僕は死んじゃうだろう


「喰らっちゃいけない……だけど腕1本くらい持っていく」

 たとえここで僕が死んだとしても残った皆がオーガと戦うときに立ち回りやすい様に腕の1本くらいへし折ってやる!


「ウガァァァ!」

 オーガの拳が振り下ろされるがスローモーションに見えるお陰で避ける事は可能だ。だけどここで大きく避けるより必要最低限で避ければ相手が何か行動を起こしても即座に行動に移れるので、手を伸ばし、相手の拳がゆっくり迫ってくるのを受け流す。真っ直ぐ突き出される拳を横から押す事で拳の着弾点を僕の体から体の横にずらす


「ふっ!」

 地面に拳が突き刺さったのでオーガの肘に対して外側から膝蹴りを入れる。DEXで判定されるようになったからかオーガの肘が逆に折れた


「グガァァァ!」

 肘を折られた痛みからなのか暴れるオーガ。中々危ないので麻痺玉を1発投げつける


「ウガッ!?」

 暴れている最中で麻痺玉を喰らったオーガは片足を上げた状態で体の動きを止め、バランスを崩し、そのまま地面に倒れる


「はっ!」

 倒れたオーガの頭に遠心力で加速を加えた回し蹴りを入れる……けどやっぱり効いてる感じがしない。肘を折れたのはラッキーだっただけかもしれない


「グガウッ!」

「いよっと」

 麻痺が解けたのかもう片方の腕を振るうオーガ。横薙ぎに振るわれる腕を確認して両手でその腕を捉えて、ハンドスプリングの要領で振るわれる腕を躱す


「ウガァァァ!」

 苛立ちからか手だけではなく、足も振り回しながら暴れるオーガの攻撃を避けていく。滅茶苦茶な攻撃をするから回避も若干大変だけど避けられない訳じゃない


「ほら、これもあげるよ」

 手足を振り回すオーガの攻撃を避け、少し距離を取る為にオーガが僕を蹴り上げようとする足に乗り、膝のクッションなどを使って衝撃を軽減する。そしてついでにと猛毒玉をオーガに向かって投げつける


「ウゴッ!ゴハァ!」

「おしっ!【登攀】凄いな?」

 吹き飛ばされて木にぶつかりそうになったけど【登攀】の効果なのか、木に向かって手を付けると勢いを殺す為、木の幹を1周してから体が停止した。これ【登攀】が無かったら僕が遭った事故と同じ感じで背中を強打していたかもしれない


【登攀】の効果を確認しながらオーガを見ると毒で苦しんでいるオーガの姿が目に入った。猛毒玉が当たった部分から煙が上がり、オーガがその部分を掻きむしっている。自分の皮膚を自分の爪で傷付けながらも毒液を取り除こうと必死にもがいている。それならば……


「これも追加だよ!」

 飛ばされた木から降り、走り寄って当てられる距離まで接近してから傷口に向かって出血玉をぶつける。物を投げるってDEX依存かな?狙ったポイントに結構的確に当てられる


「アグッ、ガハァ!」

 傷付いた胸部から赤ポリゴンが沢山出てくる。苦しんでいる姿を見るにしっかり傷口に当てられたようだ




 戦闘開始から10分は経っている。持っている玉も最後のデッドボール1つだけとなった。途中で護衛をしていたゴブリンが戻って来ていたけど戦闘に参加はさせずに追い払った。ゴブリンもすぐに僕の意思を理解して逃走してくれたからありがたい。多分ゴブリンが1人戦闘に参加しても死体が1つ増えるだけだろう。姫様の所にでも行って待っててくれた方が良い


 攻撃を回避し、受け流し、時たま関節や人型だし眉間や人中、喉仏に鳩尾、姫様に結婚を迫っていたというし、金的も喰らわせておいた


「はぁ……はぁ……」

「グォ……グオオォ!」

 こっちに向かってくる物がスローモーションに見える事が良い事だと思っていたけどどうにもこのスローモーションに見えるのはとても脳を使っているみたいでずっとオーガの攻撃を見ているととても疲れる事が分かった


 途中から距離を取って目を閉じ、視覚から入ってくる情報をカットし、脳を休めつつ戦闘を続けているが、オーガの蹴っ飛ばした石を目を閉じている時に喰らってしまい、大ダメージを喰らった。距離が遠かったから大ダメージで済んでいるけど、間近だったら即死してたかも……とりあえず石がぶつかったせいで体がとても痛い。感覚100%の弊害だろうけど同時に生きてると実感出来る


「ごめん皆、そろそろそっちに連れて行くね……」

 デッドボールを喰らわせるのは皆の前でだ。僕一人しか居ない状況で当てるより、他にもアタッカーが居る状況で動きを封じた方が効果的だと考えて、移動を開始する


「はぁ、はぁ、ほらこっちだ!」

「ウガァァ!」

 3mも身長があれば僕にあっという間に追いつける……と移動する前に考えていたのでオーガの両膝を粉砕しておいた。石を蹴っ飛ばしてきた右足は特に丁寧に粉砕しておいた。オーガも這って僕を追いかけて来たけどこっちもボロボロだ。何とか村が見える距離にやってきた


「ウグゥ!」

 だらんとして引きずっていた右腕を肩の力だけで振り回して叩きつけてこようとしたオーガの攻撃を見て、自分の横に針千草を出しながらその叩きつけてこようとした腕を針千草の上に逸らす


「ウガァァ!」

 腕に針が沢山突き刺さり、赤ポリゴンをまき散らすオーガ


「皆!」

「「「ハチ!」」」

「後を、頼むね……」

「ガァァァ!」


 デッドボールを後方から追いかけてくるオーガに向けて投げつける。運良く、デッドボールはオーガの口に入る所を確認したけど……疲労で足も頭も上手く回らない。ごめん、僕だけ先に楽にならせてもらうよ


「レスト」


 手を自分の胸に当て、魔法を使う。30秒間動けなくなり、HPとMPを回復するか、2倍ダメージで死ぬか

 どちらにしてももう僕が出来る事は無いのでここでリタイアだ



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