泳ぎできた
「どうせ戻るならちょっとイタズラでもしようかな?」
海から砂浜に戻る時にちょっとしたイタズラを思いついたので仮面の形を変形させる。頭上に長くサメのヒレのような形を作った。これで砂浜に向かって行けばパニック映画よろしくな感じになるかな?
「流石に遅いですね……大丈夫でしょうか?」
「……ちょっと心配になってきたな?」
アイリスさんとロザリーさんが海を心配そうに眺める
「ハチ君が海に入ったのはどのくらい前だ?」
「だいたい1時間位前ですね?」
ハスバさんがチェルシーさんに確認するとハチが海の中に入って行ったのは約1時間前との事
「だ、大丈夫なんですか!?普通はそんなに潜ってられませんよ!?」
トーマ君が当然の反応をする。だがハチ君に対して「普通」と言うと……
「「「何か大丈夫な気がしてきた……」」」
アイリスさんとロザリーさんとハスバさんがハチを心配している事が無駄なんじゃ無いかと思い始めた
「おーい!連れてきたぞー!」
「全く、置いて行くなんて酷くない?」「ハチはどこー?」
ダイコーンさんがキリエさんとキリアさんを連れてきた。だが、お目当てのハチ君は海の中
「今ハチ君は海に素潜りに行ったらしいんだが、1時間くらい戻ってこないんだ」
「それは……いや、ハチ君ならあるいは……」
「大丈夫じゃない?ハチだし……」
「ハチだし!」
後から来た3人もハチなら大丈夫そうという謎の信頼感がある。チェルシーさんとしてはここまで周りの人が信頼するハチという人物が本当に海から戻ってくるのかとても興味が湧いてきた。戻ってくるとしたらいったいどんな情報や物を持ち帰ってくるのか……とても興味がある!
「あ、あれは!」
「サメ!?」
海面からサメの背びれが出てきた
「まさかハチさんがあのサメに……」
「そんな訳無いでしょ?どうせ……」
トーマ君が不安な声を出すとキリエさんが銃取り出し、サメの背びれに向かって発砲する
「ぷはぁ!危ないなぁ!?」
背びれが銃撃を避けたと思ったらその下からハチが顔を出した
「期待を裏切らないなぁ?」
ハスバさんも一応心配はしていたが、ハチ君が出てくるとやっぱり心配するだけ無駄だったかと誰にもバレない様に胸を静かに撫で下ろす
「いやぁ、海の中って結構デカい物がいっぱいありましたよ。ほら」
海の中から取ってきた物を砂浜に広げる
「これだけ大きなサザエとか美味しいのか分からないけど食べてみます?」
「うわでっか……海の中にこんなデカい貝があったのか」
並べた貝は30を超える数だ。見かけたデカい貝はだいたい拾っていったから並べたら凄いことになった
「この貝は何です?」
トーマ君が二枚貝を指差して尋ねてきたので確認する
「それはビッグアコヤシェルだったかな?そうそう、アコヤ貝ってどっかで聞いた事あった気がしたんだけど忘れちゃって……誰か知ってる?」
「アコヤ貝は真珠の養殖とかで使われる貝ですよ。もしかして真珠とか入ってるんじゃないですか?」
チェルシーさんが直ぐに答えてくれた。そうだそうだ。アコヤ真珠だ
「それも何個かあるから試しに1つ開けてみますか」
真珠が取れるかもしれないなら開けてみたい。ナイフでこじ開けられるかな?
「これで……よし、オープン!」
なんとか二枚貝の合わせ目にナイフを刺し込んでビッグアコヤシェルを開く
「おー!でっかい真珠だ!」
なんとか開けてみると大きくて綺麗な真珠が入っていた。取ってみるとピンポン玉くらいありそうだ
「じゃあこれチェルシーさんにあげるよ。アコヤ貝の事教えてくれたし」
「いやいや!真珠ってまだ見つかってない宝石ですよ!?こんな物貰う事……あっ、釣り竿をお返しします。私では釣れませんでした」
「宝石とか興味無いし、どっちかと言ったら身の方が食べられるか気になってる所だからそれはあげますよ。釣り竿の事ちょっと忘れてました」
貝の身の方が僕にとっては重要だ。海を泳いでいて釣り竿の事をちょっと忘れてたけど、返してもらえたのでオッケーだ
「この人情報屋相手に交換条件でとか言ってこないんですか?」
「ハチ君はそんな次元に居ないぞ?やりたい事を自由にやって、要らない物はレジェンダリーアイテムだって他人に渡す程だぞ?」
「ホントに次元が違いますね……」
ビッグアコヤシェルは開けると真珠が結構な確率で入っている。デカい分入ってる率とかも高くなってたりするのかな?
とりあえず11個真珠が取れたので皆に真珠を渡した。配分はそっちで決めて欲しい
「よし、火起こそう」
パカパカ開けてしまったアコヤ貝を捨てるのも勿体無いので調理する為に火起こしの準備を始める
「ハチ君?何をしているんだい?」
ロザリーさんが聞いてきた。ん?ひょっとして弓切り式の火起こし器を知らないのかな?
「貝沢山開いちゃったんで調理しないと勿体無いと思いまして……火起こししようかと」
「だったら……」
「ちょっと待って下さい。ハチさん?火起こしする所見せてもらえますか?」
ロザリーさんが何か言おうとした時にチェルシーさんが止めた。火起こしってそんなに珍しいかな?
「まぁいいですけど……」
木材とかを用意してレッツ火起こし!
「こんな原始的な火の起こし方ホントにするのね……」
「本当に同じゲームをやっているのか分からなくなってきました……」
「……流石にここまでやっているとは思ってなかったな」
「実際にその方法で火を付けている人初めて見ました……」
各々色んな事言っているけど結局のところ皆が言いたい事は僕がおかしいって事なんだろう。別に良いじゃないか……今の僕にはこれしか方法が無いんだから




