新しい目的
「トーマ君、ありがとう。僕の新しい旅の目的が出来たよ。まずは良い大豆を探す所から始めようかな?」
ワリアさんが醤油を作っていたから大豆はあるかもしれないけど、あんまり頼り過ぎるのも良くない。新しい地で大豆を探すというのも良いだろう。この街で売っているならその産地を目指すのもアリかな?
「え?大豆?」
「あぁ、気にしないで。あとずっと怖がってるみたいだし、エン君もヨウちゃんも帰してあげて」
「あ、はい……エン君、ヨウちゃん、ありがとうね」
「グアーウ!(お先に失礼!)」「キュキュ!(直ぐに帰る!)」
この怖がっている様子。何か心当たりがあるとすれば……【アビスフォーム】かな?アビス様の恐怖オーラ的なのが漏れ出ている……とか?
「アレももっと使って熟練度を上げればそういうのも抑える事が出来るか……?」
「ん?なんですか!?何を使うんですか!?」
チェルシーさんが突撃してくる。フレンドになったけどこうなるとチェルシーさんはとても面倒に感じてしまう
「あっ!デッカいクジラが空を泳いでる!」
海の方を指差し、適当な事を言う。皆がそれに釣られて海に視線が向いた瞬間を狙ってベルトのゴキブリパワーを使って逃げる。空腹度は消費するけど貝を食べて回復していたから結構走れるな?
「あっ!逃げたー!」
「いや速すぎだろ!?」
「流石にあの距離までは追えないわね……」
「なんですかあれ!いったいどれ程情報を隠しているんですか!?」
「チェルシー、相変わらず一気に情報が入ってくると興奮してしまう癖は治ってないんだな……」
「あっ、メッセージまで受け付けない様にしてる……本格的に追えなくなるな……」
「自分のせいなんでしょうか……どうしよう!?」
「またあんまり会話出来なかった……」
ハチに撒かれた8人はビッグサザエの壺焼きと共にその場に残された。メッセージ機能も拒否設定にして受け付けない様に(主にチェルシーさんの追及防止の為)してあるのでハチ君情報を入手する事も出来ないだろう
「ふぅ、やっぱメッセージ拒否まではやり過ぎだったかな?」
砂浜を走って皆を撒いてしまったので戻るのはちょっとカッコ悪い。ビッグサザエの壺焼きも置いて来てしまったけど……まぁ皆で食べてくれるだろう。メッセージ拒否は……その内解除するとして、今はこのままにしておこう。街は出てしまったけど、仮身分証はまだ使えるのかな?1回限定だとしたらとても面倒な事になるぞ……?
「また野宿かなぁ?」
久々に野宿するにしてもやっぱり食材は新しい物を使いたい。また海に入って何か取るのも全然アリだ
「一人でやるのはなんか久しぶりな気がしてきたなぁ……まぁ頑張ってやりますか!」
やってしまった事はもうどうしようもない。切り替えて野宿の準備しよう
「水中でも呼吸出来るし、水の中で寝る事も出来そうと言えば出来そうかな?」
寝床を水中にするというのもある種一つの手段とは言えるだろう……それを実際に実行するかは別としてだけど
「適当に海沿いを走ったけど……あそこ結構良い感じの所だな?」
砂浜をゴキブリパワーで移動した事で景色も若干変わっている。砂浜も徐々に岩場が多くなって最終的に崖と岩場に……洞窟っぽい所が見えた時点で今日の寝床は決まったも同然だ
「今日はあそこで寝よう。薪を集めたり、食材を集めたり……やる事はいっぱいだけどこれが楽しいんだよねぇ」
アストライトで泊めてもらうのも良いけどたまには野宿も良い。誰にも迷惑掛けないし、お金もかからないからね?
まずはあそこでログアウト出来る様に場所を整備しよう
「敵は……いないね?」
壁を歩いて見えた洞窟の中を見てみたけど敵らしき生物等は発見出来ない。自然な洞窟と見て良いんじゃ無いかな?
これならバレないかな?バレたとしてもここに来れる人はそうそう居ないと思う
「よーし!それじゃあやりますか!」
この場所で安全にログアウト出来るようにしっかり整備しよう
「えっと、まずはこの洞窟が何処まであるか……あ、すぐに行き止まりだ。ん?宝箱があるぞ?」
暗いけど【ゲッコー】の力で洞窟の奥をよく見ると宝箱が置いてあった。どうせだし、開けてみようかな?
「オープン!」
『石火の手袋 を入手』
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石火の手袋
レアリティ レア
AGI +30
耐久値 100%
特殊効果 指を擦ると火花を出す事が出来る
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「普通の人が見つけたらしょっぱい効果かもしれないけど、火を付ける時に着ければかなり火起こしする時間を短縮出来そうだな?これはお宝だね!」
いやぁ、良い物入ってたなぁ?
「この指先、結構ザラザラしてるから滑り止めの役割も持ってそうだな?」
石火の手袋は革の手袋の指先部分が暗い赤色をしている。ここを擦ると火花が出るって事は……指パッチンしたら良いのかな?
「よっ!おっ!?」
手袋をしているので指パッチンは良い音は出せなかったけど、かなりの火花が出た。これなら着火にも充分使えるぞ!




